中国指導部6人が全人代・政協討議に参加 経済・宗教・香港マカオまで幅広く議論
中国で開かれた全国人民代表大会(全人代)第14期第3回会議と中国人民政治協商会議(政協)第14期全国委員会第3回会議で、中国指導部の中核メンバーが相次いで討議に参加し、今年の経済運営や地域政策、宗教、香港・マカオ、改革・反腐敗などの優先課題を示しました。
中国の「両会」で示された今年の焦点
今回の会議は、全人代と政協が同時期に開かれることから「両会」と呼ばれ、中国の政策方針が集中的に示される重要な政治日程です。今年(2025年)は、経済運営のかじ取りや地域間の連携強化に加え、宗教政策や香港・マカオの位置づけ、次期五カ年計画の議論などが重ねられています。
木曜日には、李強(Li Qiang)国務院総理、趙楽際(Zhao Leji)全国人民代表大会常務委員会委員長、王滬寧(Wang Huning)全国政協主席、蔡奇(Cai Qi)中国共産党中央書記処書記、丁薛祥(Ding Xuexiang)副総理、李希(Li Xi)中央規律検査委員会書記がそれぞれ別々のグループ討議に出席しました。6人はいずれも中国共産党中央政治局常務委員を務めています。
李強総理:経済運営と都市・農村の一体的な発展
河北省・雄安新区への期待
李強総理は午後、河北省選出の全人代代表団の審議に参加し、北京・天津・河北の協同発展の機会を捉え、より大きな前進を遂げるよう呼びかけました。とくに雄安新区について、高い基準と質で建設を進め、インフラや公共サービスを整備し、住みやすく働きやすい環境づくりを進める必要があると強調しました。
今年の経済目標と「マクロ調整」
午前には、経済・農業分野の政協委員との合同会議にも出席しました。李強総理は、今年の目標と任務を達成するためには、マクロ経済運営の調整をより先を見据えた、的確で実効性のあるものにすることが重要だと述べました。また、都市化の推進と農村振興を両輪として進める必要性も指摘し、都市と農村の格差是正や地方経済の活性化に重点を置く姿勢を示しました。
趙楽際氏:海外華僑と国家の利益をつなぐ
全国人大常務委員会委員長の趙楽際氏は、中国致公党、帰国華僑連合会、対外友好分野の政協委員との合同会議に参加しました。趙氏は、政協委員に対し、協議や審議、民主的な監督の役割をさらに高めるよう求めました。
あわせて、海外に住む中国出身者へのサービスと、国家全体の利益を緊密に結びつけることへの期待も示しました。海外ネットワークをどのように国家発展と結びつけるかは、中国にとって重要な政策テーマとなっています。
王滬寧氏:宗教の「中国の国情」に合った発展
全国政協主席の王滬寧氏は、宗教分野の政協委員との討議に出席しました。王氏は、宗教を中国の状況に即して体系的に発展させ、中国の国情に適合した宗教理論を徐々に形成していく必要があると述べました。
そのうえで、宗教に関する重要課題の研究を深めること、中国共産党の宗教政策や理論への理解を一層強めることの重要性を強調しました。宗教と社会の調和的な関係づくりに向け、理論研究と政策理解の双方を重視する姿勢がにじみます。
蔡奇氏:社会科学とメディアに求められる役割
中国共産党中央書記処の蔡奇氏は、社会科学分野と報道・出版分野の政協委員との合同会議に出席しました。蔡氏は、各分野の専門性を生かし、中国式現代化を進めるための知見を提供してほしいと呼びかけました。
同時に、哲学や社会科学、メディアや広報の発展に貢献する社会的責任の重さも指摘しました。政策を伝えるメディアと、社会を読み解く研究者の双方に、社会全体の発展を支える役割が期待されていると言えます。
丁薛祥副総理:香港・マカオと「一国二制度」
副総理の丁薛祥氏は、香港特別行政区とマカオ特別行政区の政協委員との合同会議に参加しました。丁氏は、「一国二制度」を堅持し、香港とマカオの繁栄と安定を維持することの重要性をあらためて強調しました。
同時に、両地域の持つ独自の地位と優位性を一層強化しつつ、国家全体の発展戦略への融合を進めるよう呼びかけました。金融やサービス産業など、香港・マカオの強みをどう生かすかが引き続き焦点となります。
李希氏:改革深化と第15次五カ年計画、反腐敗
中国共産党中央規律検査委員会書記の李希氏は、中国共産主義青年団(共青団)、中華全国青年連合会、中華全国総工会、全国婦女連合会の政協委員との合同会議に出席しました。
李氏は、改革の一層の深化や高品質な発展、第15次五カ年計画(2026~2030年)の策定など、重要課題に関して積極的に提言するよう委員たちに促しました。また、不正や腐敗に対しては高い圧力を維持し続ける必要があると述べ、継続的な規律強化の姿勢を示しました。
読み解きのポイント:政策の方向性はどこにあるか
今回の一連の発言から、中国指導部がどのような優先課題を意識しているのかが浮かび上がります。
- 経済面では、マクロ調整の精度向上と、都市化と農村振興を組み合わせたバランスの取れた成長を重視していること
- 社会・統治面では、宗教政策や青年・労働者・女性など多様な層への働きかけを通じて、社会の安定と一体性を図ろうとしていること
- 対外・地域面では、海外華僑や香港・マカオの役割を国家全体の発展戦略の中に位置づけようとしていること
2026~2030年を対象とする第15次五カ年計画の策定も視野に入りつつある中で、今回の両会での議論がどのように具体的な政策として結実していくのかが今後の注目点です。日本やアジアの企業・投資家にとっても、中国の政策方向は無視できない要素となっており、引き続き動向をフォローしていく必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








