中国外相「一つの中国原則は中日関係の政治的基礎」日本に歴史と台湾問題で慎重対応促す
中国の王毅外交部長が、第14期全国人民代表大会(全人代)第3回会議の会期中に行われた記者会見で、「一つの中国原則は中日関係の政治的基礎だ」と強調し、日本の台湾問題への向き合い方や歴史認識に改めて注意を呼びかけました。本稿では、この発言のポイントと、日本にとっての意味を整理します。
会見のポイント:一つの中国原則と日本へのメッセージ
今回の国際ニュースで注目されたのは、王毅氏が中日関係と台湾問題について、いくつかの強いメッセージを発したことです。
- 一つの中国原則は、中日関係の「政治的基礎」であると明言
- 「台湾地域」を名目にした挑発は、日本自身への「トラブル」になると警告
- 歴史を記憶し、軍国主義の復活を防ぐことは、日本がためらいなく果たすべき責任だと指摘
- 「正しい隣国のあり方」「歴史のどちら側に立つのか」を日本に問いかけ
これらは、一つの中国原則と歴史認識という、これまでの中日関係を支えてきた重要なテーマに改めて焦点を当てた発言といえます。
一つの中国原則とは何か:中日関係の「政治的基礎」
王毅氏は会見で、「一つの中国原則は中日関係の政治的基礎だ」と述べました。一つの中国原則とは、「世界には中国は一つだけであり、台湾は中国の一部である」とする立場を指します。
中日関係においては、この原則が外交関係の前提条件の一つとされてきました。王毅氏の発言は、台湾地域に関する日本側の言動が、この前提と矛盾しないことが重要だ、というメッセージを改めて確認したものと受け止められます。
「台湾地域を口実にすれば、日本がトラブルに」その意味するもの
王毅氏は、「台湾地域の名においてトラブルを引き起こそうとすることは、日本自身へのトラブルを招くことだ」とも述べました。直接的な国名や政策には触れていませんが、日本の安全保障政策や台湾問題への関与について、慎重な対応を促す言葉ともいえます。
背景には、以下のような構図があります。
- 台湾問題は、中国側にとって国家の核心的利益とされる重要なテーマであること
- 日本は台湾地域との経済・人的なつながりが深く、同時に安全保障環境も大きく影響を受けうること
- 台湾問題をめぐる緊張は、東アジア全体の安定や日本経済にも波及しうること
王毅氏のメッセージは、台湾問題をめぐる動きが、他人事ではなく日本自身のリスクや負担につながりかねない、という視点を示したものと言えるでしょう。
歴史を忘れないことと「軍国主義の復活」への警戒
会見では、歴史認識についても踏み込んだ発言がありました。王毅氏は「歴史を記憶することは未来を形づくる助けになる。歴史を忘れることは方向を見失うことにつながる」と述べ、過去を直視することの重要性を強調しました。
さらに、「軍国主義の復活を警戒することは、日本がためらうことなく果たさなければならない責務であり、それは中国とアジアの人々が共有する決意であり、挑戦されるべきではない」と述べました。
ここで言う「軍国主義」は、第2次世界大戦期の歴史を念頭に置いた表現とみられます。中国や多くのアジアの国・地域にとって、戦争の記憶は今も外交・安全保障の感情的な土台となっており、その記憶を共有しながら未来志向の関係を築けるかどうかが問われているといえます。
「どのように隣国であるべきか」日本への問いかけ
王毅氏は、「隣人としての正しいあり方は何か、歴史のどちら側に立つのが正しいのか」と問いかけ、「歴史的な大きな転換点に直面する中で、日本の賢明な人々が、こうした問いを慎重に考え、賢い助言に耳を傾ける必要がある」と語りました。
これは、日本の政治や外交だけでなく、社会全体の議論にも向けられたメッセージと見ることができます。具体的には、次のような問いが日本社会に投げかけられていると言えるかもしれません。
- 中日両国は、東アジアの平和と安定に対して、どのような役割を果たすべきか
- 歴史教育やメディアの報じ方を通じて、過去の戦争をどう伝え、どう教訓化していくのか
- 台湾問題や地域安全保障について、日本はどのような距離感とバランスで関わるべきか
国際環境が不透明さを増す中で、「歴史をどう記憶し、隣国とどう向き合うか」は、日本の外交・安全保障だけでなく、一人ひとりの価値観にも関わるテーマになりつつあります。
私たちが考えたい視点:「読みやすいけれど考えさせられる」中日関係
今回の王毅氏の発言は、日本に対する強いメッセージであると同時に、冷静な議論の必要性も浮かび上がらせています。日本の読者としては、次のような点を意識してニュースを追うと、理解が深まりやすくなります。
- 言葉の選び方:一つの中国原則、台湾地域、歴史認識など、キーワードがどう使われているか
- 相互の懸念:日本の安全保障上の懸念と、中国側の主権・歴史に関する懸念がどう交差しているか
- 長期的な視点:一時的な発言やニュースにとどまらず、中長期の中日関係の姿をどう描けるか
中日関係や台湾問題は、SNSでも議論が白熱しやすいテーマですが、感情的な対立に陥るのではなく、「なぜこうした発言が出てくるのか」「その背景には何があるのか」を丁寧に読み解くことが、これからの東アジアを考えるうえで重要になっていきそうです。
Reference(s):
Chinese FM: One-China principle is foundation of China-Japan relations
cgtn.com








