北京から南シナ海へ3300キロ 中国・三沙市クラウド教室がつなぐ離島と教育格差
北京から約3300キロ離れた南シナ海の離島に、首都の音楽の授業がリアルタイムで届いています。中国最南端の都市・三沙市のYongxing学校が取り組むクラウド教室は、遠隔教育によって教育格差の壁を超えようとしています。
南シナ海の離島と北京をつなぐクラウド教室
中国の南端、南シナ海に位置する三沙市のYongxing学校は、かつて教員不足と学習機会の格差に悩んでいました。現在はデジタル技術を活用し、中国各地の学校とオンラインでつながり、首都・北京の授業をそのまま教室に届けています。
象徴的な取り組みが、北京師範大学実験小学校の音楽教師ワン・ジンさんによるオンライン音楽の授業です。北京とYongxing Islandとの距離はおよそ3300キロ。画面越しに首都の文化や歌が、中国最南端の小さな島の教室に届きます。
子どもたちの声:画面の先生が開く新しい世界
Yongxing学校の小学生、ツァイ・ジアユーさんは、リアルタイムのオンライン音楽の授業を受けたあと、こう話しました。
「今日は北京のわらべ歌を習って、先生と一緒に歌いました。いつか本当に北京を訪れてみたいです」と、画面の向こうの街に思いをはせます。
同級生のヤン・ジュンチェンさんも「この学び方が大好きです。画面の先生はいつも新しいことを教えてくれます」と話し、オンライン授業への期待を口にしています。
こうした声からは、クラウド教室が単に知識を届けるだけでなく、子どもたちの世界への窓になっていることがうかがえます。
不足していた教育資源 連携とインフラ整備が転機に
Yongxing学校は、地理的な条件から長く教員や教材が不足しがちでした。その状況を変えたのが、北京師範大学実験小学校との連携です。両校は協力協定を結び、オンライン授業の提供や教師同士の交流を進めてきました。
音楽教師のワンさんは「今後も協力を深め、交流を強めていきたい。現地での授業も続けていきます」と述べ、オンラインだけでなく対面での支援も続ける考えを示しています。
学校側もインターネット回線や機器を整備し、遠隔教育に対応できる環境を整えました。
Yongxing学校のグオ・シン校長によると、2022年10月以降、同校が実施した遠隔学習のセッションは155回にのぼります。海南の外にある教育機関とも連携し、より多くの地域から質の高い教育資源を取り入れているといいます。
中国全土への展開を見据えるクラウド教室モデル
Yongxing学校が採用した遠隔教育のモデルは、今後、中国各地の学校にも広げていく構想です。南シナ海の離島で試されている仕組みが、内陸部や農村部など、教育資源が限られた地域の子どもたちにも学びの機会を届ける可能性があります。
本年の政府活動報告でも、義務教育の高品質でバランスの取れた発展を促進することの重要性が強調されました。Yongxing学校のクラウド教室は、その方針を具体的な形にした一つの事例といえます。
何が変わりうるのか 3つの視点
- 地理的な制約を超える:離島やへき地の学校でも、都市部と同じレベルの授業を受けられる可能性が広がる。
- 教員の負担と学びの質:現地の先生が全教科を一人で担うのではなく、外部の専門教師と役割を分担できる。
- 子どもの視野:画面越しの交流を通じて、遠く離れた都市や文化を身近に感じ、自分の将来像を考えるきっかけになる。
この事例は、日本を含む他の国や地域で、離島や地方の教育環境を考える際にも一つの参考例になりそうです。南シナ海の小さな教室から始まったクラウド教室の試みが、どこまで広がっていくのか。今後の動きにも静かな注目が集まります。
Reference(s):
From Beijing to South China Sea: A 3,300-kilometer 'cloud classroom'
cgtn.com








