中国最高検が通信詐欺を一斉摘発 2024年に7万8千人を起訴
中国の全国人民代表大会(NPC)第14期第3回会議で、中国の最高人民検察院(Supreme People's Procuratorate, SPP)の業務報告が提出され、全国の代表による審議が始まりました。報告の柱となったのは、2024年に大幅に強化された通信詐欺犯罪の取り締まりです。
最高人民検察院の報告とは
報告は、最高人民検察院の検察長であるYing Yong(応勇)氏が、第2回全体会議で説明しました。全国人民代表大会の代表らは、この報告書をもとに、検察機関の活動状況や今後の課題について意見を交わしています。
今回の業務報告は、2024年の捜査・起訴の動き、とくに社会的な関心が高い通信詐欺犯罪への対応を詳しく振り返る内容となりました。
2024年の通信詐欺取り締まり 起訴は7万8千人に
報告によると、中国は2024年、通信詐欺犯罪への取り締まりを一段と強化しました。その結果、同年に起訴された被疑者は7万8千人に達し、前年から53.9%増えたとされています。
- 2024年に通信詐欺で起訴された人数:7万8千人
- 前年からの増加率:53.9%
短期間でここまで起訴件数が増えた背景には、インターネットやスマートフォンを悪用した詐欺の巧妙化と拡大があります。検察当局が摘発を強めた結果、統計上の数字も大きく押し上げられたとみられます。
越境型通信詐欺に向けた指針づくり
報告は、国内にとどまらない「越境型」の通信詐欺への対応も大きな課題だと指摘しています。最高人民検察院は、最高裁判所にあたる機関や公安当局と協力し、国境をまたぐ通信詐欺事件をどのように扱うかについての指針を策定しました。
こうした指針は、捜査から起訴、裁判にいたるまでの判断基準をそろえ、各地の捜査機関・検察機関が一貫した対応を取れるようにするためのものです。国境を越えて組織的に活動する犯罪グループに対抗するには、部門間の連携が不可欠だといえます。
ミャンマー拠点の犯罪グループ案件
報告の中では具体例として、ミャンマーに拠点を置く犯罪グループが関与した事件が紹介されました。この事件では、中国国民を標的にした通信詐欺に関わった39人のメンバーが問題となりました。
最高人民検察院は、この案件を担当する浙江省の検察機関に対し、どのように事件を認定し、起訴を進めるかについて具体的な指導を行ったとされています。越境型の通信詐欺では、現場の検察が迷いやすい論点も多いため、中央の検察機関が方向性を示すことには大きな意味があります。
私たちの生活にとっての意味
通信詐欺は、個人の貯蓄や家計を直接狙う犯罪であり、高齢者から若い世代まで幅広い人が被害に遭う可能性があります。2024年の数字は、中国当局がこうした犯罪を重大な脅威とみなし、圧力を強めていることを示しています。
同時に、取り締まりが強化されても、犯罪グループは新しい手口を生み出し続けると考えられます。日常生活の中で、見知らぬ番号からの電話やメッセージ、個人情報や送金を求める連絡には、これまで以上に慎重に対応することが求められます。
2025年以降の焦点
今回の業務報告は2024年の状況をまとめたものですが、2025年12月の現在も、通信詐欺や越境型犯罪への対応は引き続き重要なテーマであり続けています。
今後注目される点としては、
- 越境型通信詐欺に対する国際的な協力の強化
- デジタル技術を活用した捜査・証拠収集の高度化
- 市民への啓発や教育を通じた「だまされにくい社会」の構築
といった取り組みが挙げられます。全国人民代表大会での審議は、こうした方向性を確認し、司法当局に対して今後の優先課題を示す場にもなっています。
通信詐欺は、日本を含む多くの国や地域でも問題になっているテーマです。中国の動きは、アジア全体でどのように犯罪対策を進めていくかを考えるうえでも、一つの重要な参考事例といえるでしょう。
Reference(s):
Chinese lawmakers deliberate on work report of top procuratorate
cgtn.com








