中国レーザー産業が世界最前線へ 自動車・スマホを支える見えない主役 video poster
中国のレーザー産業が、長年続いた海外技術への依存を乗り越え、世界の先頭集団に並びつつあります。スマートフォンや自動車の製造を支える基盤技術で何が起きているのか、中国の動きを国際ニュースの視点から整理します。
中国レーザー産業が「世界の先頭集団」に
第14期全国人民代表大会(全人代)の代表であり、レーザー機器メーカー華工科技(Huagong Technology)の董事長を務める馬新強(Ma Xinqiang)氏は、中国がレーザー技術の開発で重要分野における数十年の海外優位を打ち破り、世界の先頭集団に加わったと述べました。
馬氏によると、レーザー技術はスマートフォンや自動車などの製造工程で使用される部品の約70%に関わる重要な存在です。これまで中国は、海外による技術輸出の制限などを背景にレーザー分野で海外に依存してきましたが、近年は国内イノベーションを優先し、その状況を変えつつあります。
スマホから自動車まで支える基盤技術
レーザーは、金属や樹脂の切断、溶接、穴あけ、マーキング(刻印)、精密な計測などに幅広く使われています。スマートフォンの基板加工から、自動車ボディの溶接、新エネルギー車の製造まで、現代の製造業にとって欠かせない技術です。
こうした基盤技術で自国の開発力を高めることは、製造コストの削減だけでなく、サプライチェーン(供給網)の安定性にも直結します。中国では、海外の技術規制に左右されない体制づくりが重視されており、レーザー分野もその一環として位置づけられています。
40年の輸入依存を断ち切った自動車ボディ溶接
馬氏によれば、華工科技は研究開発を継続することで、自動車ボディ用のレーザー溶接設備の国産化に成功しました。これにより、約40年にわたり海外からの輸入に頼ってきた分野での依存を解消したといいます。
この国産設備は、コストと生産性の両面で大きな成果を上げています。具体的には、設備コストを4割以上削減しつつ、新エネルギー車の車体レーザー溶接を43秒で完了するという業界記録を達成しました。
華工科技による発表内容は、次のようなインパクトを示しています。
- 自動車ボディ用レーザー溶接設備の国産化
- 設備コストを4割以上削減
- 新エネルギー車の車体溶接を43秒で完了
- 中国国内での自動車生産4500万台を支える設備供給
- 産業向けレーザー応用ソリューションを100件以上開発
こうした成果により、自動車産業を中心に、中国の製造業全体でレーザー技術の活用範囲が一段と広がっていることがうかがえます。
国際競争とサプライチェーンへの影響
中国のレーザー産業が世界の先頭集団に加わりつつあることは、スマートフォンや自動車などグローバル市場で競争する企業にとっても無視できない動きです。製造設備の選択肢が増えることで、世界の企業が調達戦略を見直す余地も生まれます。
一方で、レーザーのような基盤技術で各国が自国開発を進める流れは、技術協力と競争が並行する時代の象徴ともいえます。コストや性能だけでなく、安全保障やサプライチェーンのリスク分散といった観点からも、どの国・地域とどのように連携するのかが問われています。
日本の読者が押さえておきたいポイント
国際ニュースとして見たとき、中国のレーザー技術の進展は日本にとってどのような意味を持つのでしょうか。主なポイントを整理します。
- サプライチェーンの再構成:レーザー装置や部品で中国発の選択肢が増え、調達の多様化が進む可能性
- 新エネルギー車競争の加速:製造コストの低下が、価格やモデル投入スピードなど競争力に影響
- 製造現場の高度化:日本の製造業にとっても、レーザーを含む先端加工技術の活用と人材育成が重要なテーマに
レーザー技術は、普段は目に見えないところで製造業を支える隠れたインフラです。中国で進む技術革新は、グローバルな産業構造の変化とも結びつく動きとして、今後も注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
China's laser industry advances, joining global front-runners
cgtn.com








