中国全人代常務委の仕事報告 2025年の環境・デジタル・市場改革をどう進めるか
中国の全国人民代表大会(NPC、全人代)常務委員会の仕事報告が、第14期第3回会議の第2回全体会議で全国の代表によって審議されました。報告は、環境法制やサイバー安全保障、デジタル経済など、2025年の立法の優先分野を具体的に示しています。中国の法制度の動きは、国際社会やビジネスにも影響するため、注目を集めています。
習近平氏も出席、全人代常務委の1年を総括
仕事報告は、全国人民代表大会常務委員会の趙楽際・委員長が読み上げました。会議には、中国の習近平国家主席をはじめとする指導部のメンバーも出席しました。
報告によると、過去1年間、全人代常務委員会は「高品質の立法」を通じて、中国の改革と発展を支え、サービスしてきたとしています。また、自らの能力向上にも取り組み、法に基づく統治を進めるための体制強化を図ってきたと総括しました。
環境コードからサイバー法まで、2025年の重点立法
2025年の中国の立法計画の中で、環境や安全保障、デジタル分野は重要な柱として位置づけられています。報告は、次のような方針を打ち出しました。
- 環境コードの編纂を2025年も継続する
- 国立公園法(ナショナルパーク法)を新たに起草する
- 同じく2025年中に対外貿易法を改正する
- 国家安全保障体制と公共の安全ガバナンスの近代化の一環として、サイバーセキュリティ法を2025年に改正する
- 人工知能(AI)、デジタル経済、ビッグデータなど新たな分野の立法について、研究を一層強化する
環境コードは、個別の環境関連法を横断的に整理する試みとされ、国立公園法の制定とあわせて、生態保護や気候変動対策の強化につながるとみられます。サイバーセキュリティ法の見直しやAI分野のルールづくりは、デジタル経済の発展と安全保障のバランスをどう取るかという、中国のみならず各国共通の課題とも重なります。
社会主義市場経済を支える法制度の整備
報告はまた、「社会主義市場経済」の発展を法の面から支えるため、2025年中に複数の法律を制定・改正する方針を示しました。具体的には次のとおりです。
- 民間経済の発展を促進する法律
- 国家発展計画法
- 金融法
- 金融安定法
- 農地の保護と質の向上に関する法律
あわせて、次の既存法についても改正作業を進めるとしています。
- 反不正当競争法
- 企業破産法
- 農業法
- 漁業法
- 民用航空法
- 銀行監督管理法
民間部門を対象とする新法や金融安定法の制定は、民間企業の活力を引き出しつつ、金融リスクを抑える狙いがあると考えられます。農地や農業、漁業に関する法改正は、食料安全保障や持続可能な地方発展の文脈でも注目されます。
気候変動と新たな働き方が議題に
環境・経済分野の立法に加え、報告は2025年に気候変動対策に関する特別報告を聴取する計画も明らかにしました。中国がどのように温室効果ガス削減やエネルギー転換を進めるのか、法制度面からの議論が進みそうです。
さらに全人代常務委員会は、次のような重点テーマに関する報告も審議するとしています。
- 新質生産力(new quality productive forces)の育成
- 文化と観光産業の一体的な発展の促進
- フリーランスやプラットフォームワークなど、柔軟で新しい形態の就業に従事する労働者の権利保護
とくに柔軟な働き方を選ぶ労働者の権利や社会保障をどう守るかは、多くの国で共通する課題です。中国の動きは、プラットフォーム企業を抱える各国の議論とも重なっていきそうです。
最高人民法院の仕事報告も審議
立法府だけでなく、司法の動きも今回の会議の焦点となりました。最高人民法院(SPC)の仕事報告も審議が始まり、張軍裁判長が第2回全体会議で報告を行いました。
全人代常務委員会の仕事報告と最高人民法院の報告は、中国の法治や経済運営の方向性を読み解くうえで重要な手がかりとなります。環境、デジタル、金融、労働など多岐にわたる分野で、2025年の中国がどのようにルールづくりを進めていくのか、引き続き注視する必要があります。
Reference(s):
Chinese lawmakers deliberate on work report of NPC Standing Committee
cgtn.com








