中国のエコロジー政策が高品質な発展を牽引 生態環境相が示した4つの柱
中国の生態環境政策は、経済成長を続けながらどこまで環境を守れるのかという問いに、どのように答えようとしているのでしょうか。全国人民代表大会で生態環境相が語った内容から、「高品質な発展」と「エコロジーの進歩」の関係を読み解きます。
「緑なくして高品質な発展なし」 生態環境相が強調
中国の生態環境相であるHuang Runqiu氏は、北京の人民大会堂で開かれた第14期全国人民代表大会第3回会議の第2回全体会議後、記者団の質問に答える場で発言しました。
Huang氏は、高品質な発展と高いレベルの環境保護との関係について、「相互に溶け合い、相互に支え合い、相互に成果をもたらすものだ」と説明しました。つまり、環境保護は経済成長の「足かせ」ではなく、質の高い発展を支える基盤だという考え方です。
さらにHuang氏は、「緑で低炭素な発展がなければ、高品質な発展はあり得ない」と述べ、生態環境分野での取り組みが、中国の経済戦略そのものと一体化していることを強調しました。
過去10年で生態環境が「大きく変化」 水質は90%超に
Huang氏によると、この10年で中国の生態環境は大きな変化を遂げてきました。2024年には、国全体として生態環境の質が引き続き改善したとしています。
象徴的な数字が、水環境のデータです。2024年には、全国の地表水のうち水質が「優良」に分類された水域の割合が90.4%に達し、初めて90%の大台を超えました。この数字からは、水質改善が一定の成果を上げていることがうかがえます。
4つの重点分野で進む「エコロジーの進歩」
Huang氏は、生態環境省の仕事を4つの重点分野に整理して紹介しました。その内容は次の通りです。
- 全国で4万4,000を超える環境管制単位を指定し、全国レベルでの環境管理の枠組みを整えてきたこと。
- 生態環境分野で「new quality productive forces」と呼ばれる新たな生産力を育成・発展させるため、昨年政策パッケージを打ち出し、民間企業を支える22の措置も導入したこと。
- カーボン市場の発展を進め、石炭火力発電分野の炭素排出強度を累計で8.78ポイント低下させ、企業のカーボン削減コストを35 billion yuan(約48億ドル)節約する効果があったこと。
- 汚染物質の排出許可証管理に関する規則を導入し、企業が排出基準を満たすよう監督と支援を行っていること。
いずれの項目も、「規制を強める」だけでなく、「市場や企業の力を生かしながら、環境と発展を同時に高めていく」という方向性がにじみ出ています。
カーボン市場:排出削減とコスト削減を両立
Huang氏が挙げた4つの分野の中でも、カーボン市場の役割は注目に値します。カーボン市場とは、企業同士が温室効果ガスの排出枠を売買できる仕組みで、排出削減を市場メカニズムに委ねる制度です。
中国では、このカーボン市場の整備により、石炭火力発電分野の炭素排出強度が累計で8.78ポイント低下したとされています。同時に、企業にとってのカーボン削減コストも35 billion yuan(約48億ドル)節約できたといい、「排出を減らしながらコストも抑える」方向に動き始めていることがわかります。
民間企業と「new quality productive forces」
生態環境省は昨年、生態環境分野における「new quality productive forces(新たな質の生産力)」を育てるための政策パッケージを打ち出しました。また、民間企業を対象に22の支援策を導入したことも明らかにしています。
環境分野の技術やサービスを生み出す主体の多くは企業です。こうした企業に対し、規制だけでなく支援策を組み合わせることで、環境保護と産業発展を同時に促していく姿勢が読み取れます。
排出許可証と「守るべきライン」を示すルールづくり
もう一つの柱が、汚染物質の排出許可証管理に関する規則の導入です。Huang氏は、生態環境省が企業に対して排出基準を守るよう監督すると同時に、基準順守を支援する取り組みも行っていると説明しました。
どこまで排出してよいのかという「守るべきライン」を明確にした上で、企業に寄り添いながら改善を促すアプローチは、環境規制を実効性のあるものにするうえで重要な仕組みといえます。
日本と世界への示唆:成長と環境をどう両立させるか
今回示された水質改善の数字やカーボン市場の成果は、中国が「高品質な発展」と「高レベルな環境保護」をセットで進めようとしている姿を映し出しています。
経済成長と環境保護の両立は、日本を含む多くの国・地域にとって共通の課題です。中国本土への注目が高まるなか、その生態環境分野での取り組みは、政策づくりや企業経営、市民のライフスタイルを考えるうえでも、一つの参考事例となり得ます。
あなたは「緑なくして高品質な発展なし」というメッセージをどう受け止めますか。通勤時間やスキマ時間に、身近な地域や自分の仕事と重ね合わせて考えてみると、新しい視点が見えてくるかもしれません。
Reference(s):
China's ecological progress drives high-quality development: Minister
cgtn.com








