中国AI+構想が科学研究を変える 王堅氏インタビューから読む video poster
中国のAI+構想が、科学研究の進め方そのものを変える可能性が注目されています。2024年の政府活動報告で初めて打ち出されたこの構想は、深層人工知能(ディープAI)を産業や公共サービス、科学研究など社会のさまざまな分野に統合することを目指しています。国際ニュースとしても、AIと科学技術政策の行方を考えるうえで重要な動きです。
この動きをめぐり、CGTNは2024年と2025年に、中国人民政治協商会議(CPPCC)全国委員であり中国工程院の院士でもある王堅氏にインタビューを行いました。2年にわたる議論から浮かび上がるのは、AIを単なる便利なツールではなく、科学研究の基盤そのものに組み込んでいこうとする長期的な方向性です。
中国AI+構想とは
AI+構想の中心にあるのは、深層人工知能を「あらゆる分野に組み合わせる」という考え方です。従来のIT化が、人間の作業をデジタルに置き換えることに重きがあったのに対し、AI+では次のような変化が意識されています。
- 膨大なデータから、自動的にパターンや法則を見つけ出す
- 人間では難しい規模と速度でシミュレーションや予測を行う
- 研究者や技術者の判断を、AIが継続的に支援・補完する
とくに科学研究の分野では、AI+は「研究のやり方」を根本から組み替える可能性を持つと見られています。実験や観測で集まるデータ量が急増するなか、AIなしでは扱いきれない場面が増えているからです。
科学研究はどう変わるのか
仮説づくりから検証までをAIが伴走
科学研究は、仮説を立て、実験や観測で確かめるというサイクルを何度も回す営みです。AI+の発想では、このサイクルのほぼ全ての段階に深層AIを組み込むことが想定されています。
- 既存の論文やデータをAIが読み込み、新しい仮説候補を提示する
- 実験条件をAIが自動で最適化し、試行回数を減らす
- 得られたデータをリアルタイムで解析し、次に打つべき手を示す
これにより、研究のスピードが上がるだけでなく、人間の直感だけでは見落としがちなパターンや相関が見つかる可能性があります。AI+構想は、このような人とAIの協働を前提とした研究環境を広く整備しようとするものだと言えます。
研究インフラとしてのAI
AIを研究室ごとの道具としてではなく、社会全体のインフラとして整える発想もAI+の重要なポイントです。高性能な計算資源やデータ基盤を共有することで、分野や組織をまたぐ共同研究を進めやすくする狙いがあります。
王堅氏のように、中国工程院で工学と産業の両方に関わる立場の専門家が議論に参加していることは、AI+構想が研究現場だけでなく、産業全体の競争力強化とも結びつけて考えられていることを示しています。
2年連続インタビューが示すもの
CGTNが2024年と2025年の2年にわたり、CPPCC全国委員でもある王堅氏にAI+構想について聞いていること自体、このテーマが短期の流行ではなく、中長期の政策課題として位置づけられていることを物語ります。
政策と科学技術、そして産業の現場をつなぐ立場から、AI+構想の進め方や期待される影響について継続的に議論が行われているとみることができます。2025年時点でのインタビューは、初期構想から1年余りが経過し、どのような成果と課題が見え始めているのかを整理する機会にもなっているはずです。
日本と世界にとっての意味
中国のAI+構想は、単に一国のデジタル政策という枠を超え、国際的な科学技術競争や協力のあり方にも影響を与えます。深層AIを前提とした研究環境が広がれば、国際共同研究のスタイルや標準(スタンダード)づくりにも変化が生じる可能性があります。
日本の読者にとって重要なのは、次のような視点です。
- AIを活用した研究インフラづくりを、どこまで自国でも進めるのか
- データ共有や共同研究のルールづくりで、どのように国際的な議論に関わるのか
- 研究者や技術者がAIと協働するためのスキルや倫理観を、どう育てるのか
AI+構想を「中国の話」として眺めるだけでなく、自分たちの研究や仕事の現場に置き換えて考えてみることで、次の一歩が見えてくるかもしれません。
これからの注目ポイント
2025年の今後を見通すうえで、AI+構想に関して注目したいポイントを整理すると、次のようになります。
- 科学研究における具体的な成果や事例がどの程度表に出てくるか
- AI活用と個人情報保護・研究倫理をどう両立させるかという議論の進展
- 教育現場や人材育成の仕組みに、AI+の考え方がどう取り込まれていくか
AIが科学研究のあり方を大きく変える流れは、国や地域を問わず加速しています。中国のAI+構想と、そこに関わる専門家の議論を追うことは、私たち自身の社会やキャリアの未来を考える手がかりにもなりそうです。
Reference(s):
Expert: China's 'AI+' initiative to revolutionize scientific research
cgtn.com








