中国とブラジルの新たな協力 元大使が語るインフラとエネルギーの可能性 video poster
中国の重要な政治会議である全国両会が2025年の会期を終え、国際社会では中国と各国との協力の行方に注目が集まっています。ブラジル中国ビジネス評議会の会長で、元駐中国ブラジル大使のルイス・アウグスト・デ・カストロ・ネヴェス氏は、中国とブラジルの結びつきが一段と強まり、新たな協力の道が開けつつあると指摘しました。
同氏は、とくにインフラとエネルギーという二つの分野を、今後の協力の中核に位置づけています。本記事では、その発言内容を手がかりに、中国とブラジルのパートナーシップがどこに向かおうとしているのかを整理します。
全国両会後に見えてくる中国・ブラジル関係の「次のステージ」
中国の全国両会は、その年の政策方針や経済運営の方向性を示す場として、世界から注目されます。2025年の会期が閉幕するなかで、ブラジル側からは中国との協力強化を歓迎する声があがっています。
ルイス・アウグスト・デ・カストロ・ネヴェス氏は、次のようなポイントを強調しています。
- 中国とブラジルの関係は、すでに緊密なものとなっており、さらに拡大を続けていること
- その拡大によって、新たな協力の道が次々と開かれていること
- とくにインフラとエネルギーが、両国にとって戦略的な重点分野であること
単なる貿易相手という枠を超え、長期的なパートナーとして「どの分野で力を合わせるか」が、より具体的に議論される段階に入っていると言えます。
インフラはブラジル経済のボトルネック解消のカギ
ネヴェス氏が最初に挙げたのは、インフラ(社会資本)分野です。同氏は、インフラをブラジル経済にとっての重要な戦略セクターだと位置づけ、中国の投資と開発の専門性が、ブラジルのボトルネック解消に役立ちうると見ています。
なぜインフラが「戦略セクター」なのか
インフラが弱いと、どれだけ資源や人口などのポテンシャルがあっても、成長は途中でつまずいてしまいます。ブラジルでも、次のような分野で課題が指摘されてきました。
- 物流コストを押し上げる道路・鉄道・港湾の整備不足
- 都市部の交通混雑や公共交通の容量不足
- 安定供給が課題となる送電網・配電網
- デジタル経済を支える通信インフラの強化ニーズ
こうしたボトルネックは、企業活動のコストを上げるだけでなく、地方と都市の格差拡大や、投資の足かせにもつながります。
中国の投資・開発経験への期待
ネヴェス氏は、中国がインフラ投資や開発の分野で培ってきたノウハウに注目しています。大規模なインフラ計画を立案し、長期の資金を動員し、短期間で実現していく経験は、ブラジルの課題への対応にも応用できると見ているからです。
同氏の視点からすると、中国とブラジルの協力は、次のような形で具体化する可能性があります。
- 大型インフラ事業への共同投資
- 建設・運営に関する技術協力や人材交流
- 物流やエネルギー網など、国全体の効率を高めるプロジェクトへの参画
インフラは一度整備すれば数十年にわたって経済活動の基盤となります。その意味で、中国とのインフラ協力は、ブラジル経済の長期的な競争力を左右するテーマといえます。
エネルギー協力:持続可能な成長を支える組み合わせ
ネヴェス氏がもう一つの柱として挙げたのが、エネルギー分野での協力です。同氏は、ブラジルが持続可能なエネルギー生産で強みを持っている点と、中国の技術との相性の良さを指摘しました。
ブラジルの強み:持続可能なエネルギー
ブラジルは、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い国として知られています。水力、風力、太陽光、バイオエネルギーなど、多様な資源を活用しやすい条件を持っているからです。
持続可能なエネルギーは、次のような意味を持ちます。
- 化石燃料への依存を減らし、エネルギー安全保障を高める
- 温室効果ガスの排出削減につながり、気候変動対策にも貢献する
- 新しい産業や雇用を生む成長分野となりうる
ブラジルにとって、この強みをどう生かすかは、経済・環境の両面で重要なテーマです。
中国の技術との「相性の良さ」
ネヴェス氏は、ブラジルの持続可能なエネルギーと中国の技術が、互いを補完し合う関係にあると見ています。具体的には、次のような連携が考えられます。
- 再生可能エネルギー設備の導入・運用に関する技術協力
- 蓄電池や送電網の高度化など、エネルギーシステム全体の効率化
- エネルギー分野の研究開発や人材育成での共同プロジェクト
エネルギーはインフラと同様、長期的な投資が必要な分野です。持続可能なエネルギーを軸に中国とブラジルが協力することは、両国の成長戦略と気候変動対策を同時に進める選択肢として注目されます。
「新たな協力の道」はどこへ向かうのか
ネヴェス氏が語るように、中国とブラジルのパートナーシップは、すでに拡大を続ける段階にあります。そのうえで、インフラとエネルギーという二つの柱は、次のような広がりを持つ可能性があります。
- 経済成長だけでなく、地域格差の是正や雇用創出にもつながるインフラ整備
- 気候変動への対応と産業競争力の強化を両立させるエネルギー転換
- 第三国を含めた多国間プロジェクトへの発展など、国際協力の新しい形
インフラとエネルギーは、一見すると専門的なテーマに見えますが、生活コストや電気料金、通勤時間、環境負荷といった、私たちの日常の暮らしと直結しています。その意味で、中国とブラジルの協力のあり方は、世界経済全体の行方を考えるうえでも見逃せないポイントです。
日本の読者にとっての問いかけ
中国とブラジルという二つの大国が、インフラとエネルギーを軸に連携を深めようとしている構図は、新興国どうしの協力が世界の経済地図をどう変えていくのかを考えるヒントになります。
日本にいる私たちにとっても、次のような問いが浮かびます。
- インフラやエネルギー分野で、どのような国際協力の形が望ましいのか
- 持続可能なエネルギーへの転換を、経済成長とどう両立させるのか
- 多様な国が参加する協力関係のなかで、日本はどのような役割を果たしうるのか
全国両会を経て示される中国の方針と、ブラジルからの協力に対する期待は、遠い国の話ではなく、国際ニュースとして私たち自身の選択を考える材料でもあります。インフラとエネルギーというキーワードから、これからの世界のかたちを一緒にイメージしてみることが求められているのかもしれません。
Reference(s):
Former Brazilian envoy expects new avenues of cooperation with China
cgtn.com








