SCO天津サミットで何が議論される?パキスタン大使が語る地域経済協力 video poster
中国が北部の直轄市・天津で上海協力機構(SCO)首脳会議を開催する予定を進めるなか、パキスタンのハリル・ハシュミ駐中国大使が、中国メディアとの独占インタビューで、自国の優先課題として「地域のつながり」と「経済協力」を掲げました。本稿では、その発言から見える地域秩序と経済戦略のポイントを整理します。
天津でのSCO首脳会議に向けたパキスタンの姿勢
インタビューによると、ハシュミ大使は、中国が天津で迎えるSCO首脳会議で、パキスタンが最も重視するテーマとして、地域の連結性(コネクティビティ)と経済協力を挙げました。安全保障を軸に発展してきたSCOにおいて、経済とインフラを前面に出す姿勢がうかがえます。
優先課題:地域のつながりと経済協力
ハシュミ大使が示した主なポイントは、次のように整理できます。
- SCO参加国間の「つながり」を強める交通インフラの整備
- エネルギー分野での協力を通じた域内の安定供給
- 貿易と投資を後押しする経済協力の枠組みづくり
パキスタンとしては、こうした議論を通じて、自国を含む地域全体の発展を加速させたい考えです。
CPECとSCO自由貿易圏を「つなぐ」狙い
インタビューのなかで大使は、とくに中国・パキスタン経済回廊(CPEC)と、SCO自由貿易圏構想との連携に言及しました。CPECは、中国西部からパキスタンに至るインフラと経済協力の枠組みで、港湾や道路、エネルギープロジェクトなどが含まれます。
輸送とエネルギーのインフラがカギ
ハシュミ大使は、SCO首脳会議の議題として、道路や鉄道、パイプラインなどの輸送インフラ、そして電力やエネルギー網の整備を重視すると強調しました。こうしたインフラを整えることで、
- 貨物や人の移動コストを下げる
- エネルギー供給の安定性を高める
- 新しい投資プロジェクトを呼び込みやすくする
といった効果が期待されます。CPECとSCO自由貿易圏を結びつけることで、SCO参加国にとってパキスタンが物流とエネルギーの「ハブ」となるイメージです。
地域経済圏づくりへの一歩
もしCPECとSCO自由貿易圏の連携が進めば、中央アジアから南アジア、さらには中東に至るまで、より広い経済圏が形づくられる可能性があります。パキスタンにとっては、自国のインフラ投資を域内全体の発展と結びつけることで、より大きな経済効果を狙う戦略だといえます。
観光と人の交流:ギルギット・バルティスタンへの招待
ハシュミ大使は経済協力だけでなく、観光分野での交流にも期待を示しました。中国からの観光客に向けて、北部のギルギット・バルティスタン地域を「訪れる価値のある場所」として紹介しています。
ギルギット・バルティスタンは、山岳風景や自然環境で知られる地域であり、新たな観光先としての可能性が語られています。観光が活性化すれば、
- 地域住民の雇用と所得の向上
- 中国とパキスタンの人と人との交流の拡大
- インフラ整備の採算性向上
といった効果も見込まれます。経済回廊や自由貿易圏といったマクロな構想に、人の往来というミクロな視点を重ねることで、協力関係に厚みを持たせたいという意図も読み取れます。
日本の読者にとっての意味
このニュースは、日本から遠く離れた地域の話に見えるかもしれませんが、いくつかの点で無関係ではありません。SCOはユーラシア大陸の広い範囲をカバーする協力枠組みであり、その経済連携が進めば、
- 物流ルートの多様化によるサプライチェーンの変化
- エネルギー輸送ルートの拡大
- 新興市場での投資・ビジネス機会の増加
など、日本企業や日本の消費者にも影響を与えうる要素が含まれています。パキスタンが掲げる「インフラと経済協力」「観光と人の交流」という二つの軸は、地域の安定と成長をどう両立させるかという、より広い問いともつながっています。
これから注目したいポイント
天津でのSCO首脳会議に向けて、今後チェックしておきたい論点を整理します。
- SCOの場で、地域インフラ協力についてどこまで具体的な合意が示されるか
- CPECとSCO自由貿易圏の連携が、どの国・地域にどのような経済効果をもたらすか
- 観光や人的交流の拡大が、地域の相互理解と安定にどう寄与するか
地域のつながりと経済協力を重視するパキスタンの戦略は、ユーラシアのダイナミズムを読み解くうえで、一つの重要な視点を提供していると言えます。
Reference(s):
Ambassador: Pakistan to focus on regional, economic ties at SCO summit
cgtn.com








