香港の潜在力とAIの役割 両会で示された「一国二制度」支援の行方 video poster
リード:香港とAIをめぐる新しい問い
2025年の全国人民代表大会と中国人民政治協商会議、いわゆる両会の最中、北京の人民大会堂で大きな拍手が起きました。李強中国国務院総理が、「一国二制度」への揺るがぬ支持を続け、香港特別行政区を国家発展の全体像により深く組み込んでいく方針を示した場面です。
この方針を受けて、香港特別行政区選出で全国人民代表大会の代表を務める法律家の陳曉鋒(Nicholas Chan Hiu-fung)氏は、中国グローバルテレビジョンネットワーク(CGTN)の取材に応じ、香港の潜在力をさらに解き放つこと、そして人工知能(AI)技術を活用して中国と世界をよりよくつなぐことについて自身の考えを語りました。本記事では、その文脈と意味を整理します。
両会で示された「一国二制度」支援のメッセージ
李強総理が両会で強調したのは、「一国二制度」を揺るがず支持し続けるという姿勢でした。これは、香港特別行政区が引き続き独自の制度や強みを生かしながら、国家発展の大きな流れの中で役割を果たしていくことを後押しするというメッセージと受け止められます。
人民大会堂に響いた拍手は、この方針に対する代表たちの期待の大きさを示しているとも言えます。香港が今後、どのように国家戦略と歩調を合わせつつ、国際社会との橋渡し役を強化していくのかが、改めて注目されています。
陳曉鋒氏が語る「香港の潜在力」
香港特別行政区から全国人民代表大会に参加する陳曉鋒氏は、弁護士としての経験も持つ法律専門家です。今回のCGTNのインタビューで、同氏は「香港の潜在力をさらに解き放つ」ことの重要性について考えを共有しました。
詳細な発言内容は多岐にわたりますが、背景にある問題意識は比較的シンプルです。すなわち、
- 香港が持つ法制度や専門サービス、教育などの強みを、これまで以上に国家発展に結びつけていくこと
- その過程で、香港の若い世代が新しい産業や技術分野で活躍できる場を広げていくこと
- 国際社会から見た香港の信頼と魅力を、長期的に高めていくこと
といった課題です。陳氏の発言は、これらのテーマを軸に、香港が「一国二制度」のもとでどのように次のステージへ進むのかを問いかけるものだと見ることができます。
AIで中国と世界をつなぐという視点
もう一つの重要なポイントが、AIの活用です。陳氏は、AI技術を活用して中国と世界をよりよくつなぐことについても、自身の考えを示しました。
AIは、言語の壁を越えたコミュニケーションや、デジタル金融、スマートシティ、医療・教育など、多くの分野で活用が進んでいます。香港がこの分野で役割を果たすとすれば、例えば次のような場面が想像できます。
- 多言語対応のAIを通じて、中国本土と海外の企業・研究者・市民の交流を円滑にすること
- 国際金融センターとして培ってきたノウハウとAIを組み合わせ、新しい金融サービスやリスク管理の仕組みを生み出すこと
- 法律やガバナンス(統治)の観点から、AIの利用ルールや倫理基準を議論し、国際社会との対話をリードすること
こうした方向性は、香港が「中国と世界の橋渡し役」という従来の強みを、デジタル時代に合わせてアップデートしていく動きと重なります。
香港の強みとAIが交わるポイント
AIと香港の強みが交わるポイントとして、次の3つがよく挙げられます。
- 多文化・多言語の環境:英語と中国語が日常的に使われる環境は、多言語AIの実証や運用にとって大きなメリットです。
- 高度な専門サービス:法律、会計、コンサルティングなどの専門サービスが集積していることは、AI時代のルール作りやビジネスの設計に生きてきます。
- 国際ネットワーク:長年築いてきた国際的なネットワークは、AI関連の国際協力や共同研究の基盤にもなり得ます。
陳氏が語る「AIで中国と世界をつなぐ」という視点は、こうした香港の特性を前提にしたものだと考えられます。
2025年のいま、何が問われているのか
2025年12月の時点で、AIをめぐる議論は世界各地で大きなテーマになっています。技術の進歩そのものだけでなく、プライバシー保護や著作権、雇用への影響など、社会全体へのインパクトが問われているためです。
そのなかで、香港がAIを通じて中国と世界をつなぐ役割を担うとすれば、単に技術を導入するだけでは不十分です。技術とルール、イノベーションと信頼を、どのように両立させるのかが鍵になります。
両会の場で示された「一国二制度」への揺るがぬ支持と、香港の潜在力をさらに解き放そうとする動き。陳曉鋒氏の問題提起は、その二つをAIという新しいキーワードで結びつける試みだと言えるでしょう。
読者への問い:香港とAIの未来をどう見るか
香港がAIをてこに、中国と世界をつなぐ役割を強めていくとしたら、そこにはどのような可能性とリスクがあるのでしょうか。
- AIを活用した国際協力やビジネスは、私たちの働き方や暮らしをどう変えるのか
- AIのルール作りにおいて、香港はどのような価値観や視点を提示できるのか
- 「一国二制度」のもとで、地域の特色と国家戦略をどう調和させていくのか
こうした問いは、香港だけでなく、日本を含むアジアの他の都市や国々にとっても無関係ではありません。香港で進む議論や取り組みは、アジアのデジタル未来を考える上で、一つの重要な参考事例となっていきそうです。
Reference(s):
Deputy's thoughts on unleashing potential of HK, sharing AI globally
cgtn.com








