「中国のパンダはもう絶滅危惧種ではないのか」。そんな素朴な疑問も、いまは生成AIに聞く時代になりつつあります。中国の国際メディアであるCGTNは、2025年の中国の政治イベントであるTwo Sessions(両会)に合わせて、中国について何でも質問できる対話型プラットフォーム「Chinapedia AI(チャイナペディア・エーアイ)」を公開しました。
本稿では、この「Chinapedia AI」がどのようなサービスなのか、そして生成AIが国際ニュースの受け取り方にどんな変化をもたらしうるのかを、日本のオンライン読者向けに整理してみます。
Chinapedia AIとは何か
Chinapedia AIは、CGTNが立ち上げたAIGC(AI生成コンテンツ)型のインタラクティブプラットフォームです。海外の若い世代を主な対象とし、中国についての個別の疑問に答える「パーソナルガイド」の役割をめざしています。
特徴とされているのは、次のような点です。
- 中国に関する質問に、生成AIがリアルタイムで答えるQ&A形式であること
- デジタル化されたキャラクター(ペルソナ)がガイド役となり、ユーザーと対話する設計であること
- 国際的なオーディエンスに、中国をテーマにしたパーソナライズされた情報体験を提供しようとしていること
サービスのコンセプトは、「中国について何でも聞ける個人的な案内人」というイメージに近いと言えるでしょう。
大規模言語モデルと「ライブスタジオ」風Q&A
Chinapedia AIは、大規模言語モデル(大量のテキストを学習して文章を生成するAI)を基盤としています。さらに、複数のAIプロセスを組み合わせる「マルチプロセス型」の仕組みを取り入れ、技術的な課題に取り組んだとされています。
もう一つのポイントは、「ライブ放送スタジオ」風のインタラクティブなQ&A形式を打ち出していることです。ニュース番組のスタジオでキャスターと視聴者がやり取りするような感覚で、AIのペルソナと会話できる体験を意識した設計だと見ることができます。
これにより、従来のテキスト検索や記事閲覧とは異なる、「対話しながら学ぶ中国」というスタイルを前面に出しているのがChinapedia AIの特徴です。
「パンダは絶滅危惧種じゃないの?」から始まる対話
CGTNはこのサービスを紹介する際、「パンダはもう絶滅危惧種じゃないの?」といったフレーズを掲げています。身近でイメージしやすいテーマから質問を誘い、そこから中国の自然保護や社会の変化へと関心を広げていく入口として位置付けていると考えられます。
利用者は、パンダのような象徴的な話題だけでなく、中国社会の日常、経済発展、環境問題、テクノロジー、文化など、気になった点を次々と聞いていくことが想定されています。検索ワードを自分で工夫するのではなく、「問い」をAIとの会話の中で深めていける点が、生成AIならではのスタイルです。
海外の若者に向けた「中国ガイド」として
Chinapedia AIは、海外の若い世代に向けて中国を紹介することを意識したプラットフォームとされています。ニュース番組や記事を一方的に届けるのではなく、ユーザーが自分の関心に沿って質問できる点は、「受け身の視聴」から「対話的な理解」へとスタイルを変えようとする試みとも言えます。
こうした生成AIを活用したサービスは、国や地域の文化、社会、政策をより身近に感じてもらう新しい手段として、世界各地で模索が続いています。Chinapedia AIも、中国に関する情報を国際的なオーディエンスに分かりやすく伝えるための一つの形だと位置付けられます。
生成AI時代のニュースとの付き合い方
一方で、生成AIがニュースや社会情報を伝える役割を担い始めるとき、受け手の側にも新しいリテラシーが求められます。AIが提示する答えは、どのような情報に基づき、どのような視点でまとめられているのか。そうした点を意識しながら受け取ることが重要になっていきます。
国やメディア、企業が運営するAIサービスとどう向き合うかは、中国に限らず世界共通のテーマです。生成AIとニュースを利用する際には、例えば次のようなポイントが意識されるようになっていくでしょう。
- AIの回答を、そのまま唯一の正解とせず、他の情報源とも照らし合わせる
- 気になった内容は、必要に応じて一次資料や別のニュースで補う
- 質問の仕方によって答えが変わりうることを理解し、自分の問いの立て方も振り返る
Chinapedia AIのような新しいサービスは、私たちに「AIと一緒に世界をどう学ぶか」という問いを投げかけているとも言えます。
日本の読者にとっての意味
日本の読者にとって、中国発の生成AIプラットフォームであるChinapedia AIは、少なくとも二つの示唆を与えてくれます。一つは、国際ニュースの世界で、テキスト記事や動画だけでなく「対話型コンテンツ」が主流の一つになりつつあるという流れです。もう一つは、「自国のことをどう説明するAIをつくるか」が各国・各地域の新しい課題になり始めているという点です。
もし将来、日本について海外の人が何でも聞けるAIガイドが登場するとしたら、どのような質問から日本を知ってもらいたいでしょうか。パンダの話題から中国を学ぶ試みは、私たち自身が「日本をどう語り、どう伝えるか」を考えるきっかけにもなりそうです。
生成AIとニュースの関係は、まだ始まったばかりです。Chinapedia AIのような取り組みを手がかりに、私たちもまた、自分にとっての「良い問い」と「良い情報の受け取り方」をアップデートしていくタイミングに来ているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








