北京宣言30年、国連が世界に警鐘 ジェンダー平等はいまどこまで来たか
北京宣言と行動綱領の採択から30年を迎えた今年、国連の場であらためてジェンダー平等の遅れが問われています。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、各国がこの「約束」を実行に移す時だと強く呼びかけました。
北京宣言30年「いまこそ約束を果たす時」
3月10日から21日まで、ニューヨークの国連本部で第69回女性の地位委員会(CSW)が開催されました。開幕にあたり演説したグテーレス事務総長は、北京で開かれた第4回世界女性会議で採択された北京宣言と行動綱領を「画期的な世界的合意」と位置づけつつも、その約束はまだ果たされていないと指摘しました。
採択から約30年がたった今も「女性の権利は包囲されている」と述べ、各国に対し、北京宣言の実行を加速させるよう訴えました。
暴力、差別、賃金格差…続く「古くて新しい」課題
グテーレス事務総長が示した現状は厳しいものです。長年続く暴力や差別、経済的不平等は依然として深刻で、世界全体で見た男女の賃金格差は約20パーセントにとどまっています。また、世界の女性のおよそ3人に1人が何らかの暴力にさらされているとされます。
さらに、新たな技術も問題を複雑にしています。人工知能(AI)を含むデジタル技術が、オンライン上での暴力やハラスメントの新たな舞台となり、ミソジニー(女性嫌悪)やリベンジポルノなどの被害を常態化させつつあると警鐘を鳴らしました。
各国に求められる具体的な行動
グテーレス事務総長は、女性と女の子の平等は人権であり、正義の問題であり、持続可能な開発と平和の基盤だと強調しました。そのうえで、各国政府に対し、次のような取り組みを進めるよう呼びかけました。
- 教育への投資を拡大し、女の子の学びの機会を保障すること
- 女性と女の子に対するあらゆる暴力を防ぎ、被害者を支援する制度を整えること
- 草の根で活動する女性団体や女性の権利団体を継続的に支えること
- テクノロジー分野を含むあらゆる分野で、女性のリーダーシップを後押しすること
- 政治から平和構築に至るまで、意思決定の場に女性が完全に参加できるよう保障すること
「いまこそ、平等を求める私たち一人ひとりが立ち上がり、声を上げる時だ」とし、「北京の約束を現実のものにするため、世界は前進を加速させなければならない」と呼びかけました。
第69回CSWの焦点: 北京宣言の実施状況を検証
今回のCSWは、世界の女性と女の子の権利を守り、推進することを目的とした中核的な国際フォーラムです。45のメンバー国に加え、世界各地から政府関係者、市民社会、専門家ら数千人が参加しました。
会議の主な焦点は、北京宣言と行動綱領の実施状況を検証し、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの達成を妨げている課題を洗い出すことです。また、そうした取り組みが、2030アジェンダの達成にどう貢献しているかも議論されました。
「このペースでは137年」厳しい数字が示す現実
国連総会議長のフィレモン・ヤン氏は、北京宣言以降の進展はあったものの、そのスピードと広がりは不十分だと警告しました。行動の欠如や古い政策が、女性の権利に関する「苦労して勝ち取ってきた成果」を後退させるおそれがあると指摘します。
ヤン氏によると、現在のペースのままでは、すべての女性が貧困から抜け出すまでに137年、児童婚がなくなるまでには68年かかるとされています。「私たちは歴史的な分岐点に立っている」としたうえで、「この機会をつかむことができれば、私たちの生きているうちにジェンダー平等を達成することは可能だ」と述べました。
国連女性機関トップ「ミソジニーが再び台頭」
国連女性機関(UNウィメン)のシマ・バホス事務局長も、女性の権利をめぐる現状に強い危機感を示しました。女性たちが世界各地の複数の危機や紛争の影響を最も大きく受けている一方で、ミソジニーが再び勢いを増していると指摘します。
バホス氏は、ジェンダー平等を前進させるために次のような行動を挙げました。
- デジタル技術へのアクセス格差を縮小し、女性と女の子のデジタル参加を広げること
- 女性の貧困を終わらせるための投資を強化すること
- 女性と女の子に対する暴力の連鎖を断ち切るため、法制度を強化すること
読者にとっての意味: 「遠い話」を自分ごとにするには
今回の議論は、国連という遠い場所の出来事に思えるかもしれません。しかし、オンラインでの発言のあり方、職場での賃金や昇進、家庭内での役割分担など、北京宣言が問いかけるテーマは、私たち一人ひとりの日常と密接につながっています。
北京宣言30年の節目に示された現実は厳しいものですが、それは「変化の余地がまだ大きく残されている」という意味でもあります。国連の議論に注目しながら、自分の身の回りでどのような変化をつくれるかを考えることが、ジェンダー平等への一歩につながっていきます。
Reference(s):
UN chief: Time for world to deliver on promise of Beijing Declaration
cgtn.com







