南中国最大の水素燃料電池供給センターが広州で稼働
中国の石油大手・中国石油化工(Sinopec)が、広東省広州市の水素燃料電池供給センターを拡張し、南中国最大級の水素エネルギー拠点となりました。水素15トン/日の供給能力を持つこの施設は、グレーターベイエリアの水素産業の成長を後押しすると期待されています。
広州に誕生した南中国最大級の水素供給センター
中国最大の石油精製企業とされる中国石油化工は、広州市にある水素燃料電池供給センターの拡張工事を完了しました。中国の科学技術紙 Science and Technology Daily は、水曜日付の報道で、このセンターが南中国で最大の同種施設になったと伝えています。
拡張後のセンターは、燃料電池車など向けに高純度の水素を安定供給できる体制を整えました。
- 1日あたり最大15トンの水素を生産
- 水素の純度は99.999%
- 年間生産能力は5,100トン(拡張前は1,500トン)
従来の約3倍以上となる年間生産能力の増強は、地域全体の水素需要の高まりに応える動きともいえます。
なぜ水素15トン/日が重要なのか
水素15トン/日という数字は、抽象的に聞こえるかもしれませんが、水素燃料電池バスやトラック、フォークリフトなどの運行を支えるうえで大きな意味を持ちます。
例えば、燃料電池バス1台が1日に消費する水素量を仮に数十キログラムとすると、15トンの供給力は、多数の商用車両や産業用途を一度に支え得る規模です。高い純度の水素を安定的に生産できる拠点があることで、企業や自治体は水素利用の計画を立てやすくなります。
グレーターベイエリアの水素エコシステムを支える役割
広東省、香港、マカオを中心とする広東・香港・マカオグレーターベイエリアは、製造業とサービス産業が集積する中国南部の経済圏です。ここでの水素エネルギーの普及は、環境対策と産業競争力の両面で注目されています。
今回の拡張により、広州の水素供給センターは、次のような分野で重要なインフラとして機能するとみられます。
- 都市部での燃料電池バスやタクシーの導入支援
- 港湾・物流拠点での燃料電池トラックや作業車の利用拡大
- 工業地帯でのクリーンエネルギー源としての活用
地域内で水素の生産・供給能力が高まることで、輸送コストや供給リスクの低減にもつながる可能性があります。
Sinopecが進める水素インフラの全国ネットワーク
Science and Technology Daily によると、中国石油化工は現在、国内で11カ所の水素燃料電池供給センターを運営し、あわせて142カ所の水素ステーション(燃料補給所)を展開しています。
石油製品の供給網で培ったインフラ運営の経験を生かしつつ、水素エネルギーの生産拠点と燃料補給所を組み合わせたネットワークづくりを進めている形です。拡張された広州センターは、その中でも南中国を代表するハブ拠点と位置づけられます。
こうした全国的なネットワークが整備されることで、水素エネルギーは特定地域の実証段階から、より広い商業利用へと移りやすくなります。
日本の読者が押さえておきたいポイント
日本でも、水素発電や燃料電池車の普及など、水素社会に向けた取り組みが進んでいます。隣接するアジアの大規模市場で、どのようにインフラ整備が進んでいるかを知ることは、企業戦略や政策を考えるうえで重要なヒントになります。
- 水素の大量生産拠点を都市圏近郊に置くというモデル
- 石油エネルギー企業が水素インフラの中核を担う構図
- 広域経済圏単位で水素エコシステムを設計する発想
南中国での水素供給網拡充は、アジア全体での技術協力やビジネス連携の可能性にもつながり得ます。日本の企業や自治体にとっても、今後の水素戦略を考える際に参照すべき動きと言えるでしょう。
Reference(s):
South China's largest hydrogen fuel cell supply center opens
cgtn.com








