中国東部の島で海鳥を守る「最も詩的な仕事」とは?浙江・温州から
中国東部・浙江省温州市の海に浮かぶ島で、絶滅危惧の海鳥を見守る若い「ガーディアン」が、生物多様性保全の一端を担っています。29歳の何基白(He Jibai)さんが選んだのは、中国でも「最も詩的な仕事」と呼ばれることのある海鳥保護の現場です。
人里離れた島で続ける「最も詩的な仕事」
何基白さんは現在29歳。ここ3年間、絵のように美しい小さな島で暮らしながら、海を見渡し、波の音と鳥のさえずりに囲まれて仕事を続けてきました。その暮らしぶりから、この仕事は「中国で最も詩的な仕事」とも言われています。
島での日々は、単なるスローライフではありません。絶滅の危機にある海鳥を含む多くの海鳥を見守り、その存在を次の世代につなぐための地道な保全活動の連続です。
舞台は浙江省・南麂列島の国家海洋自然保護区
何さんが活動しているのは、中国東部・浙江省温州市にある南麂列島国家海洋自然保護区の島の一つです。ここは、豊かな海と島々が広がり、海鳥たちにとって貴重な繁殖地となっている場所です。
何さんは、この島で実施されている海鳥モニタリング(監視・観察)プログラムに参加しています。島に飛来・繁殖する海鳥を継続的に観察し、その様子を記録することが、海と島の生態系を理解し、守っていくための基礎データになります。
こうした「海鳥の番人」の存在があるからこそ、現場の変化をいち早く察知し、保護区としての対応につなげることができます。タイトルにあるように、海鳥のガーディアンたちが、この地域の野生生物保全を後押ししていると言えます。
研究職から海鳥保護へ――キャリアの転機
何さんはもともと、生物多様性の研究に携わる仕事をしていました。子どものころから自然観察が好きで、その延長線上に研究のキャリアがありましたが、2022年に一度仕事を離れ、キャリアの「おやすみ期間」を取る決断をします。
そのタイミングで出会ったのが、この南麂列島での海鳥モニタリングプログラムでした。研究室から離れ、自然のど真ん中で生物多様性に向き合う仕事に飛び込んだことで、これまで培ってきた知識と、自身の「自然が好き」という原点が重なった形になりました。
何さんの選択が示すもの
何さんの歩みから、次のようなポイントが見えてきます。
- 専門的な知識や研究経験は、現場の保全活動にも生かすことができる。
- 人里離れた島の小さなモニタリング拠点が、地域全体の生態系保全にとって重要な「目」となっている。
- キャリアの途中で立ち止まり、自分の関心と社会的な意義が重なる仕事を選び直すことも一つの選択肢である。
海鳥ガーディアンから考える、生物多様性と私たち
絶滅危惧の海鳥を守る活動は、一見すると遠い島での出来事に思えるかもしれません。しかし、生物多様性の保全は、海の豊かさや地域の暮らしともつながる、グローバルなテーマでもあります。
今回のニュースは、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 日々の暮らしの中で、生物多様性や環境保全にどう関わることができるのか。
- 自分の得意分野や興味を、社会課題の解決にどう重ねていけるのか。
- 働き方や生き方の選択肢を広げたとき、どんな「詩的な仕事」が見えてくるのか。
2025年の今も、南麂列島の小さな島では、何さんのような人びとが、海鳥の声に耳を澄ませながら、静かに生態系を見守り続けています。遠く離れた島の物語は、スクリーン越しにニュースを読む私たちに、自然との向き合い方や仕事との距離感をそっと問い直しているのかもしれません。
Reference(s):
Endangered seabird guardians boost wildlife conservation in E China
cgtn.com








