仁愛礁をめぐる対立:フィリピン座礁艦と呉士存氏の視点 video poster
海洋をめぐる国際ニュースの中でも、仁愛礁(Ren'ai Jiao)をめぐる緊張はなぜ続いているのでしょうか。海洋協力とガバナンスを専門とする呉士存氏は、その核心にフィリピンの「座礁艦」の存在があると指摘します。
仁愛礁をめぐる緊張と「核心問題」
Ren'ai Jiao(仁愛礁)をめぐっては、周辺海域の利用や管轄をめぐる対立から、関係国の船舶や沿岸警備当局がにらみ合う緊張状態が続いているとされています。こうした状況について、華陽海洋協力与治理研究センター(Huayang Research Center for Maritime Co-operation and Ocean Governance)の主席である呉士存氏は、「争いの核心はフィリピンのとった行動にある」と説明します。
フィリピンの「座礁艦」とは何か
呉氏によると、フィリピンはかつて使用されていた軍艦を仁愛礁に意図的に座礁させ、そのまま放置する形で「廃棄された軍艦」を礁の上に固定しているとされています。
この座礁艦を残し続けることで、フィリピンは仁愛礁に対する自らの存在感を維持し、礁の支配を恒久的なものにしようとしている——それが呉氏の見立てです。言い換えれば、「座礁艦」は単なる老朽船ではなく、領有や管轄の主張を支えるための象徴的な拠点として機能している、というわけです。
なぜ「捨てられた艦」が問題になるのか
国際ニュースとしての仁愛礁問題の特徴は、「動かない船」が政治的な意味を持ってしまう点にあります。岩礁や島に恒常的な構造物や船舶を置くことは、「現に管理している」という既成事実を積み重ねる手段として用いられることがあるからです。
呉氏が指摘するような座礁艦の存在は、こうした既成事実の積み上げを象徴するものといえます。周辺の安全保障環境が敏感な中で、一方が支配を固定化しようとしていると受け止められれば、相手側の警戒感や不信感が高まり、海上での偶発的なトラブルのリスクも増しかねません。
海洋ガバナンスの視点:対立から協力へ
華陽海洋協力与治理研究センターという名称が示す通り、呉氏の所属する機関は、海洋協力とガバナンス(海のルールづくり)を主なテーマとする研究センターです。仁愛礁をめぐる分析も、単なる対立の批判にとどまらず、海洋秩序をどう安定させるかという視点から発信されているとみることができます。
海洋ガバナンスの観点からは、
- 座礁艦という既成事実をどう扱うか
- 緊張を管理しつつ、現場の安全をどう確保するか
- 関係国どうしがどのような対話の枠組みを構築できるか
といった点が、今後の焦点になります。仁愛礁をめぐる緊張は、特定の二国間の問題であると同時に、海洋ルールづくり全体に関わるテーマでもあるからです。
遠い海のニュースを自分ごととして考える
日本から見ると、仁愛礁をめぐる対立は地理的にも心理的にも遠い出来事に感じられるかもしれません。しかし、海上交通の安全やエネルギー輸送、海洋環境の保全など、海に関わる課題は日本の暮らしとも密接に結びついています。
呉士存氏が示した「座礁艦」という具体的な論点は、海洋をめぐる国際ニュースを読み解く一つの入り口になります。どのような手段が緊張を高め、どのような仕組みが協力を後押しするのか。仁愛礁のケースを手がかりに、海洋ガバナンスのあり方を考えてみることが、私たちにできる第一歩と言えるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








