中国・陝西の壁面彫刻 Shuilu'an Templeの3,700体粘土像
中国・陝西省の「最高レベルに保存された壁面彫刻」
中国の文化や国際ニュースに関心を持つ読者のあいだで、歴史ある寺院や文化遺産を日本語で知りたいというニーズが高まっています。そうしたなか、中国・陝西省西安市の藍田県にあるShuilu'an Templeは、中国でも屈指の保存状態を誇る古代の壁面彫刻を有する寺院として注目されています。
Shuilu'an Templeは、中国で国家級の文化財として保護されている寺院で、堂内にはおよそ3,700体もの粘土製の立体像が壁面に配されています。これらは多彩な色で仕上げられたポリクローム(多色彩)のレリーフ彫刻で、中国でも最も保存状態のよい古代壁面彫刻群の一つとされています。
3,700体の粘土像がつくる圧巻の空間
寺院の内部を満たしているのは、約3,700体にもおよぶ粘土の像です。数の多さだけでなく、一体一体が丁寧に作り込まれている点が大きな特徴です。
これらの立体像は、壁から浮かび上がるように造形されたレリーフ式の彫刻で、多彩な彩色が施されたポリクローム表現が印象的です。絵画のように平面的に描かれているのではなく、彫刻としての奥行きと色彩が組み合わさることで、壁そのものが一つの大きな物語空間のように感じられます。
像の表情は驚くほど生き生きとしており、英語でlifelike expressions(生命感あふれる表情)と評されてきました。視線の向きや口元のわずかな動きからも、さまざまな感情がにじんでいるように見えます。
中国で最もよく保存された壁面彫刻群の一つ
Shuilu'an Templeの壁面彫刻群は、古代の粘土像がこれほどまとまった形で残っている点で、特に貴重だとされています。約3,700体もの像が色彩とともに残り、全体として鑑賞できる事例は、中国のなかでも限られています。
これらのポリクロームのレリーフ彫刻は、その芸術性の高さと保存状態の良さから、「中国で最もよく保存された古代壁面彫刻グループの一つ」「壁面彫刻の真の傑作」とも評されてきました。長い時間を経た現在でも、細部の造形や表情がしっかりと感じ取れる点が評価されています。
2025年のいま、壁面彫刻から考えたいこと
2025年のいま、デジタル技術によって美術作品や文化財をオンラインで見る機会が増えています。一方で、実際の空間の中で立体的な作品と向き合う体験の価値も、あらためて見直されています。
Shuilu'an Templeの壁面彫刻は、単なる観光スポットではなく、過去の人びとの世界観や祈りが立体的に刻まれた文化遺産です。3,700体の像が一つの空間に集約されていること自体が、当時の社会や信仰、価値観を想像するきっかけになります。
鑑賞するときの3つの視点
- 表情に注目する:一体ごとの顔つきや視線から、どのような感情や役割が込められているかを想像してみる。
- 色彩に注目する:多彩な彩色の残り方から、古代の美意識や表現の工夫を感じ取る。
- 全体構成を見る:個々の像だけでなく、壁面全体でどのような物語や世界が立ち上がっているかを俯瞰する。
SNS時代に広がる中国の文化遺産へのまなざし
いまは、現地に行かなくても、SNSやオンラインメディアを通じて世界各地の文化遺産の姿を目にすることができる時代です。Shuilu'an Templeの壁面彫刻も、その一部を切り取った写真や動画が共有されれば、多くの人に知られるようになるでしょう。
もちろん、画面越しの情報だけですべてを理解することはできませんが、印象的な一枚の画像が、古代の粘土像や中国の壁面彫刻に興味を持つ入口になることもあります。そこから、歴史や宗教、美術について自分なりに調べてみることで、ニュースでは見えにくい中国社会の奥行きが少しずつ見えてくるかもしれません。
日常の情報収集の合間に、こうした文化遺産のニュースや解説に触れてみることは、自分の視野を静かに広げてくれるきっかけになります。Shuilu'an Templeの壁面彫刻は、そのための一つの窓として、これからも多くの人の想像力を刺激し続けそうです。
Reference(s):
cgtn.com








