新疆イリの冬、天山山脈がつくる白銀の世界
天山山脈に抱かれた中国・新疆イリの谷は、冬になると一面が雪に覆われ、まるで白銀の妖精の国のような景色に変わります。2025年12月のいまも、その静かな変化は続いており、遠く離れた私たちの想像力をかき立てます。
天山山脈に抱かれたイリの谷の冬景色
イリの谷は、天山山脈のふもとに広がる地域で、冬になると山々から冷たい空気が流れ込み、雪が静かに降り積もります。草原や丘は厚い雪に覆われ、起伏のある大地は柔らかな曲線だけが残された白いキャンバスのようになります。
雪に光が差し込むと、地表は銀色に輝き、遠くの山並みまでが淡く霞んで見えます。このコントラストが、現実の風景でありながらどこか夢の中の世界のような印象を与えます。
カザフの牧人が駆ける雪原のドラマ
とりわけ印象的なのが、新疆イリのチャオス(昭蘇)県に広がる雪原です。そこではカザフの牧人たちが、雪に覆われた大地を馬で駆け抜けます。白い大地の上を走る黒や茶色の馬の群れは、動く影絵のようにくっきりと浮かび上がります。
馬の蹄が雪を蹴り上げるたび、粉雪が舞い上がり、冬の柔らかな光を受けてきらめきます。動きのある牧畜の風景と、静まり返った雪原との対比が、この土地ならではの冬のドラマをつくり出しています。
ユルトの煙とトウヒの森がつくる「一枚の絵」
雪原の中には、円形の移動式住居であるユルトが点々と建っています。ユルトの中で焚かれた火からは細い煙が立ちのぼり、その煙は風に揺れながら、背景に広がるトウヒ(スプルース)の森へと溶け込んでいきます。
白い雪、濃い緑の針葉樹の森、そしてユルトから立ちのぼる淡い煙。この三つが重なり合う風景は、まるで水墨画のように抑えた色調でありながら、豊かな奥行きを感じさせます。自然と人の暮らしが無理なく溶け合う構図は、都市生活とはまったく違う時間の流れを想像させます。
デジタル時代に届く「遠い冬」の物語
私たちがスマートフォンの画面越しにイリの冬景色を眺めるとき、そこには単なる絶景写真以上のものが映し出されているように感じられます。そこには、季節とともに移ろう生活のリズムや、自然と共存するための知恵がにじんでいます。
このような風景は、次のような問いを静かに投げかけてきます。
- 季節の変化と、自分の暮らしのリズムはどれだけ結びついているのか
- 自然環境の厳しさと豊かさの両方と、どう向き合うのか
- 画面を通じて見る遠い土地の現実を、自分の生活の中でどう受け止めるのか
国際ニュースを日本語で追いかける私たちにとって、イリの冬景色は「どこか遠くの美しい場所」の話であると同時に、自分たちの日常の見え方を少し変えてくれる鏡のような存在でもあります。
「見る」だけでなく「考える」きっかけに
TalkXinjiang で紹介されるイリの冬の風景は、たしかにフォトジェニックです。しかし、その背景には、雪とともに暮らす人々の生活、長く続いてきた牧畜文化、そして山と草原が織りなす独特の自然環境があります。
この冬、イリの谷の白銀の世界を思い浮かべながら、自分が立っている場所の風景や季節の変化にも、あらためて目を向けてみるのはどうでしょうか。遠い土地の冬の物語は、意外なかたちで、私たちの足元の世界の見え方を変えてくれるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








