中国・黄河を守る砂漠緑化 植林ロボットとドローンが描く「緑の万里の長城」
2025年春、中国北部のムウス砂漠の縁で、植林ロボットとドローンが活躍する光景が広がりました。砂丘の上空を飛ぶドローンが苗木を運び、地上では知能化された植林機が正確に苗木を植え付けていきます。中国の「緑の万里の長城」づくりが、テクノロジーによって新しい段階に入りつつあります。
砂漠の縁で進む「緑の万里の長城」
ムウス砂漠は、中国北部の内モンゴル自治区に位置し、黄河流域のかんがい農地のすぐそばまで広がっています。黄河は中国で2番目に長い川とされ、内モンゴル自治区だけでも、大きく蛇行しながらおよそ840キロにわたって流れています。その岸辺はムウス砂漠に加え、ウランブハ砂漠やクブチ砂漠とも接しており、この地域一帯での砂漠化対策は、黄河という「母なる川」を守るうえで重要な課題となっています。
こうした砂漠の縁に帯状の森を築き、風と砂を防ぐ取り組みは、しばしば「緑の万里の長城」とも呼ばれます。今回紹介するスマート植林は、その一部を担う試みです。
5秒で1本、知能化した植林ロボット
現場で植林機を遠隔操作していたのは、内モンゴル自治区に拠点を置くジンタイミン・テクノロジー・グループで働くガオ・フェイさんです。ガオさんによれば、この機械は同社が開発した第2世代のインテリジェント植林機で、砂漠での植林作業をほぼ完全に自動化できるといいます。
ガオさんは「ロボットが1本の苗木を植えるのにかかる時間はわずか5秒ほどです」と話します。搭載されたスクリュー状のドリルで砂地を掘り、苗木を挿し、根元に水を与え、土をかぶせてからしっかりと締め固めるまでの一連の動きを、機械が自動で行います。
- 砂地を掘り、土をほぐす
- 苗木を正確な位置と深さに挿し込む
- 根元に水を注ぐ
- 土をかぶせる
- 周囲の土を締め固めて定着させる
これらの工程を機械が途切れなくこなすことで、人手に頼る場合と比べて、作業効率は大きく高まります。
ドローンと連携する「24時間稼働」の植林
ムウス砂漠の現場上空では、ドローンが苗木を積み、広大な砂丘地帯に次々と運んでいます。地上の植林機は、ドローンから受け取った苗木を砂地に植え付けていきます。会社によると、これらの植林機には高度な技術が組み込まれており、人の常時監視なしでも、大規模な植林作業を24時間体制で続けられる設計になっています。
2025年には、試験段階の植林機4台が現場に投入されましたが、製造ラインはまだ本格的な量産には入っていません。ジンタイミン・テクノロジー・グループは、この植林機に関する独自の知的財産権を保有しており、さまざまな植栽条件に対応できる新たな機種の開発にも投資を続けています。
黄河という「母なる川」を守るために
黄河が流れるヘタオ地域では、かんがい農地が地域の暮らしと産業を支えています。一方で、その周辺に広がるムウス砂漠やウランブハ砂漠、クブチ砂漠は、ひとたび風が強まれば、砂嵐となって農地や集落を脅かしかねません。
砂漠の縁に植林帯をつくることは、砂の移動を抑え、土壌の保全や河川の安定した流れを保つことにつながります。黄河を「母なる川」として大切にしてきた人びとの暮らしを守るうえでも、砂漠緑化と水資源の保護は切り離せないテーマです。
テクノロジーが広げる砂漠緑化の可能性
砂漠での植林は、これまで過酷な気候や広大な面積、人手不足など多くの課題を抱えてきました。今回のような知能化された植林機とドローンを組み合わせた「スマート植林」は、そうした制約を乗り越える新しい手段として期待されています。
まだ試験段階で、機械の台数も限られており、量産体制の構築や維持管理のコスト、過酷な環境での耐久性など、解決すべき課題は少なくありません。それでも、1本あたり5秒で苗木を植えられる機械が本格的に普及すれば、砂漠に緑の帯を築くスピードは飛躍的に高まる可能性があります。
ムウス砂漠の縁で始まっているこの試みは、黄河流域の環境保全だけでなく、砂漠化が進む他地域にとっても一つの参考モデルになり得ます。テクノロジーを活用した砂漠緑化が、今後どこまで広がるのか。中国の「緑の万里の長城」の行方は、地球規模での環境対策を考えるうえでも、注目しておきたいテーマです。
Reference(s):
Intelligent machines boost China's 'green Great Wall' building efforts
cgtn.com








