中国の火星探査「天問3号」、世界の研究者に国際公募 生命痕跡の探索へ
中国国家航天局(CNSA)は火星探査ミッション「天問3号(Tianwen-3)」で、世界の研究機関や大学などから搭載機器の提案を募集すると火曜日に発表しました。2028年前後の打ち上げを目指し、火星での生命の痕跡や地質、大気の性質を詳しく調べるねらいがあります。
火星探査「天問3号」が目指すもの
天問3号は、火星に着陸してサンプルを採取し、地球へ持ち帰ることを目指す中国の火星探査ミッションです。ミッションは、着陸機(ランダー)、上昇機(アセンダー)、周回機(オービター)、帰還機(リターナー)という4つの要素で構成される計画です。
中国国家航天局によると、天問3号は次のような科学目標を掲げています。
- 火星での生命の可能性や、その痕跡の探索
- 火星表面の地質や内部構造の研究
- 大気の循環や、大気が宇宙空間へ逃げていく「大気散逸」の過程の解明
- 総合的な観測による、火星の「居住可能性(ハビタビリティ)」の評価
世界の研究機関に向けた国際公募
今回の発表では、世界の科学コミュニティに向けて、天問3号に搭載する観測機器や実験装置の提案を広く募集することが示されました。提案は、ミッションの中核となる科学目標と一致していることが求められます。
中国国家航天局は、提案募集のスケジュールとして、6月末までプロジェクト案を受け付け、10月ごろに最終的な選定を行う予定だとしています。
求められるのは「科学」と「技術」の両面での革新
中国国家航天局は、採択されるプロジェクトについて、科学探査と工学技術の両面で強い革新性を持つことが重要だと強調しています。単に既存の観測を繰り返すのではなく、火星の理解を一歩進める「ひと工夫」が期待されていると言えます。
とくに、火星で生命の痕跡を探る試みは、観測技術や分析手法の最前線が問われる分野です。どのような分子や鉱物を手がかりにするのか、どの深さまでサンプルを採取するのかなど、提案内容には高い専門性と創造性が求められます。
費用負担とデータ共有のルール
今回の国際公募では、選ばれた搭載機器について、ミッションへの搭載そのものは無料とされています。一方で、海外の参加機関は、機器の開発費や準備費用を自ら負担する必要があります。
さらに、データの扱いについても条件が示されています。参加機関は、中国側と観測データを共有することに合意する必要があり、中国国家航天局は国際的な研究機関同士の協力も促しています。海外の研究チームが中国の搭載機器開発チームと連携して共同プロジェクトを組む形も想定されています。
2030年ごろに火星サンプルが地球へ
天問3号で採取された火星サンプルは、2030年ごろに地球へ持ち帰られる見通しだとされています。もし計画どおりに進めば、世界中の研究者が同じサンプルをもとに火星の環境や生命の可能性を分析することになり、惑星科学にとって大きな節目となる可能性があります。
日本を含む世界の研究者にとっての意味
今回のように、火星探査ミッションが世界の科学コミュニティに広く開かれることは、各国の大学や研究機関にとっても新たな選択肢となりえます。自国単独では難しい深宇宙探査でも、国際協力の枠組みを活用すれば参加のチャンスが広がります。
火星サンプルの分析結果は、生命の起源や、将来の有人探査の可能性、さらには地球環境を考えるうえでの比較対象としても重要な手がかりになります。国際ニュースとしての注目度だけでなく、長期的な科学技術戦略の観点からも、見逃せない動きと言えるでしょう。
火星の土や岩石を実際に地球で分析する時代が近づくなかで、私たちはどのような知見をそこから引き出し、地球や人類の未来に結びつけていくのか。読者の皆さんも、自分ならどんな観測装置を火星に送りたいか、考えてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
China invites global scientific community on its Mars mission
cgtn.com








