中国・深圳の客家村、屋根を彩るブーゲンビリアの春景色
中国南部のメガシティ・深圳の客家村ガンケン古鎮では、伝統的な建物の屋根を覆うブーゲンビリアが、街並みを一面の花色に染めています。屋根からあふれ出す花々を背景に、春の景色を写真に収めようと訪れる人びとの姿が目立ち、都市と自然が近づく風景として注目されています。
屋根一面のブーゲンビリアがつくる鮮やかな風景
ガンケン古鎮の屋根には、濃いピンクや赤、紫のブーゲンビリアがびっしりと茂り、花の重みで建物の側面へと流れ落ちています。伝統的な瓦屋根のラインをなぞるように植物が張り付き、まるで建物全体が花でできたオブジェのように見える場所もあるといいます。
コンクリートとガラスの高層ビルが立ち並ぶ都市の中で、屋根そのものが花のステージとなる光景は、日常の景色と自然の境界をやわらかく溶かしているように感じられます。地上から見上げても、路地を歩いていても、視線の先には必ず花が入ってくる──そんな立体的な春の風景が広がっています。
深圳に残る客家村・ガンケン古鎮
ブーゲンビリアが咲き誇るガンケン古鎮は、深圳の中に残る客家文化の色濃い一角です。石畳の路地や伝統的な建物が並ぶ集落の上に、色鮮やかな花が重なることで、古い街並みと都市の現在が一枚の風景として重なり合っています。
急速に発展した大都市のすぐそばで、客家の村がこうして季節の花に包まれる様子は、開発と保存のバランスや、地域の文化をどう受け継いでいくかという問いも静かに投げかけています。
スマホ片手に春を追いかける「花見ハンター」たち
屋根からあふれるブーゲンビリアの景色は、春になると花を求めて歩き回る人びとを引きつけています。スマートフォンやカメラを片手に、路地のあちこちで撮影する姿が見られます。
人びとが楽しんでいるのは、例えば次のような瞬間です。
- 屋根から垂れ下がる花を背景に、友人や家族と記念撮影をする
- 細い路地の奥まで続く花のトンネルのような構図を探す
- 伝統的な建物の木の扉や窓枠と、鮮やかな花とのコントラストを切り取る
撮影された写真は、X やInstagram、ショート動画プラットフォームなどのSNSに次々と投稿され、ガンケン古鎮の風景を見た人がまた足を運ぶ、という循環も生まれています。都市の中の小さなスポットが、オンラインを通じて広く共有される典型的な例と言えるでしょう。
都市生活者が求める「身近な自然」
このブーゲンビリアの風景が多くの人を引きつける背景には、都市生活の中で自然との距離をどう縮めるかというテーマがあります。遠くの山や海ではなく、通勤圏内の街角で出会える華やかな花の景色は、忙しい毎日の中でほっと一息つける存在になっています。
特に、屋根からあふれるように広がる花は、公園の花壇とは違い、建物そのものが自然の一部になったような印象を与えます。人工物と自然をきれいに分けるのではなく、重ね合わせることで生まれる新しい景観づくりのヒントとも言えます。
ガンケン古鎮が映し出す、これからの都市像
ガンケン古鎮のブーゲンビリアは、単なる「映える」スポットにとどまりません。伝統的な客家の建物と、都市に暮らす人びとのライフスタイル、そして季節ごとに姿を変える植物が交わることで、持続可能な都市のあり方について考えるきっかけにもなっています。
大都市の中に残る小さな集落を、どう守り、どう生かしていくのか。その問いに対する一つの答えが、「花で屋根を満たす」という、シンプルでありながら印象的な手法なのかもしれません。深圳の客家村から立ち上るこの春の風景は、アジアの他の都市や日本のまちづくりにとっても、静かなヒントを与えてくれます。
Reference(s):
Bougainvillea bursts from rooftops in Shenzhen Hakka village
cgtn.com








