中国大使、イスラエルに「武力行使の執着」をやめるよう国連で警告
ガザでの空爆再開を受け、中国の傅聡(フー・ツォン)国連大使が国連安全保障理事会でイスラエルに「武力行使の執着」を捨て、ガザでの軍事作戦を直ちに停止するよう強く求めました。停戦合意の行方と国際法の信頼性が問われています。
ガザ空爆再開に中国が強い懸念
2025年3月、ガザ地区でイスラエルによる新たな空爆が行われ、数百人のパレスチナ人が死亡したとされています。この事態を受け、中国の傅聡国連大使は、火曜日に開かれた国連安全保障理事会でイスラエルに対し、ガザでの軍事作戦を直ちに停止するよう訴えました。
傅大使は「中国は、苦労して勝ち取られた停戦に損害が加えられたことを遺憾に思い、ガザでの敵対行為の再開に重大な懸念を抱いている。我々はこれを強く非難する」と述べ、ガザ情勢への強い危機感を示しました。
- イスラエルのガザ空爆で数百人が死亡したとされる
- 中国の傅聡国連大使がイスラエルに武力行使の中止と即時停戦を要求
- 停戦合意の完全履行と、人道支援の「武器化」への反対を表明
- ガザ復興では「パレスチナ人によるパレスチナ統治」の原則を支持
「軍事的手段では解決できない」——発言の中身
15カ月の衝突と42日の停戦
傅大使は、パレスチナとイスラエルをめぐる問題について「軍事的手段はパレスチナ・イスラエル問題の解決方法ではない」と強調しました。
さらに、「15カ月に及ぶ血なまぐさい衝突と、42日間続いた停戦との鮮烈な対比は、無差別な武力行使が人質の解放にとって正しい道ではなく、むしろ危険を高めかねないことを明らかにしている」と述べ、人質問題の観点からも武力依存を批判しました。
停戦合意の完全履行を要求
ガザでは停戦合意が一度成立していたにもかかわらず、空爆再開によってその履行が大きく揺らいでいます。傅大使は、「いったん停戦合意が結ばれた以上、それは誠実かつ全面的、真剣に履行されるべきであり、その途中で変更したり、骨抜きにしたりしてはならない」と指摘しました。
停戦を単なる「一時停止」ではなく、信頼に基づく約束としてどう守るのか——その問題意識がにじむ発言です。
人道支援の「武器化」への警戒
傅大使は、ガザへの人道支援をめぐる動きにも強い懸念を示しました。中国は、人道支援を政治的な駆け引きや圧力の手段として用いる「武器化」や、過度な政治化に明確に反対する姿勢を打ち出しています。
傅大使は、人道支援を交渉の「取引材料」として扱うことは、国際法、とりわけ国際人道法に違反する行為だと指摘しました。
そのうえで、ガザを占領下に置く立場にあるイスラエルに対し、国際人道法上の義務を果たし、ガザへの完全な人道アクセスを直ちに回復するよう求めました。医療や食料、水、電力などへのアクセスが制限されることは、現地の住民の生活を根底から揺るがします。
「パレスチナ人によるパレスチナ統治」と復興支援
ガザの復興と再建をめぐっては、エジプトなどアラブ諸国が共同で策定した計画が動き出そうとしています。傅大使は、中国がこのガザ復興・再建計画を支持すると表明しました。
その際に掲げられたのが、「パレスチナ人によるパレスチナ統治」という原則です。パレスチナの人々が、自らの領土で、自らの家と社会を再建できるようにするべきだという考え方です。
ガザの復興を誰が、どのような枠組みで主導するのかは、中東の将来像と直結する問題です。外からの支援と、現地の人々の主体性をどう両立させるか——傅大使の言葉は、そのバランスの取り方をめぐる議論にもつながります。
『ジャングルの法則』が支配する危険性
傅大使は、ガザ情勢にとどまらず、中東地域全体の不安定化にも警鐘を鳴らしました。
「しばらく前から、中東では危険な兆候が見られる。国際的な法の支配と国際秩序が侵害・破壊されるなかで、あたかも『ジャングルの法則』が支配しているかのようだ」と述べ、その広がりを懸念しました。
ここで言う『ジャングルの法則』とは、力の強い側が一方的にルールを決める状況を指しています。国際ルールよりも武力や圧力がものを言う状況が常態化すれば、紛争の激化や連鎖を招きかねません。
傅大使は、国連安全保障理事会が国際平和と安全を維持する主要な機関であることを踏まえ、「こうした混乱を速やかに終わらせるべきだ」と呼びかけました。
具体的には、ガザでの恒久的な停戦を実現し、中東全体の平和を取り戻し、パレスチナ問題の「包括的で、公正で、持続可能な解決」に向けて、さらなる行動を取るよう安保理に求めています。
静かに突きつけられる問い
今回の中国の発言は、ガザの人道状況に対する懸念の表明であると同時に、国際社会に対する問いかけでもあります。
停戦合意があっても戦闘が再燃し、人道支援が交渉の材料として扱われるとき、国際法のルールをどう守るのか。武力に依存しない紛争解決を本気で目指すなら、どのような外交と圧力の組み合わせが必要なのか。
中東から遠く離れた場所で暮らす人々にとっても、これらの問いは無関係ではありません。紛争のニュースに触れるたびに、「何が正当な武力行使なのか」「人道支援は誰のために、誰が決めるのか」といった論点が静かに突きつけられています。
傅大使が示した、武力行使の抑制、人道支援の非政治化、「パレスチナ人によるパレスチナ統治」というキーワードは、ガザ情勢だけでなく、今後の国際秩序や紛争解決のあり方を考えるうえでも、長く参照されるテーマになりそうです。
Reference(s):
Chinese envoy urges Israel to renounce 'obsession with use of force'
cgtn.com







