中国・日本・韓国の外相会合 経済・デジタル・文化で中日韓協力を加速へ video poster
東京で開かれた第11回中国・日本・韓国(中日韓)外相会合で、中国、日本、韓国の外相が、経済からデジタル、文化交流まで幅広い分野で三カ国協力を一段と前進させる方針を確認しました。
東京で第11回中日韓外相会合 協力の「再加速」を確認
東京で土曜日に開かれた第11回中日韓三カ国外相会合には、中国の王毅外相(中国共産党中央政治局委員)、日本の岩屋毅外相、韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外相が出席しました。
王氏は、中日韓協力は東アジアで最も根付いた、制度化された、そして将来性の高い協力枠組みの一つだと評価し、この20年あまりの成果が三カ国の発展と地域の安定、経済統合に貢献してきたと強調しました。そのうえで、「新たな状況」の下で協力をいっそう成熟させ、安定性と強靭性を高めていく考えを示しました。
三カ国は、これまでの首脳会議で合意した6つの重点分野での実務協力を着実に進めるとともに、次の10年を見据えた「中日韓協力ビジョン」に沿って、将来志向の新たな分野も開拓していくことで一致しました。
4つの柱で見る中日韓協力の方向性
王氏は、三カ国協力を「1+1+1>3」の相乗効果につなげるための具体的な方向性として、主に4つの柱を提示しました。
1. 経済・通商:FTA交渉再開とサプライチェーン安定
第一の柱は、経済・通商協力の一段の強化です。三カ国は次のような方針を示しました。
- 中日韓自由貿易協定(FTA)交渉を早期に再開し、合意を目指す
- 相互の貿易と投資を拡大し、三カ国経済の「バラスト(重し)」とする
- 輸出管理をめぐる三カ国対話メカニズムを設ける
- 産業・サプライチェーンの安定と円滑な運営を共同で維持する
世界経済の減速や地政学的リスクが高まるなか、東アジアの主要経済である三カ国が開かれた経済と自由貿易の方向性をあらためて確認した形です。
2. 科学技術・デジタル:新たな成長エンジンづくり
第二の柱は、科学技術とデジタル分野での協力です。王氏は、開放性と協力の原則に基づき、三カ国がイノベーションの機会を共有し、新たな成長エンジンを育てる必要があると述べました。具体的には、
- デジタル経済協力に関する三カ国対話メカニズムの設立
- 中国が設立を計画している「中日韓イノベーション協力センター」への日本と韓国の積極的な参加
といった構想が示されました。デジタル技術や新しい生産様式が、三カ国の「新質の生産力」として高品質な成長を後押しすることが期待されています。
3. 人的・文化交流:2030年に4000万人往来を目標
第三の柱は、人と文化の交流です。三カ国は、相互理解と信頼の土台を強めるため、2030年までに三カ国の人的往来を4000万人規模にまで拡大する目標を共有しました。
また、2025〜2026年の「中日韓文化交流年」の成功に向けて連携するとともに、
- 「Culture City of East Asia」
- 「CAPMUS Asia」
といった既存の文化交流ブランドを活用し、東アジアの伝統文化を共に発信していく方針です。観光や留学、若者交流を通じた顔の見える関係づくりが一段と重要になりそうです。
4. 共通課題・安全保障:高齢化から環境、非伝統的安全保障まで
第四の柱は、共通の課題への対応と持続可能な発展です。協力分野として、
- 健康的な高齢化や医療・ヘルスケア
- 新エネルギーやグリーン開発
- 生態・環境保護
- 防災や警察協力、テロ対策
などが挙げられました。パンデミックや気候変動、自然災害といった「非伝統的安全保障」に三カ国で向き合うことで、地域全体のレジリエンス(しなやかな強さ)を高める狙いがあります。
歴史の節目に立つ三カ国 「歴史を直視し未来へ」のメッセージ
王氏は、2025年が国際社会にとって重要な節目の年であることも強調しました。2025年は、
- 国際連合創設から80年
- 中国人民の抗日戦争勝利と世界反ファシズム戦争勝利から80年
にあたります。王氏は「歴史を真摯に振り返ってこそ、真に未来を切り開くことができる」と述べ、三カ国がこれまで確認してきた「歴史を直視し、未来に向かう」という共通認識を改めて確認すべきだと呼びかけました。
そのうえで、中日韓協力の原点を思い起こしつつ、三カ国・地域・世界全体に利益をもたらす協力の枠組みとして発展させる必要があると指摘しました。
開かれた経済と多国間主義を支える役割
会合では、世界経済の回復の遅れや地政学的な対立、世界全体で開放性が低下している現状への懸念も共有されました。王氏は、中国、日本、韓国はいずれもアジア太平洋の重要な国であり、世界の主要経済として、
- 開かれた経済の大きな方向性を堅持すること
- 自由貿易を守り、ルールに基づく多角的な貿易体制を支えること
- 排他的でない、包摂的な国際経済環境を育てること
が重要だと強調しました。経済のグローバル化を、より多くの人々が恩恵を受けられる形で進めていくことも課題として挙げました。
地域面では、東南アジア諸国連合(ASEAN)の共同体づくりを引き続き支持し、「中日韓プラス(China-Japan-ROK+)」形式での協力プロジェクトを増やす方針も示されました。三カ国協力の活力を、東アジア全体の協力枠組みに波及させる狙いがあります。
安全保障については、共通・総合・協力的・持続可能な安全保障という新たな理念を実践し、アジアの運命をアジア自らの手に委ねていくべきだと強調しました。
次の節目へ向けて 何が焦点になるか
今回の外相会合では、第10回中日韓三カ国首脳会議(サミット)に向けた準備も議論されました。三カ国は、これまでの6つの重点分野での協力をバランスよく前進させつつ、新しい協力分野を積極的に探る必要があるとの認識で一致しました。
今後の注目ポイントとしては、
- 中日韓FTA交渉がいつ、どのような形で再開されるか
- デジタル経済協力対話やイノベーション協力センターの具体像
- 2025〜26年の「中日韓文化交流年」でどのような事業が打ち出されるか
- 2030年までに人的往来4000万人を実現するための制度・環境整備
などが挙げられます。
中日韓の関係は、政治・安全保障面では課題も抱えていますが、同時に経済・社会・文化面での相互依存も深まっています。今回の外相会合で確認された三カ国協力の方向性が、東アジアの安定と繁栄にどうつながっていくのか。これからの具体的な動きを、引き続き丁寧に見ていく必要がありそうです。
Reference(s):
China, Japan, ROK FMs pledge to advance trilateral cooperation
cgtn.com








