中国が国連の中心性と多国間主義を強調 北京で国際シンポ開催
国際ニュースとして注目される中国外交の最新動向です。中国の王毅外相は、国連の中心的役割を守り「真の多国間主義」を進める姿勢を改めて強調し、揺らぐ国際秩序の中で、協調に基づくグローバル・ガバナンスの重要性を訴えました。
北京で「国連の役割強化と多国間主義」国際シンポ
中国外交部が北京で主催した国際シンポジウム「国連の役割を強化し、多国間主義を推進する」が開かれ、中国国内に駐在する各国代表や国際機関、地域機関の関係者のほか、専門家や研究者など100人以上が参加しました。およそ50の国や国際機関・地域機関から代表が集まり、多国間主義と国連の将来について議論しました。
王毅国務委員兼外相(中国共産党中央政治局委員)は、シンポジウムに寄せた書面メッセージの中で、中国が各国と協力しながら多国間主義を実践し続ける考えを示しました。
王毅外相が示した「真の多国間主義」
王毅外相が繰り返し用いたキーワードは「真の多国間主義」です。ここで示されたポイントは次のように整理できます。
- 国際課題は一部の国ではなく、多くの国・地域が参加する枠組みで議論すべきだという考え方
- 国連を中心とした国際システムを尊重し、国際ルールを共に作り、共に守る姿勢
- 「広範な協議・共同の貢献・利益の共有」に基づくグローバル・ガバナンス(世界的なルールと運営)の推進
王毅外相は、中国が創設メンバーであり、安全保障理事会の常任理事国でもある国連の枠組みの中で、各国とともにこうしたアプローチを続けていくと強調しました。
さらに、中国は「変化と不確実性の大きい世界に安定をもたらし、より公正で公平な国際秩序づくりにプラスのエネルギーを注ぎ、人類共通の未来を共有するビジョンの実現を目指す」との姿勢を打ち出しています。これは中国が掲げる「人類運命共同体」という理念と重なるメッセージです。
2025年、国連創設80年の節目に何が問われているか
王毅外相は、今年が「世界反ファシズム戦争の勝利」と「国連創設」から80年の節目にあたると指摘しました。2025年というタイミングで、国際社会に求められている課題として次の点を挙げています。
- 各国が連帯と協調を強め、対立より対話を優先すること
- 公正と正義を守り、すべての国・地域が尊重される国際秩序を維持すること
- 世界の平和と安定を守り、紛争や緊張の拡大を抑えること
- 持続可能な発展と繁栄を、より多くの人々に行き渡らせること
こうした課題認識のもと、中国は国連の中心的役割を支持し、国際協調を重視する立場を改めて示した形です。
シンポジウムの参加者と議論の広がり
今回のシンポジウムには、約50の国や国際機関、地域機関の代表が中国に集まりました。国連関係者や中国の関係部門の担当者、専門家・研究者も参加し、多国間主義のあり方について議論を交わしました。
参加者が多様であることは、多国間主義の議論自体が一部の国だけのものではなく、より広い国際社会全体のテーマとなっていることを示しています。安全保障、経済、気候変動、デジタル技術など、分野をまたぐ課題への対応が求められているためです。
日本の読者にとっての意味:なぜ国連と多国間主義が重要か
日本から見ると、中国の国連重視や多国間主義のメッセージは、少し距離のある話に感じられるかもしれません。しかし、次のような点で私たちの生活とも無関係ではありません。
- 国連安全保障理事会や各種国際機関で決まる制裁やルールは、エネルギー価格や貿易、サプライチェーンに影響する
- 気候変動対策や持続可能な開発目標(SDGs)の達成度は、日本のビジネスや雇用、地域社会のあり方にも跳ね返る
- AIやデータ保護など新しい分野の国際ルール作りは、日本企業の競争力や個人のプライバシーにも直結する
こうした分野で、どのような枠組みを通じて、どの国・地域がどのような形でルール作りに関わるのか。その一つの答えが「国連を中心とした多国間主義」です。
キーワードで整理する今回のニュース
多国間主義
特定の国同士ではなく、多くの国・地域が参加する枠組みで、協議しながら国際問題を解決していく考え方です。国連はその代表的な舞台の一つです。
グローバル・ガバナンス
国境を越える課題に対し、国や国際機関、地域機関などが協力してルールをつくり、実行していく仕組みを指します。今回、中国はこのグローバル・ガバナンスを「広範な協議・共同の貢献・利益の共有」の原則で進めるべきだと訴えました。
国連の中心的役割
各国が国連憲章の原則を尊重し、国連を外交の重要な舞台として活用することを意味します。安全保障だけでなく、開発、人権、人道支援など幅広い分野で国連の役割が重視されています。
これからの焦点:国連と多国間主義をめぐる議論はどこへ向かうか
今回のシンポジウムを通じて、中国は国連中心の多国間主義を支持する立場を改めて示しました。一方で、国連改革やグローバル・ガバナンスのあり方をめぐる議論は今後も続いていきます。注目すべき論点として、次のようなものが挙げられます。
- 安全保障理事会を含む国連改革の議論がどの方向に進むのか
- 安全保障、開発、人権といった異なる課題のバランスをどう取るのか
- AIやデジタル経済、気候危機など新しい課題を、国連と多国間枠組みでどう扱うのか
中国は「人類が未来を共有する」というビジョンとともに、多国間主義の実践を呼びかけています。こうした動きは、新しい国際ルールづくりの一部として、今後もフォローしていく必要がありそうです。
国連創設80年という節目の2025年。日本を含む各国がどのような形で多国間主義に関わり、国連の場でどのような存在感を示していくのかが、これからの重要な問いになっていきます。
Reference(s):
China stresses multilateralism and central role of United Nations
cgtn.com








