世界室内陸上南京2025:ウー・ヤンニが女子60mハードル中国記録を更新
世界室内陸上競技選手権南京2025で、中国のハードラー、ウー・ヤンニが女子60メートルハードルで国内記録を塗り替えました。決勝進出は逃したものの、今後の中国女子ハードル界を占う一歩として注目されています。
ウー・ヤンニ、8秒01で女子60mハードル中国記録
女子60メートルハードル準決勝で、中国のウー・ヤンニは8秒01をマークし、中国国内記録を更新しました。会場は中国江蘇省南京市で行われた世界室内陸上競技選手権です。
このタイムは自身と中国女子ハードル界にとって大きな前進となりましたが、決勝進出にはわずかに届きませんでした。それでも、世界のトップ選手が集う舞台で記録を更新したことは、中国陸上短距離・ハードル陣の底上げを示す結果と言えます。
女子60メートルハードルのメダル争いは、世界のスプリンターたちのハイレベルな戦いとなりました。
- 金メダル:デヴィン・チャールトン(バハマ) 7秒72(今季ベスト)
- 銀メダル:ディタジ・カムブンジ(スイス) 7秒73
- 銅メダル:アケラ・ニュージェント(ジャマイカ) 7秒74
わずか0秒02の中に3人がひしめく接戦で、女子ハードルの世界的な層の厚さがあらためて示されました。
アメリカ勢が4×400mリレーを席巻、中国男子は惜しくも表彰台逃す
今大会の陸上ニュースの中でも、4×400メートルリレーは世界のスプリント力を象徴する種目となりました。男女ともにアメリカが主導権を握り、強さを見せつけています。
男子4×400mリレー:アメリカが圧勝、中国は4位で国内新
男子4×400メートルリレーでは、アメリカが3分03秒13で優勝しました。クリス・ベイリー、ブライアン・ファウスト、ジャコリー・パターソン、エライジャ・ゴッドウィンというメンバー構成で、2位のジャマイカに約2秒差をつける快勝でした。
レース中盤まで3位につけていた中国は、終盤にハンガリーのアッティラ・モルナールの猛追を受け、惜しくも4位。しかし、3分06秒90の国内新記録をマークし、結果と内容の両面で存在感を示しました。
- 金メダル:アメリカ 3分03秒13
- 銀メダル:ジャマイカ
- 銅メダル:ハンガリー 3分06秒03(国内新記録)
- 4位:中国 3分06秒90(国内新記録)
世界の表彰台と国内新記録。その間にあるわずかな差をどう埋めていくかは、今後の中国男子短距離・リレー強化の大きなテーマとなりそうです。
女子4×400mリレー:アメリカが再び頂点に
女子4×400メートルリレーでもアメリカが強さを見せました。クアネラ・ヘイズ、ベイリー・リア、ロージー・エフィオン、アレクシス・ホームズの布陣で、3分27秒45を記録して金メダルを獲得しました。
- 金メダル:アメリカ 3分27秒45
- 銀メダル:ポーランド 3分32秒05
- 銅メダル:オーストラリア 3分32秒65
男女ともに4×400メートルリレーを制したアメリカ勢は、室内シーズンにおける中長距離リレーの主役であることを証明した形です。
800mの大接戦:ラスト数メートルまで勝者が見えない展開
男子800m:0秒04差のドラマ
男子800メートル決勝は、アメリカのジョシュ・ホーイ、ベルギーのエリオット・クレスタン、スペインのエルビン・カナレスによる激しい三つ巴の戦いとなりました。
ホーイはラストストレートで先頭に飛び出しましたが、ゴール直前でややペースが落ち、背後から猛追を受けます。それでもわずか0秒04の差で逃げ切り、1分44秒77で金メダルを獲得しました。
インドアの800メートルは、位置取りとラスト1周の駆け引きが結果を大きく左右する種目です。その意味で、今大会のレースは「戦術」と「スピード」の両方が凝縮された象徴的な一戦となりました。
女子800m:南アフリカ勢が世界トップレベルの走り
女子800メートルでは、南アフリカのプルーデンス・セクゴディソアが1分58秒40の自己ベスト(世界トップクラスの室内記録)で優勝し、初の世界大会メダルを金色で飾りました。
- 金メダル:プルーデンス・セクゴディソア(南アフリカ) 1分58秒40
- 銀メダル:ニギスト・ゲタチュー(エチオピア)
- 銅メダル:パトリシア・シルバ
中距離種目でも、アフリカ勢の層の厚さと成長が印象的な結果となりました。
中長距離のスターたち:インゲブリグトセンとツェガイが存在感
インゲブリグトセン、3000mに続き1500mでも金
ノルウェーのヤコブ・インゲブリグトセンは、3000メートルに続き1500メートルでも金メダルを獲得し、見事な二冠を達成しました。タイムは3分38秒79です。
- 金メダル:ヤコブ・インゲブリグトセン(ノルウェー) 3分38秒79
- 銀メダル:ニール・ガーリー(イギリス) 3分39秒07
- 銅メダル:ルーク・ハウザー(アメリカ)
室内トラックはカーブがきつく周回も多いため、ペース配分と位置取りが難しくなります。その中で二冠を達成したインゲブリグトセンは、依然として世界の中距離界をリードする存在であることを示しました。
ツェガイ、女子1500mで大会記録更新
女子1500メートルでは、エチオピアのグダフ・ツェガイが3分54秒86で自身の大会記録を更新し、圧巻の走りで金メダルを獲得しました。
- 金メダル:グダフ・ツェガイ(エチオピア) 3分54秒86(大会記録)
- 銀メダル:ディリベ・ウェルテジ(エチオピア) 3分59秒30
- 銅メダル:ジョージア・ハンター・ベル(イギリス) 3分59秒84(自己ベスト)
エチオピア勢がワンツーフィニッシュを決めるなか、イギリスのハンター・ベルも自己ベストで3分台に突入。女子中距離でも、記録と戦術の両面でレベルの高いレースが展開されました。
跳躍・投てきでも世界トップが躍動
男子走り幅跳び:8メートル30センチの接戦
男子走り幅跳びは、8メートル30センチを跳んだイタリアのマッティア・フルラーニが優勝しました。ジャマイカのウェイン・ピノックが4回目の跳躍で8メートル29センチをマークし、わずか1センチ差の銀メダル。オーストラリアのリアム・アドコックが8メートル28センチで銅メダルを獲得しました。
上位3人が2センチ差に収まるハイレベルな争いは、走り幅跳びという種目のダイナミズムと一瞬の集中力を象徴する結果となりました。
女子走り幅跳び:ブライアントが国際舞台デビューで金
女子走り幅跳びでは、アメリカのクレア・ブライアントが国際大会での大舞台デビュー戦ながら、1回目から首位に立つ安定した試合運びを見せました。5回目の試技で自己ベストとなる6メートル96を跳び、金メダルを手にしています。
- 金メダル:クレア・ブライアント(アメリカ) 6メートル96(自己ベスト)
- 銀メダル:アニク・カリン(スイス)
- 銅メダル:ファティマ・ディアメ(スペイン)
初の大舞台で自己ベストと金メダルを同時に獲得したブライアントの躍進は、今後の女子走り幅跳びの勢力図を変える可能性もあります。
女子走高跳:オリスラーガースがタイトル防衛
女子走高跳では、オーストラリアのニコラ・オリスラーガースが1メートル97をクリアし、タイトル防衛に成功しました。同じくオーストラリアのエリノア・パターソンが僅差で続き、ウクライナのヤロスラワ・マフチクが1メートル95で銅メダルを獲得しました。
安定感と勝ち切る力が求められる室内の走高跳で、オリスラーガースは冷静な試技選択と高い技術で再び頂点に立ちました。
男子砲丸投:トム・ウォルシュが3度目の世界室内タイトル
男子砲丸投では、ニュージーランドのトム・ウォルシュが21メートル65の今季ベストを投げ、3度目となる世界室内タイトルを獲得しました。わずか3センチ差でスウェーデンのロジャー・ステーンが続き、アメリカのエイドリアン・ピペリが21メートル48で銅メダルとなりました。
センチ単位の攻防が続く砲丸投で、ベテランのウォルシュが再び頂点をつかんだことは、技術と経験の重要性をあらためて示す結果となりました。
七種競技:スコットハイムが二つのタイトルを手中に
男子七種競技(ヘプタスロン)では、ノルウェーのサンダー・スコットハイムが6475点で優勝しました。数週間前にヨーロッパ室内選手権のタイトルを獲得したばかりで、今大会の勝利はその勢いを裏付けるものです。
- 金メダル:サンダー・スコットハイム(ノルウェー) 6475点
- 銀メダル:ヨハネス・エルム(エストニア) 6437点(国内新記録)
- 銅メダル:ティル・シュタインフォルト(ドイツ) 6275点
短距離、跳躍、投てき、そして中距離をこなす七種競技は、陸上競技の総合力が問われる種目です。スコットハイムの連続タイトルは、多種目を高いレベルでまとめ上げる能力の高さを物語っています。
南京2025が映した世界陸上の現在地
世界室内陸上南京2025は、短距離から中長距離、跳躍、投てき、多種目まで、各分野で新たなスターとベテランの存在感が交差する大会となりました。
- 中国のウー・ヤンニが女子60メートルハードルで国内記録を更新
- アメリカ勢が男女4×400メートルリレーを制し、リレー王国としての力を再確認
- ノルウェー、エチオピア、南アフリカなど、多様な地域から中長距離のトップランナーが台頭
- 跳躍・投てきでも若手と実績ある選手が拮抗したレベルの争いを展開
室内シーズンの結果は、そのまま屋外シーズンの勢力図を決めるわけではありません。しかし、記録の伸びや勢いのある選手の動向は、今後の国際大会を占ううえで貴重なヒントとなります。
アジアの一大都市・南京で開催された今大会は、中国を含むアジア各地域の陸上選手にとっても、大きな刺激となったはずです。ウー・ヤンニの国内記録更新や、中国男子リレーの国内新記録は、その象徴とも言えるでしょう。
グローバルな視点で世界の陸上ニュースを追いながら、自国や地域の選手の成長をどう位置づけて見るか。その視点を持つことが、国際スポーツをより深く楽しむ鍵になっていきます。
Reference(s):
Wu Yanni breaks women's 60m hurdles national record at Nanjing 2025
cgtn.com








