中国とフランス、「デカップリング反対」で一致 北京で外相会談
2025年3月27日に北京で行われた中国とフランスの外相会談で、両国は経済や技術分野での「デカップリング(切り離し)と断絶」に反対し、対話と協力を重視する姿勢を改めて示しました。国際秩序が揺らぐなか、中国・EU関係や気候変動対策にも影響しうる動きとして注目されています。
対立より対話を 王毅外相「弱肉強食のジャングルにしてはならない」
会談で中国の王毅外相は、中国とフランスが「大国としての責任」を示し、多国間主義を実践し、一方的な行動に反対すべきだと呼びかけました。国際情勢が大きく変動するなかで、対立ではなく対話を、デカップリングや産業チェーンの断絶ではなくウィンウィンの協力を選ぶべきだと強調しました。
王外相は、世界を「強い者が弱い者を餌食にするジャングル」にしてはならないと述べ、中国とフランスが戦略的な協調を強め、互いの主要な多国間構想を支持し合う必要性を訴えました。
フランスも「デカップリング反対」「貿易戦争に反対」
フランスのジャン=ノエル・バロ外相は、世界的な不確実性の高まりや保護主義の台頭を踏まえ、現在の国際情勢の中でフランスと中国の関係の重要性は一層高まっていると指摘しました。
バロ外相は、フランスは常に中国を重要なパートナーとみなし、一つの中国の方針を堅持してきたと述べました。そのうえで、将来志向で長期的かつ安定したフランス・中国関係の構築に取り組むと表明しました。
また、両国が世界の平和と安定を維持する役割を果たすためにも戦略的協調を強化する必要があると強調。フランスは自由貿易を支持し、「デカップリングと断絶」に賛成せず、貿易戦争にも反対する姿勢を明確にしました。
気候変動で共同声明 多国間主義とパリ協定を再確認
会談後、両国は気候変動への対応に関する共同声明を発表し、この分野での国際協力を一層強化する方針を打ち出しました。声明では、多国間主義を堅持しつつ、パリ協定を断固として支持する立場を改めて確認しました。
気候変動は、どの国も単独では解決できない地球規模の課題です。中国とフランスという主要国が、気候分野での協力と多国間枠組みの維持を明確に打ち出したことは、国際社会に対するメッセージでもあります。
高品質な協力の深化 伝統分野から新産業まで
王外相は、中国が「高品質な発展」を実現するうえでフランスを優先的なパートナーと位置づけていると述べました。従来の分野での協力を深めるとともに、相互投資を後押しし、新たな分野での協力を拡大することで、中仏協力に新たな原動力を与えたい考えです。
バロ外相も、これまでの実務協力の成果を高く評価し、質の高い対話を通じて意見の違いや対立を乗り越え、対等で互恵的な協力を進める意向を示しました。双方向の投資を拡大し、人文交流(人と人との交流)を豊かにしていくことにも前向きです。
王外相は記者団に対し、両国が2025年内に、戦略、経済・金融、文化をテーマとする三つのハイレベル対話を開催する方針で一致したと明らかにしました。
さらに両国は、次のような分野での協力拡大にも合意しました。
- 農業
- 原子力エネルギー
- 航空
- 宇宙航空
- 人工知能(AI)
- デジタル経済
- インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ネット接続型自動車)
- グリーン水素
- バイオ製造
王外相は、中国側として能力と意欲のある中国企業がフランスへの投資や事業展開を進めることを奨励すると述べました。
中国・EU関係の安定に向けて
会談では、中国とEUの関係についても意見交換が行われました。王外相は、中国とEUの間には「競争よりも協力が多く、相違点よりも共通認識が多い」と述べ、両者がより良い関係を築くことは十分に可能だとの考えを示しました。
中国は欧州統合を強く支持し、EUが戦略的自立性を追求することを後押しすると表明しました。そのうえで、中国とEUの国交樹立50周年を機に、双方が協力して意見の相違を適切に処理し、互恵的な協力を進め、中国・EU関係の新たな展望を切り開きたいとしました。
バロ外相は、フランスとして、ヨーロッパと中国が対話を通じて貿易摩擦を交渉ベースで解決することを支持すると述べました。
読み手にとっての意味 「断絶」ではなく関与をどうデザインするか
今回の中国・フランス外相会談は、経済安全保障や保護主義への懸念が広がる中でも、主要国が「対話」と「協力」を前面に出そうとしていることを示しています。サプライチェーンを一方的に断ち切るのではなく、リスク管理と協力のバランスをどう取るかという問いが、あらためて浮かび上がりました。
日本を含む多くの国や企業にとっても、「デカップリングと断絶」を避けつつ、自国の産業や技術をどう守り育てるのかは共通の課題です。中国とフランスが掲げる「対話による解決」「多国間主義の重視」は、その一つのモデルとして注視する価値があります。
国際ニュースを追う私たち一人ひとりにとっても、「分断か協力か」という二者択一ではなく、どのようなルールや仕組みで関与していくのかを考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








