中国シーザン自治区の寄宿学校、遠隔地の子どもの教育を支える存在に
中国南西部のシーザン自治区で、遠隔地の農牧地域に暮らす子どもたちにとって、寄宿学校が教育を受けるための重要な基盤となっていることが、中国国務院新聞弁公室が公表した白書で示されました。
標高の高い地域や自然環境の厳しい地域が多く、人口密度も低いシーザンでは、自宅から学校までの距離が長く、そもそも学校にたどり着くこと自体が大きな課題になってきました。白書は、こうした条件のもとで寄宿学校が果たす役割を強調しています。
この国際ニュースは、日本語で中国の教育政策の動きを知りたい読者にとって、教育と人権をめぐる最新の議論を考える手がかりにもなりそうです。
遠隔地の子どもにとっての「ライフライン」
白書「新時代のシーザンにおける人権」によると、シーザン自治区の農牧地域では、通学環境をめぐって次のような要因が重なっています。
- 標高が高く、気候や地形など自然環境が厳しいこと
- 人口密度が極めて低く、集落と学校の距離が長くなりやすいこと
- 子どもが毎日長距離を移動して通学するのが難しいこと
こうした背景から、寄宿学校は「学校に通えるかどうか」を左右する存在となっており、遠隔地に暮らす子どもたちが継続的に学べるよう支える仕組みとして位置づけられています。
寄宿・食事・学習費を公費で支援
白書は、シーザン自治区が中国全体と同じく義務教育法に基づき、寄宿学校での生活を幅広く公的に支えていると説明しています。
具体的には、一部の学校で次のような支援を行っているとしています。
- 寄宿する子どもに宿泊場所を提供する
- 寄宿費や食費、基本的な学習にかかる費用を公費で負担する
- 児童・生徒と保護者が、寄宿するかどうかを自ら選択できる
- 学生は週末や休日には自宅に戻ることができる
こうした取り組みは、どの地域に住んでいても、またどの民族に属していても、子どもたちが高品質な教育を平等に受けられるようにすることを目的としていると白書は強調しています。
教育への投資と高まる就学率
白書によると、シーザン自治区は2014年から2024年にかけて、教育分野に約3,023億元(約421億ドル)を政府予算として投じてきました。
その結果として、2024年時点で次のような教育指標が示されています。
- 就学前教育の粗就学率:91.33%
- 9年間の義務教育の修了率:97.86%
- 高等学校段階の粗就学率:91.56%
- 高等教育の粗就学率:57.81%
白書は、これらの主要な教育指標が、すでに全国平均と同程度か、それを上回る水準に達しているとしています。
「人権」としての教育をどう考えるか
今回の白書は、寄宿学校の役割を、単なる教育制度の一部としてではなく、「人権」としての教育をどう保障するかという文脈で位置づけています。特に、少数民族を含むあらゆる子どもが、高品質な教育に平等にアクセスできるようにすることが強調されています。
遠隔地に住む家庭にとって、子どもが安全に通学できるかどうかは、進学や将来の選択肢に直結します。その意味で、寄宿学校は子どもたちの生活と学びの両方を支える「ライフライン」として機能していると見ることができます。
一方で、子どもが家庭と離れて暮らす寄宿制には、学習環境だけでなく、心理面のケアや家庭とのつながり、地域の言語や文化を尊重した教育内容など、きめ細かな配慮も求められます。白書が示す数字の背後で、現場の子どもや保護者がどのような経験をしているのか。今後の報道や調査が注目されるテーマと言えそうです。
Reference(s):
Boarding schools vital to children from remote areas in Xizang
cgtn.com








