上海が観光地で「歩く煙」対策 屋外の受動喫煙に一歩前進
中国の大都市・上海が、観光地での「歩く煙」対策に乗り出しました。今年3月中旬から始まった試行は、屋外の受動喫煙と観光地のマナーをどう両立させるかを考える実験でもあります。
「歩く煙」とは?屋外に広がる受動喫煙
「歩く煙」は、歩きながらたばこを吸う人から出る煙によって生じる受動喫煙を指す言葉です。吸っている本人が移動することで煙も一緒に動き、周囲の人が意図せず煙を吸い込んでしまうリスクが高まります。
屋外での喫煙は、屋内より煙が拡散しやすい一方で、すれ違いや行列など、人と人との距離が近い場面では、短時間でも煙を浴びることがあります。特に小さな子どもや高齢者、呼吸器に不安を抱える人にとっては負担になりかねません。
上海が3月から始めた「歩く煙」対策
上海では2025年3月中旬から、「歩く煙」を抑える取り組みが始まりました。対象となっているのは、外灘(バンド)や南京路、新天地などを含む、人気の観光地8カ所です。
人出が多く、国内外からの観光客も集まる場所をあえて選び、歩きたばこの煙を減らすことで、より快適で安全な公共空間を目指すねらいがあります。屋外での喫煙対策は取り締まりが難しいとされてきましたが、上海はまず人の流れが集中するエリアから一歩を踏み出した形です。
具体的な進め方は場所によって異なりますが、おおまかには次のような方向性が想定されます。
- 歩きたばこを控えるよう呼びかける掲示やアナウンス
- 混雑エリアでの見回りや声かけによるマナー啓発
- 立ち止まって喫煙できるスペースへの誘導
屋外での新しいルールづくりを通じて、「歩きながら吸うのは控えよう」という行動変容を促すことが狙いといえます。
なぜ屋外の「歩く煙」を取り締まるのは難しいのか
屋外での喫煙は、法律や条例で全面的に禁止されていないことが多く、「どこまでが違反なのか」を線引きしづらいのが現実です。たとえ歩きたばこを禁止しても、短時間の移動で終わる場合は、現場で注意したり記録したりすることが難しくなります。
また、次のような事情もハードルになります。
- 人の流れが絶えず動き、誰が煙を出したのか特定しにくい
- 観光客や出張者など、地域のルールを知らない人も多い
- 取り締まりを厳しくしすぎると、街の雰囲気や観光の魅力に影響しかねない
こうした理由から、「歩く煙」への対応は、罰則だけでなく、マナー啓発や空間づくりとセットで考える必要があります。
観光都市・上海にとっての意味
上海はアジアを代表する観光・ビジネス都市であり、多くの訪問者が外灘や南京路、新天地の街歩きを楽しみます。その中心部で「歩く煙」を抑える取り組みを始めたことは、次のようなメッセージでもあります。
- 健康リスクのある受動喫煙をできるだけ減らしたい
- 観光地の快適さや安全性を高め、来訪者の経験を向上させたい
- 国際都市として公共マナーをさらに引き上げたい
今後、この試みの成果次第では、対象エリアの拡大や、他の都市への波及も考えられます。2025年の今、歩きたばこ対策は、アジアの大都市が共有するテーマになりつつあります。
日本への示唆:歩きたばこをどう減らすか
日本でも、多くの自治体が路上喫煙や歩きたばこを規制してきました。一方で、駅周辺や観光地など、人が集まる場所では、屋外の「歩く煙」に悩まされる場面が残っています。
上海のように、人が集中する観光地から優先的に対策を始めるやり方は、日本の都市にとっても参考になります。特に次のようなポイントは、共有できる論点と言えるでしょう。
- 「禁止」だけでなく、「吸いやすい」「吸わないでほしい」場所を分かりやすく示す
- マナー違反を責めるより、「みんなで守るルール」として伝える
- 観光地のブランドやイメージづくりと、喫煙対策をセットで考える
健康、マナー、自由のバランスをどう取るか
喫煙は個人の選択である一方で、受動喫煙は周囲の健康に影響を与えます。「歩く煙」をめぐる議論は、この二つの価値をどうバランスさせるかという問いでもあります。
上海が今年始めた観光地での新しい取り組みは、屋外の受動喫煙に正面から向き合おうとする試みです。日本を含む各地の都市が、この動きをどのように受け止め、自分たちの街に合ったルールづくりにつなげていくのか。2025年の今後も、注目していきたいテーマです。
Reference(s):
cgtn.com








