AIと地球の未来をどう守る?北京フォーラムで研究者が技術観の見直し提言
AIや量子コンピューティングなどの新しいテクノロジーを、人類と地球の未来のためにどう位置づけ直すか。北京の清華大学で開かれた第6回「Media Materiality Forum」で、研究者たちがその問いに真正面から向き合いました。2025年の現在、日本を含む世界にとっても無関係ではないテーマです。<\/p>
清華大学新聞・伝播学院が主催し、土曜日に北京で開かれたこのフォーラムには、中国本土の中国人民大学の劉海龍(リウ・ハイロン)教授と、ドイツのボン大学のイェンス・シュレーダー教授が基調講演者として登壇しました。2人は、新興テクノロジーの進歩は、倫理、文化的多様性、地球の持続可能性と整合的でなければならないと強調しました。<\/p>
テクノロジーは「道具」ではなく、社会と地球を変える関係性<\/h2>
両教授は、テクノロジーを単なる便利な道具や、次々と起こる技術革命としてだけ捉える見方を批判しました。重要なのは、技術が社会構造や文化、さらには地球環境にどのような影響を与えているのかを、全体として捉える視点だと指摘します。<\/p>
劉教授とシュレーダー教授は、テクノロジーの進歩は次のような枠組みと結びついて進めるべきだと語りました。<\/p>
- 人間の尊厳や自由を守るための倫理的な枠組み<\/li>
- 多様な文化や価値観を尊重する視点<\/li>
- 地球規模の環境負荷を抑える持続可能性の視点<\/li>
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こうした視点を欠いたまま技術だけが加速すると、恩恵とともに格差の拡大や監視強化、環境負荷の増大など、望ましくない結果を生みかねないという問題意識が共有されています。<\/p>
西洋の「道具観」と東アジアの「調和」の哲学<\/h2>
劉教授は、技術をどう見るかという「技術観」の違いにも注目しました。西洋では、テクノロジーを価値中立なツールとして扱う、道具主義的な見方が強いとされます。つまり、技術そのものは中立であり、良いか悪いかは使い方次第だとする考え方です。<\/p>
一方で東アジアの思想には、人間と道具と自然のあいだの調和を重んじる伝統があります。劉教授は、この対比を通じて、人間・技術・自然の関係をどう設計し直すかという問いに、多様な哲学的視点を持ち込むことの重要性を示しました。<\/p>
技術を「支配のためのツール」と見るのか、「共存のための媒介」と見るのか。その違いは、AIや量子コンピューティングの開発目標や評価基準にも、長期的には大きな差を生む可能性があります。<\/p>
「無限の計算パワー」という幻想と、有限な地球<\/h2>
議論のなかで劉教授は、「計算能力は無限に拡大できる」という幻想に警鐘を鳴らしました。地球の資源は有限であり、無制限の計算成長を前提にしたテクノロジーの発展モデルは、いずれ限界にぶつかると指摘します。<\/p>
特に、巨大なデータ処理を必要とするAIは、膨大な電力を消費し、サーバー設備の更新に伴う電子ゴミの問題も深刻化させています。量子コンピューティングのような新技術も、同様にエネルギーや資源の問題と切り離して語ることはできません。<\/p>
劉教授は、無限のコンピューティング成長を前提とする発想そのものが、地球の物理的な限界を見落としていると指摘しました。テクノロジーの議論を、抽象的な「計算能力」や「性能」だけでなく、資源やエネルギーの循環という現実と接続する必要性が浮かび上がります。<\/p>
2025年の現実:便利さの裏側で何が起きているのか<\/h2>
2025年のいま、多くの人が生成AIや高度なクラウドサービスを当たり前のように使い、テクノロジーの恩恵を日々享受しています。しかし、その便利さの裏側でどれだけの電力が使われ、どれだけの資源が消費されているのかを意識する機会は、まだ多くありません。<\/p>
今回の北京フォーラムでの議論は、私たち一人ひとりにも次のような問いを投げかけています。<\/p>
- 新しいテクノロジーを導入するとき、その環境負荷まで含めて評価しているか<\/li>
- 技術の設計や運用に、異なる文化や価値観の声を反映できているか<\/li>
- 短期的な効率や利益だけでなく、長期的な地球の持続可能性を考えているか<\/li>
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AIや量子コンピューティングのような先端技術は、社会や経済を大きく変える可能性を秘める一方で、そのコストやリスクが見えにくくなりがちです。だからこそ、技術の議論に倫理や環境、文化の視点を組み込むことが欠かせません。<\/p>
「使いこなす」から「ともに生きる」テクノロジーへ<\/h2>
両教授が強調したのは、テクノロジーを「いかに使いこなすか」から、「いかに共存し、ともに未来を形づくるか」へと発想を転換する必要性です。それは、単に新しい規制やルールを作るといった話にとどまりません。<\/p>
研究者、企業、政策立案者だけでなく、日々AIやデジタルサービスを使う私たち一人ひとりが、技術と人間、そして地球との関係をどうデザインし直すのか。その議論を深めることが、これからのテクノロジー社会の質を左右していきます。<\/p>
北京で交わされた問いは、日本を含む世界の私たちに共有されるテーマでもあります。AIや量子コンピューティングが加速する2025年、その「進歩」をどの方向に導くのかを考えることが、いま改めて求められています。<\/p>
Reference(s):
Scholars urge rethinking tech's role in human and planetary futures
cgtn.com








