習近平氏「科学技術強国」論文とは 党誌「求是」第7号に掲載へ
中国共産党中央委員会総書記で中国国家主席の習近平氏が、科学技術分野の発展戦略をテーマにした論文を発表し、科学技術強国づくりに向けた長期ビジョンと具体策を示すことが明らかになりました。論文は、2025年発行の党理論誌「求是(Qiushi Journal)」第7号に火曜日付で掲載される予定です。
何が発表されるのか
今回の論文は、「科学技術の強い国づくり」という大きな目標に向けて、どのように前進していくかを論じたものです。「求是」は中国共産党中央委員会の旗艦理論誌と位置づけられており、ここに掲載される論文は、その時々の重要な政策方針を示すものとして注目されます。
習近平氏は、科学技術を国家戦略の中心に据え、中国の長期的な発展モデルと結びつけて論じています。論文では、とくに「イノベーション(技術革新)」を軸にした発展戦略が強調されています。
2012年以降の歩みと2035年の目標
論文はまず、2012年の第18回党大会以降の歩みを振り返ります。このときから、中国共産党中央委員会は「イノベーション主導の発展戦略」を力強く推進してきたとしています。これは、技術革新を経済や社会の成長エンジンに据える方針を意味します。
そのうえで、中国を2035年までに科学技術強国へと押し上げるという目標を掲げています。論文によれば、
- 科学技術体制の改革を深めてきたこと
- 研究者や技術者の意欲と創造性を引き出してきたこと
- 科学技術の自立と強化を進めてきたこと
といった取り組みによって、科学技術分野では「歴史的な成果」と「歴史的な変革」が生まれたと評価しています。
中国式現代化と科学技術の位置づけ
論文の中心にあるのは、中国の「現代化」の行方と科学技術の関係です。習近平氏は、中国式の現代化を進めるうえで、科学技術の現代化が確かな土台になると強調します。
あわせて、「高品質な発展」を実現するには、科学技術のイノベーションによって育まれる新しい成長エンジンが不可欠だと位置づけています。ここでいう新しい成長エンジンには、論文中で言及される「新しい質の生産力(new quality productive forces)」が含まれます。
論文は、科学と技術が「戦略的に先導する地位」と「経済社会を支える基礎的な役割」を持つことを、全体として正面から認識する必要があると訴えています。
科学技術強国に必要な5つの要素
習近平氏は、中国を科学技術強国にしていくための要件を、いくつかの要素に分けて整理しています。論文で示された主なポイントは次の通りです。
- 強い基礎研究と独創的なイノベーション能力
基礎研究を厚くし、世界初の成果を生み出す「オリジナルな」研究能力を高めること。 - 重点・核心技術でのブレークスルー能力
産業や安全保障などに関わる重要技術や中枢技術で、着実に壁を突破できる力を持つこと。 - 世界的な影響力とリーダーシップ
国際的な科学技術ネットワークの中で存在感を高め、中国を「科学とイノベーションの重要ハブ」にしていくこと。 - トップ人材を引きつけ育てる力
世界レベルの研究者を惹きつけ、長期的に育成できる人材環境を整えること。 - 優れた科学技術ガバナンス
政策立案から資金配分、評価の仕組みまで、科学技術分野をうまく運営できる制度と能力を備えること。
これらの要素を組み合わせることで、中国が科学技術とイノベーションのグローバルな拠点としての役割を果たすことをめざす構図が示されています。
加速のための具体策:制度・産業・改革
論文はまた、科学技術発展を加速させるための具体的な手段も列挙しています。キーワードの一つは、「国家全体の仕組みを生かす」という発想です。
- 全国的な資源動員の仕組みを活用
「新しいシステムの優位性」を生かし、国家的な重要課題に向けて人材や資金などの資源を全国規模で動員し、科学技術の自立と強化を高いレベルで進めるとしています。 - 科学技術イノベーションと産業イノベーションの一体化
研究開発の成果と産業の現場をつなぎ、新しい質の生産力を生み出すことを重視します。これは、技術と産業構造の変化を同時に進める狙いを持つものです。 - 科学技術制度とメカニズムの改革
研究費の配分や評価制度など、科学技術をめぐる制度や仕組みをさらに改革し、研究者や企業のイノベーションの活力を最大限に引き出すことを掲げています。
制度面と産業面の両方からテコ入れを行うことで、研究成果が経済や社会の変化につながる流れを強めようとする方向性がうかがえます。
教育・人材・国際協力の位置づけ
論文は、教育や人材戦略、国際協力も科学技術強国づくりの重要な柱だと位置づけています。
- 教育と人材育成の協調的な発展
教育制度と人材育成を連動させ、科学技術人材の裾野を広げつつ、トップレベルの人材を育てることを重視しています。 - 国際科学技術協力の推進
「人類の運命共同体を築く」というビジョンのもとで、国際的な科学技術協力を進めることも提案されています。科学技術を通じて、各国・各地域が課題を共有しながら協力する姿を描いていると言えます。
内側の制度改革と外側の国際協力を両にらみで進めることで、科学技術分野における協働と競争のあり方を形づくっていく構想が示されています。
なぜ今、この論文が注目されるのか
2035年まで残された時間は、2025年時点でおよそ10年です。今回の論文は、その期間に何を優先し、どの分野に資源を集中させるのかという「道筋」を整理したものと見ることができます。
科学技術を国家戦略の中心に据え、自立性の向上と国際協力の両立を図ろうとする考え方は、世界の科学技術政策とも重なる部分があります。一方で、全国規模で資源を動員するというアプローチは、中国の制度の特徴を反映したものでもあります。
習近平氏の論文が「求是」第7号に掲載されることで、今後の政策議論や研究開発の優先順位づけにどのような影響を与えるのか、注目が集まりそうです。
Reference(s):
Xi's article on building a strong country in sci-tech to be published
cgtn.com








