ファーウェイ2024年決算 売上22%増と利益減が示すR&D戦略
ファーウェイが公表した2024年の年次報告書から、研究開発投資をテコにした成長戦略と、グローバルな外部環境の中での変化が見えてきます。売上は力強く伸びる一方で、利益は減少しており、その内側をどう読むかが2025年のテック業界を考えるヒントになりそうです。
売上は22.4%増、純利益は28%減
年次報告書によると、ファーウェイの2024年の売上高は8621億元(約$118.67 billion)と、前年から22.4%増加しました。一方で、純利益は626億元(約$8.61 billion)と、28%の減少となっています。
- 売上高:8621億元(約$118.67 billion)/前年比+22.4%
- 純利益:626億元(約$8.61 billion)/前年比−28%
トップライン(売上)は伸びているのにボトムライン(利益)は縮んでいるという、この対照的な動きは、同社が外部環境の変化に対応しながらも、積極的な投資と事業転換を進めていることを物語っています。
売上の2割超を研究開発へ 10年で1兆2490億元を投資
今回の報告書で最も目を引くのが、研究開発(R&D)への継続的なコミットメントです。ファーウェイは2024年、1797億元(約$24.77 billion)をR&Dに投じました。これは売上高の20.8%に相当し、1年の売上のうち5分の1以上を技術開発に再投資している計算です。
過去10年間に積み上げた研究開発投資の総額は、1兆2490億元(約$172.21 billion)に達しました。長期にわたる巨額投資が、通信機器からスマートフォン、チップ、クラウド、OSに至るまで幅広い分野での技術力につながっているといえます。
事業別の動き:接続・コンピューティング・デバイス・自動車
報告書は、主要な事業セグメントごとの手応えも示しています。
接続ビジネス:逆風の中でも底堅く
通信インフラなどを担う接続ビジネスは、業界全体の逆風が続く中でも「堅調なパフォーマンス」を維持したとされています。5G展開のペースや設備投資の抑制といった課題があるなかで、安定的に収益を確保している構図です。
コンピューティングとAI:成長エンジンに
コンピューティング分野では、人工知能(AI)の発展を追い風に「大きな成長」があったとされています。AI向けの計算資源や関連製品への需要が高まるなかで、この分野が新たな成長エンジンになりつつあることがうかがえます。
デバイス事業:HarmonyOSエコシステムで回復
スマートフォンなどを含むデバイス事業は、2024年に「力強い回復」を見せました。その背景として、独自のオペレーティングシステム(OS)であるHarmonyOSのエコシステム拡大が挙げられています。OSとアプリ、サービスを束ねたエコシステムを自前で構築することで、プラットフォームとしての影響力を高めようとしている姿が見て取れます。
インテリジェント自動車ソリューション:黒字化へ
自動車向けのインテリジェントソリューション事業は、2024年に収益性を確保し、利益を計上したと報告されています。コネクテッドカーや自動運転など、車の「スマートデバイス化」が進む中で、この分野を今後の成長ドライバーの一つとして位置づけていることがうかがえます。
エコシステムと特許ポートフォリオ:開かれた協業を強調
ファーウェイは、技術開発だけでなく、その技術を支えるエコシステムづくりにも力を入れています。同社は150,000件を超える有効な特許を保有しており、基盤技術の幅広さを示しています。
報告書によれば、同社は次のような領域で開発者やパートナーとの協業を強める方針です。
- HarmonyOS:モバイルからIoTまでをつなぐ独自OS
- Kunpeng:サーバー向けプロセッサなどのコンピューティング基盤
- Ascend:AI向けプロセッサと関連ソフトウェア
- クラウドコンピューティング:企業向けのクラウドサービス群
これらのプラットフォームをまたいで、開発者が使いやすいツールや環境を提供することで、エコシステム全体の裾野を広げていく考えです。同時に、製品とサービスの品質向上を継続的なテーマとして掲げています。
「外部の挑戦」にどう向き合ったか
ファーウェイは、2024年のパフォーマンスについて、外部環境のさまざまな挑戦に対応しながら、製品とオペレーションの質を高め、業界内のパートナーシップを強化した結果だと説明しています。
輪番会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟氏は、プレスリリースの中で、2024年の業績は予想と「おおむね一致した」と述べました。そのうえで、「2024年、ファーウェイの全チームが一丸となって幅広い外部の挑戦に立ち向かった」と振り返り、デバイス事業については「再び高速レーンに戻った」と表現しています。
また、2024年の年次報告書に含まれる財務諸表は、監査法人KPMGによる独立した監査を受けています。ガバナンスや情報開示の面での透明性も意識した対応といえます。
米中テック競争の中で高まる存在感
報告書は、より広い地政学的な文脈とも無関係ではありません。中国と米国の間でテクノロジー分野の競争と緊張が続くなか、ファーウェイは半導体やオペレーティングシステムの分野で、中国の技術革新の中心的な存在として位置づけられています。
同社の経営陣はこれまで、米国による措置がファーウェイを「サバイバルモード」に追い込んだと語ってきました。しかし、ここ数カ月の発言では、より自信のあるトーンが目立ちます。創業者の任正非氏は5月、中国の指導部に対し、国産チップやOSの不足に対する懸念は和らいだと伝えたとされています。
外部環境の不確実性が完全に消えたわけではないものの、研究開発とエコシステム構築を通じて、自前の技術基盤を厚くしてきたことが、この「トーンの変化」の背景にあると考えられます。
2025年以降への問いかけ
ファーウェイの2024年年次報告書は、個々の数字以上に、次のような問いを投げかけています。
- 売上の2割超という高い研究開発投資比率を、今後どこまで継続できるのか
- HarmonyOSやKunpeng、Ascend、クラウドなどのプラットフォームが、どの程度までエコシステムとして広がっていくのか
- インテリジェント自動車やAIコンピューティングといった成長分野が、収益構造をどこまで変えていくのか
2025年の今、この報告書は、単なる1社の決算開示にとどまらず、中国発の技術企業が外部環境の制約とどう向き合い、どのように自前の技術とエコシステムを育てていこうとしているのかを読み解く材料にもなっています。静かに数字を追いながら、その背後のストーリーをどう見るかが、私たち一人ひとりの次の視点につながっていきそうです。
Reference(s):
Huawei reports solid 2024 performance, driven by R&D investment
cgtn.com








