中国が衛星インターネット実証衛星を打ち上げ 宇宙と地上の一体型ネットワークへ video poster
中国は今週火曜日、衛星インターネット技術の検証を目的とした実験用宇宙船を打ち上げました。モバイル端末と衛星を直接つなぐ通信や、宇宙と地上のネットワーク統合を試すもので、今後のインターネットの姿を左右しうる一歩となりそうです。
酒泉から実証衛星を打ち上げ
今回の衛星インターネット関連の実験衛星は、中国北西部にある酒泉衛星発射センターから打ち上げられました。ロケットは中国の主力機の一つである「長征2D(ロングマーチ2D)」が使用され、現地時間の正午に発射されたあと、予定された軌道への投入に成功しました。
- 発射時刻:火曜日の正午(北京時間)
- 発射場所:中国北西部・酒泉衛星発射センター
- ロケット:長征2D(ロングマーチ2D)
- 長征シリーズとしては567回目のミッション
長征シリーズの打ち上げ回数が567回に達したことは、中国のロケットが着実に運用実績を重ねていることを示しています。衛星インターネットという新しい用途に向けて、既存の打ち上げ能力を活用しているとも言えます。
狙いは「宇宙と地上をつなぐネットワーク」
今回の実験衛星の主な目的は、衛星インターネットに必要な技術の検証と実験です。とくに次のような点が重視されているとされています。
- 移動中の端末と衛星を直接つなぐ、広帯域(ブロードバンド)通信の試験
- 宇宙(衛星)と地上のネットワークを一体化して運用するための技術検証
「モバイルから衛星へのブロードバンド接続」とは、スマートフォンや車載端末、船舶や航空機など、動いている端末から、直接衛星経由で高速通信を行うイメージです。これが実現すると、地上に基地局がない場所でも、安定したインターネット接続が可能になると期待されます。
また「宇宙と地上のネットワーク統合」は、衛星側と地上側の通信システムを別々ではなく、一つのネットワークとして制御しようとする発想です。将来的には、ユーザーが意識しないうちに、状況に応じて地上回線と衛星回線が自動的に切り替わるような使い方も想定されています。
衛星インターネットが変える「つながり方」
衛星インターネットは、世界のさまざまな地域で注目されているインフラです。光ファイバーや携帯基地局が届きにくい場所でも、上空の衛星から電波を届けることで、インターネット接続を可能にする狙いがあります。
こうした仕組みが整うと、次のような分野での活用が想定されます。
- 山間部や離島など、地上インフラ整備が難しい地域での通信確保
- 災害時に地上の通信設備が損傷した場合のバックアップ回線
- 船舶・航空機・鉄道など、移動中の交通機関での安定したインターネット接続
- 将来の自動運転や遠隔医療など、低遅延かつ広域なネットワークが必要なサービスの基盤
今回の実験衛星は、こうした衛星インターネットの実用化に向けた「技術の足場固め」の段階と見ることができます。個々のユーザーにとっての実感はまだ先かもしれませんが、通信インフラ側では着実に準備が進んでいると言えます。
国際ニュースとしての読みどころ
中国の宇宙開発と通信インフラ整備は、ここ数年、並行して進められてきました。今回のように、衛星インターネットを意識した打ち上げが増えることは、世界全体のインターネット基盤が「地上+宇宙」を前提に組み立てられていく流れを象徴しています。
国際ニュースとして見ると、次の点が注目ポイントになりそうです。
- 長征シリーズが567回目のミッションを迎えたことが示す、中国のロケット運用能力
- 衛星インターネットに向けた技術実証が、段階的に進んでいること
- 世界各地で進む衛星インターネット構想の中で、中国の取り組みがどのような役割を果たしていくか
私たちの視点からは、「インターネットは地上のケーブルと基地局でつながるもの」という常識が、今後10年でどこまで変わるのかを考えるきっかけにもなります。空を見上げた先の宇宙インフラが、日常のスマホ通信やオンラインサービスを静かに支える時代が、着実に近づいているようです。
Reference(s):
cgtn.com








