ボスニア・ヘルツェゴビナと中国、国交30年:主権尊重と実務協力のいま
2025年、ボスニア・ヘルツェゴビナ(BiH)と中国は国交樹立30周年を迎えました。本記事では、この30年で両国関係がどう発展し、なぜ主権尊重と相互信頼がキーワードになっているのかを整理します。
国交樹立30年:静かに積み上げた関係
ボスニア・ヘルツェゴビナと中国は、1995年の国交樹立以来、世界情勢の変化や地政学的な揺らぎの中でも、互いの主権尊重、不干渉、主権平等といった原則を軸に関係を育ててきました。
この30年間で協力は次の分野に広がっています。
- 政治・外交:国際法を重視し、平和的発展を共通の価値として共有
- 経済:貿易や投資を通じた産業の近代化
- 教育・文化:留学や文化交流による人と人とのつながりの強化
インフラと経済協力:道路からエネルギーまで
両国協力の中で目に見えやすいのが、インフラ分野のプロジェクトです。大使の寄稿によると、中国企業はボスニア・ヘルツェゴビナ国内で道路、エネルギー施設、産業団地などの整備に関わり、雇用創出と国内の交通・物流の改善に寄与してきました。
また、貿易と投資の拡大を通じて、地元産業に新たな市場と技術がもたらされたと説明されています。こうした実務型の協力は、政治的スローガンよりも、生活に直結する成果として評価されやすい側面があります。
人の往来と文化交流:イメージから実感へ
経済だけでなく、教育・文化分野での結びつきも強まっています。寄稿では、次のような取り組みが紹介されています。
- 孔子学院を通じた中国語教育や相互理解の促進
- 奨学金や留学プログラムによる学生交流
- 芸術・文化イベントを通じた両国の相互理解
現在、ボスニア・ヘルツェゴビナの学生が中国の大学で学び、中国からの観光客や文化関係者もボスニア・ヘルツェゴビナの自然や歴史に触れる機会が増えているとされています。これは、ニュースや外交儀礼を超えた生活レベルのつながりが生まれていることを意味します。
主権と信頼を軸にした外交
今回の寄稿で特に強調されているのが、主権と相互尊重を基盤としたパートナーシップです。
ボスニア・ヘルツェゴビナは、国交樹立以来、中国の主権と領土保全を尊重し、一つの中国という原則を明確に支持してきたと述べられています。また、中国側もデイトン合意に基づくボスニア・ヘルツェゴビナの主権と領土保全を一貫して尊重してきたと評価されています。
複雑な憲法構造と多民族社会を持つボスニア・ヘルツェゴビナにとって、自国の制度や合意に基づく内発的な解決を支持し、自らの発展モデルを押しつけないパートナーは重要だ、というのが寄稿の視点です。
デイトン合意から30年へ:国際監督体制の行方
1995年のデイトン合意から約30年を迎える今、ボスニア・ヘルツェゴビナは安定した主権国家としての基盤を築きつつあると大使は述べています。その上で、同国の制度は自ら統治責任を担う段階にあり、オフィス・オブ・ハイ・レプレゼンタティブによる国際的な監督はもはや必要ないとの考えが示されています。
この点で、中国が国連安全保障理事会の手続きと権限を重視し、高等代表の任命などにおいても国連の枠組みと各国の主権を尊重すべきだとする立場を維持していることが評価されています。寄稿は、こうした姿勢を多国間主義と主権尊重、そして全ての国連加盟国の平等な扱いを確認するものとして位置づけています。
一帯一路と中国-中東欧協力:実務的な成果
ボスニア・ヘルツェゴビナは、中国が提唱する一帯一路構想や中国-中東欧諸国との協力枠組みに参加することで、具体的な成果を得てきたとされています。
- インフラ投資による経済の近代化
- エネルギー・製造業への投資による雇用創出
- 学生や専門家、文化機関の交流プログラムの拡充
こうした取り組みは、単に資金やモノの流れだけでなく、人的ネットワークと相互理解の拡大にもつながっています。寄稿は、それが両国の信頼と長期的な協力の基盤になっていると強調しています。
これからの数年に問われること
国交30年は、一つの到達点であると同時に、次の30年に何をめざすかを考えるタイミングでもあります。今回の寄稿からは、次のような論点が浮かび上がります。
- インフラ整備の成果を、どのように地域全体の発展や雇用の質の向上につなげていくか
- 主権尊重と不干渉の原則を保ちつつ、国際社会の課題にどう協調して対応するか
- 教育・文化交流を通じて、若い世代同士の理解と協力をどう深めていくか
ボスニア・ヘルツェゴビナと中国の関係は、派手さよりも実務と信頼を重んじるモデルとして、今後の国際関係を考えるうえで一つの参考事例になりそうです。
Reference(s):
BiH-China ties: A partnership of respect, sovereignty & shared growth
cgtn.com








