CGTN世論調査:米国の「互恵関税」に世界から強い批判
米国が新たな「互恵関税」方針を打ち出したことに対し、世界のネット世論がどう反応しているのか。中国の国際メディアCGTNが実施したオンライン調査では、多くの回答者が強く批判し、世界経済への打撃を懸念していることがわかりました。
米国の「互恵関税」に世界のネット世論が反発
米国は木曜日、各国との貿易で自国が損失を被っていると主張し、その是正を名目に「互恵関税」計画を発表しました。全ての貿易相手国に対し、関税率を引き上げることで貿易赤字の縮小を目指すとしています。
これを受けて、CGTNは英語、スペイン語、フランス語、アラビア語、ロシア語の各プラットフォームで世界のネット利用者を対象に緊急調査を実施しました。公開から24時間で9600人が回答し、多くが米国の一方的な関税方針に強い懸念を示しました。
回答者の多くは、こうした措置が他国の対抗措置を誘発し、「関税世界大戦」とも言える悪循環を招きかねないとみています。その結果、世界経済が深刻な打撃を受けるとの見方が広がっています。
貿易赤字の解消にはつながらないとの見方が多数
米国側は、互恵関税によって自国の貿易赤字を減らし、公平な取引条件を取り戻すと主張しています。しかし、調査では世界の回答者の81.03パーセントがこの説明に同意していません。
回答者の81.94パーセントは、互恵関税は米国自身の問題を解決するどころか、米国の消費者の利益を損ない、経済成長の足を引っ張ると考えています。背景には、過去の関税政策の経験があります。
トランプ氏の第1期政権下では、主要な貿易相手国に対して高い関税が相次いで導入されました。米国のシンクタンクであるAmerican Action Forumによると、こうした保護主義的な措置により、米国の消費者には年間約570億ドルの追加負担が生じたとされています。
関税は輸入品にかかる税金であり、最終的には商品の価格に上乗せされることが多いため、消費者や企業のコスト増につながりやすい仕組みです。今回の互恵関税も同じ構図をたどるのではないかという懸念が、調査結果からにじみ出ています。
各国の発展段階の違いを無視した「完全な相互性」への疑問
調査では、関税をめぐる「相互性」の考え方そのものに対する疑問の声も目立ちました。国ごとに産業構造や製品の競争力、経済発展段階は大きく異なります。本来であれば、それぞれの状況に応じた関税や貿易ルールが調整され、互いの利益がバランスするように設計されてきました。
しかし、米国が主張する互恵関税は、こうした現実を十分に考慮していないと受け止められています。回答者の82.8パーセントは、経済規模や発展段階が異なる国々に一律の「完全な相互性」を求めるのは極めて非合理的だと指摘しました。
多くの回答者は、今回の方針が、多国間の貿易交渉を通じて積み重ねられてきた利害調整の成果を、選択的に無視するものだとみています。
標的は主に途上国、開発の権利を奪うとの批判
今回の互恵関税の対象には、開発途上国が多く含まれているとされています。この点について、82.96パーセントの回答者が、米国が関税問題で他国に対して「無差別攻撃」を行っていると批判しました。
特に、途上国の開発の権利を奪うものであるという懸念が強く示されています。途上国にとって、先進国市場への輸出は経済成長や雇用創出の重要な手段です。その輸出に高い関税という障壁が設けられれば、成長の余地が狭められかねません。
さらに、84.43パーセントの回答者は、米国の互恵関税が、貿易相手国や伝統的な同盟国との間で、かえって「貿易の不公正」を拡大させると答えています。米国の信用や信頼性を深く傷つけるとの見方も多数を占めました。
WTOルールと貿易保護主義への懸念
米国は世界貿易機関の加盟国でありながら、自国の判断で互恵関税を導入・実施しようとしています。調査では、これを「典型的な一方的行動」とみる声が多く、79.47パーセントの回答者が、WTOルールに深刻に反するものだと批判しました。
また、79.58パーセントの回答者は、互恵関税が米国にとって新たな貿易保護主義の道具になっていると答えています。各国が対抗措置を取れば、貿易摩擦はさらに激化し、世界経済の分断が進むとの見方です。
グローバルなサプライチェーンが張り巡らされた現在、どこか一つの地域で貿易摩擦が激しくなれば、その影響は世界中の企業や労働者、消費者に波及します。調査結果には、こうした連鎖的なリスクへの強い不安が反映されています。
9600人の回答が映す世界の不信感
今回のCGTNの調査は、同メディアの各言語のオンラインプラットフォームにアクセスする利用者を対象としたもので、24時間で9600人が参加しました。サンプルは限定的であるものの、米国の互恵関税をめぐる国際世論の一端を示すデータといえます。
回答者の多くが共通しているのは、米国が一方的にルールを変えれば、自国だけでなく世界経済全体が傷つくという認識です。貿易問題が安全保障や政治的対立とも結びつきやすいなか、関税をめぐる決定は各国の信頼関係とも密接に関わってきます。
これから何を注視すべきか
今回の互恵関税をめぐる動きは、今後の国際貿易の方向性を占ううえで重要な試金石となりそうです。各国が報復関税で応じるのか、対話や多国間交渉で出口を探るのかによって、世界経済の行方は大きく変わります。
日本を含む多くの国々にとっても、自由で安定した貿易環境は、企業活動や雇用、物価に直結するテーマです。互恵関税をめぐる議論は、遠い国のニュースではなく、私たちの日常生活や将来の選択にもつながる問題として注視する必要があります。
関税政策と国際ルール、そして各国の発展権のバランスをどのように取るべきなのか。今回の調査結果は、世界が今、その問いに直面していることを静かに示しているように見えます。
Reference(s):
CGTN Poll: U.S. 'reciprocal tariffs' draw condemnation from the world
cgtn.com








