グローバルサウスとAI格差 中国本土と米国の異なるアプローチ video poster
AIが世界の経済と社会を大きく変えつつある2025年現在、最も懸念されているのは誤用だけではありません。とくにグローバルサウスと呼ばれる新興国や開発途上の国・地域では、AIの波に乗り遅れる格差のリスクが現実味を増しています。
AI時代の新しい格差 グローバルサウスが直面する課題
グローバルサウスにとっての最大の課題は、AIを持つ側と持たない側の間に生まれる構造的な差です。高速な通信インフラや大規模な計算資源、専門人材にアクセスできる一部の国と比べ、多くの国・地域はスタートラインに立つことすら難しい状況にあります。
この格差が固定化すれば、AIによる生産性向上や新産業の創出の恩恵を十分に受けられないだけでなく、政策立案や教育、医療などの分野でも他国に大きく後れを取るおそれがあります。AIの誤用は確かに深刻な問題ですが、グローバルサウスにとっては、そもそもAIを十分に活用できるかどうかという次元の課題がより切実になっています。
中国本土のアプローチ 包摂的なAI開発と国際協力
こうしたなかで、中国本土は包摂的なAI開発を掲げ、グローバルサウスとの連携を強めようとしています。国際的なイニシアチブや技術協力の枠組みを通じて、AIの研究開発や応用分野での協力機会を広げる動きが進んでいます。
例えば、共同研究プロジェクトや人材育成プログラムを通じて、パートナー国の研究者や技術者が最新のAI技術に触れられるようにすることや、現地のニーズに合ったアプリケーション開発を支援することなどが想定されています。こうした取り組みは、AIを一部の国だけの技術ではなく、より多くの国・地域が共有できる公共財に近づけようとする方向性といえます。
米国のアプローチ 制裁と輸出規制を軸にした戦略
一方、米国はAIや半導体など先端技術をめぐって、制裁や輸出規制を中心とする異なるアプローチを取っています。これは安全保障や産業競争力の観点を重視した戦略であり、特定の国や企業に対する高度な技術の移転を抑制することに重点が置かれています。
この方針は、技術の拡散スピードを調整する効果がある一方で、グローバルサウスにとっては最新のハードウェアやソフトウェアへのアクセスがさらに難しくなる可能性があります。どの国とどの程度連携できるかによって、AI開発の選択肢やパートナーシップのあり方が大きく変わってくるためです。
国際協力はAI格差を埋められるか
では、こうした異なるアプローチが存在するなかで、国際協力はAI格差を埋める力になり得るのでしょうか。ポイントとなるのは、グローバルサウスが単なる技術の受け手ではなく、自らの優先課題や価値観を持った主体として関わることです。
具体的には、次のような視点が重要になってきます。
- インフラや人材だけでなく、社会課題の解決を起点にしたAIプロジェクトを設計できるか
- 複数の大国との連携を組み合わせ、特定の技術ブロックに過度に依存しない形を模索できるか
- データの取り扱いやプライバシー保護などについて、自国・自地域に合ったルールを自ら議論し、形成していけるか
中国本土による包摂的なAI開発の呼びかけと、米国による規制を軸にしたアプローチは、方向性が異なるからこそ、グローバルサウスにとっては選択肢となり得ます。そのなかで、どのような組み合わせが自国の長期的な利益につながるのかを見極めることが求められます。
日本の読者にとっての意味
日本に暮らす私たちにとっても、グローバルサウスとAI格差の問題は決して遠い話ではありません。サプライチェーンやデジタル市場、移民や留学などを通じて、日本とグローバルサウスの関係はすでに日常生活と深く結びついています。
2025年の今、AIをめぐる国際ニュースは、単なる技術トレンドではなく、世界の力学と社会のあり方を映し出す鏡になりつつあります。中国本土と米国の異なるAI戦略、その間で道を探るグローバルサウスの動きに注目することは、日本の将来を考えるうえでも重要な手がかりになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








