唐代建築をめぐる没入型バーチャル展 CGTN Art Seriesが公開 video poster
中国の唐代建築をテーマにしたバーチャル展「Tang Architecture: Building Timeless Glory」が公開され、世界中の利用者がオンラインでその壮麗さを体感できるようになっています。国際ニュースや中国文化に関心のある日本語話者にとっても、歴史とデジタル技術が交差する注目の試みです。
唐代建築はなぜ特別なのか
唐代(618〜907年)は、中国文明の歴史の中でも開放性と包摂性が花開いた時代とされています。その建築は、左右対称の壮大な配置と、精緻な木造構造で知られ、中国の文化遺産の中で欠かすことのできない存在です。
巨大な伽藍や宮殿だけでなく、都市全体の設計思想にも、秩序と美を両立させようとする唐代の世界観が反映されています。今回のオンライン展示は、こうした特徴をデジタル空間で追体験しようとする試みです。
CGTN Art Seriesによる没入型バーチャル展
「Tang Architecture: Building Timeless Glory」は、2022年に中国メディアグループ(China Media Group)が立ち上げた「CGTN Art Series」プロジェクトの最新作として公開された、マルチメディアの没入型・インタラクティブなバーチャル展示です。2025年の現在、世界中の利用者がオンラインでアクセスできる国際的な文化コンテンツとなっています。
3つのセクションで唐代を読む
展示は、唐代建築を立体的に理解できるよう、次の3つのセクションで構成されています。
- Building Design(建築デザイン):唐代特有の構造や意匠、木造建築の特徴に焦点を当てるセクションです。
- Palace Complex(宮殿群):王朝の権威と儀礼を体現した宮殿建築を取り上げます。
- Urban Planning(都市計画):宮殿だけでなく都市全体をどのように設計したのか、その思想に迫ります。
これらを通じて、個々の建物だけでなく、街や王都全体を一つの「システム」としてとらえる唐代建築の視点が浮かび上がります。
名建築を巡るインタラクティブ・ツアー
このバーチャル展の中核となっているのが、代表的な唐代建築や都市をたどるインタラクティブなバーチャル・ツアーです。利用者は、画面上で視点を動かしながら、当時の空間構成やスケール感を追体験できます。
ツアーでは、以下のようなスポットが取り上げられています。
- Foguang TempleのGreat East Hall:唐代建築を代表する大規模な木造建築として知られ、その構造と意匠を間近に観察できます。
- Daming Palace:王朝の中心的な宮殿として、唐代の権力と儀礼空間を象徴する建築群です。
- Chang'an Cityの都市計画:王都の街路や区画の配置を通じて、唐代の都市設計の思想に触れることができます。
こうしたコンテンツによって、教科書の図や写真だけではつかみにくいスケール感や空間の連続性が、デジタル空間の中で立ち上がってきます。
デジタル技術がひらく文化遺産の新しい見方
今回のような没入型バーチャル展は、遠く離れた場所からでも歴史的建造物を体験できる点で、文化遺産との向き合い方を変えつつあります。移動制約や時間の制約があっても、オンラインでアクセスできることで、学習や研究、観光の補完的ツールとして活用できる可能性があります。
また、3Dモデルやインタラクティブなインターフェースを通じて、建築や都市計画を「平面の図」ではなく「体験」として理解できるのも、デジタルならではの強みです。唐代建築に限らず、今後さまざまな時代・地域の文化が、こうした形で再解釈されていくことが期待されます。
日本の読者にとってのヒント
日本でも、歴史的建築や文化財をデジタル化する試みが進んでいますが、唐代建築のオンライン展示は、アジアの文化遺産を俯瞰的に見直すきっかけにもなりえます。日本の建築や都市計画が、どのように東アジアの広い文脈の中で位置づけられるのかを考えるヒントにもなるでしょう。
スマートフォン一つでアクセスできる国際的なバーチャル展は、通勤時間やスキマ時間に「歴史の深さ」と「デジタル技術の可能性」を同時に考えるきっかけを与えてくれます。唐代建築というテーマを通じて、文化とテクノロジーのこれからの関係を、自分なりの視点で見つめ直してみるのも良さそうです。
Reference(s):
Exploring Tang Dynasty architecture: An immersive CGTN Art Series trip
cgtn.com








