電動航空機とグリッド電力に新展開 水系バッテリー電解液で中国人研究者らが前進
電動航空機や再生可能エネルギー向けのグリッド電力に欠かせない次世代バッテリー技術で、新しいエネルギー貯蔵のアプローチが報告されました。中国出身の研究者ワン・チュンシェン(Wang Chunsheng)氏が率いるチームが、水系バッテリー電解液の分野で長年の課題を乗り越える成果を示したとされています。
何がニュースなのか
米国メリーランド大学(University of Maryland、UMD)化学・生体分子工学科の教授であるワン・チュンシェン氏が率いる研究チームは、水系バッテリーの電解液に関して新たなマイルストーンを達成したと発表しました。
研究チームは、水をベースにした電解液で、エネルギー貯蔵分野の前進を妨げてきた長年の技術的な障壁を取り除くことを目指した、新しい電解液システムを開発したとしています。
- 中国出身のワン・チュンシェン教授が率いる国際的な研究チーム
- 水系バッテリーのための新しい電解液システムを提案
- 電動航空機やグリッド電力向けバッテリーの進化を後押しすると期待
水系バッテリーとは何か
今回の国際ニュースの鍵となるのが、水系バッテリーです。水系バッテリーとは、電池内部で電気を運ぶ役割を持つ電解液に、水を主成分とする溶液を用いる二次電池のことです。
一般的に普及しているリチウムイオン電池では、電解液に有機溶媒と呼ばれる可燃性の液体が使われることが多く、高エネルギー密度と引き換えに、発火リスクやコストが課題となってきました。これに対して水系バッテリーは、
- 発火しにくく安全性が高い
- 水を使うため、材料コストを抑えやすい
- 大規模なエネルギー貯蔵システムに向きやすい
といった特徴があり、グリッド電力や産業用など、大型のエネルギー貯蔵用途で注目されています。
一方で、水は分解しやすい性質があるため、高い電圧で安定して使うことが難しい、長寿命化が課題になるなど、技術的なハードルも多く指摘されてきました。研究チームは、こうした障壁を乗り越えることを狙った新しい電解液システムを提示したとしています。
電動航空機とグリッド電力へのインパクト
今回の研究は、電動航空機とグリッド電力向けのバッテリー技術を前進させる可能性があるとされています。電動航空機では、エンジンを電動モーターに置き換えるため、高いエネルギー密度と信頼性の両立が求められます。安全性への要求も極めて高く、蓄電システムの安定性は不可欠です。
一方、再生可能エネルギーを大量に取り込むグリッド電力では、大規模で安価、かつ長寿命な蓄電が重要になります。発電量が天候に左右される太陽光や風力を安定させるには、膨大な量のエネルギーを貯めたり放出したりできる仕組みが欠かせません。
水系バッテリーは、安全性とコスト面でこうした用途に適した特性を持つとされており、今回のような電解液の改良は、
- 電動航空機での高信頼な蓄電システムの実現
- 再生可能エネルギーを支えるグリッド規模の蓄電
といった分野で、新しい選択肢を生み出す一歩となる可能性があります。
エネルギー貯蔵をめぐる世界の動き
現在、世界各地でエネルギー転換と脱炭素の流れが進むなか、バッテリーをはじめとするエネルギー貯蔵技術は、インフラの一部として重要性を増しています。電池の性能向上だけでなく、安全性、コスト、資源調達といった要素を総合的に考える必要があるからです。
中国出身の研究者が米国の大学でチームを率いて行う今回の研究は、国境を越えた協働によってエネルギー問題に取り組む、国際的な研究開発の一例と言えます。技術の詳細や性能指標は今後の検証や議論を待つ必要がありますが、水系電解液という方向性が改めて注目を集めそうです。
私たちの生活との関わり
電動航空機やグリッド電力向けエネルギー貯蔵というと、日常生活からは少し遠いテーマに見えるかもしれません。しかし、
- 再生可能エネルギーの比率が高い電力システム
- 安定した電力供給と停電リスクの低減
- 長期的な電気料金の安定
といった形で、エネルギー貯蔵技術の進歩は、私たちの暮らしにも間接的に影響していきます。電池という身近な技術が、航空や送電網といった大規模システムとどのようにつながっているのかを意識しておくことは、エネルギー政策や技術選択を考えるうえでの手がかりになります。
今回の研究成果は、水系バッテリーという選択肢の可能性をさらに広げる一歩として、国際ニュースの中でも注目しておきたい動きです。今後、どのような実用化や社会実装につながっていくのか、引き続きフォローしていく必要があります。
Reference(s):
New energy storage to push batteries for electric aviation, grid power
cgtn.com








