中国発の牡丹産業が世界で開花 観光・健康・美容をつなぐ新ビジネス
中国を代表する「花の王」牡丹。その産業が、観光、健康、美容といった分野を横断しながら、中国と世界の市場で静かに存在感を高めています。中国ニュースとしてだけでなく、国際ニュースや地域経済を考えるうえでも、押さえておきたいテーマです。
「花の王」牡丹が中国文化と産業をつなぐ
牡丹は、古くから中国の伝統文化を象徴する花として愛されてきました。その気品ある姿から「花の王」とも呼ばれ、絵画や工芸、祝祭のモチーフとしても親しまれてきました。最近では、その文化的な価値が産業としての広がりにもつながっています。
4月のヘゼとルオヤンを彩る牡丹まつり
毎年4月になると、山東省のヘゼや河南省のルオヤンなどの都市では、牡丹の開花に合わせてフェスティバルが開かれます。満開の牡丹を一目見ようと多くの人びとが訪れ、その華やかな景色が観光資源として活用されています。
こうした牡丹まつりは、単なる花の鑑賞イベントにとどまらず、地元の観光産業を押し上げる役割も果たしています。
- 宿泊や飲食、土産物などへの消費が増える
- 交通やガイドなど周辺サービスにも波及効果が出る
- 地域の知名度が高まり、リピーターや新規客の呼び込みにつながる
牡丹をきっかけに人の流れが生まれ、都市全体の経済にプラスの循環が生まれているといえます。
観賞用だけではない牡丹の力:薬、茶、オイルへ
牡丹産業の特徴は、「見るだけ」で終わらない点にあります。牡丹は、根、花びら、種子まで、それぞれに用途を持つ多機能な植物です。
- 根:薬用成分を含み、伝統的な医療の分野で利用されてきたとされます。
- 花びら:香り高い牡丹茶などとして商品化され、日常的な飲み物としても楽しまれています。
- 種子:種から搾った油は、食用だけでなく、スキンケアなどの美容アイテムにも応用されています。
観光と同時に、こうした加工品が増えることで、牡丹は一年中価値を生み出す「総合産業」として位置づけられつつあります。
ヘゼから世界へ:牡丹ビジネスの輸出力
とくに山東省のヘゼは、中国の主要な牡丹産業の拠点の一つです。豊かな牡丹の花々は、中国国内の市場だけでなく、海外市場にも届けられています。
ヘゼでは、毎年数百万株規模の牡丹の苗木と、260種類を超える牡丹由来の製品が生産されています。ラインナップには、牡丹の種子油、牡丹茶、スキンケア商品などが含まれ、これらが世界の数十の国や地域へと輸出されています。
数字で見るヘゼの牡丹産業(2024年)
ヘゼの牡丹産業発展センターによると、2024年のデータは次の通りです。
- 牡丹産業の年間総産出額:130億元(約18億ドル)
- 創出された雇用:50万件以上
- 輸出規模:数百万株の苗木と260種類超の牡丹関連製品が、世界の数十の国や地域へ出荷
一つの花を起点に、農業、加工、輸出、観光までを巻き込んだ産業が形成され、地域の雇用と所得を支えている構図が見えてきます。
「花の王」から学べる、地域と世界をつなぐ視点
牡丹産業の広がりは、文化資源をどう産業につなげるかという視点からも示唆に富んでいます。
- 伝統文化としての象徴性を、観光ブランドとして再発見する
- 農産物に加工やサービスを組み合わせ、付加価値を高める
- 国内市場だけでなく、早い段階から海外市場も視野に入れる
中国の牡丹ビジネスは、地域に根ざした資源をていねいに磨き上げることで、世界とつながる道を開いている例だといえます。
オンラインで国際ニュースを追う私たちにとっても、「花の王」が支える産業の姿を知ることは、数字だけでは見えない地域経済のダイナミズムを理解する一つの手がかりになるかもしれません。
Reference(s):
How does the peony industry bloom around China and the world?
cgtn.com








