中国サイバー当局が生成AI346件を登録 DeepSeek台頭で投資も加速
中国のインターネット規制当局が、生成AIサービス346件の登録状況を公表しました。今年急成長したDeepSeekなどを含むこの数字は、中国の生成AI市場と規制の両方が新たな段階に入っていることを示しています。
生成AIサービス346件が登録済み 中国サイバー当局が公表
中国のインターネット規制当局であるサイバースペース管理局(Cyberspace Administration of China、CAC)は、火曜日に公表した声明で、2025年3月31日時点で合計346件の生成AIサービスが届け出を完了していることを明らかにしました。
CACによると、公共の世論に影響を与える属性や、社会的な動員能力を持つ生成AIサービスの提供者は、所在地のサイバー空間当局を通じて、届出や登録の手続きを行うことができるとされています。
CACのウェブサイト上では、届け出を完了した生成AIサービスの一覧が公開されており、その中には今年注目を集めているDeepSeekのほか、百度(バイドゥ)のErnie Botも含まれています。
DeepSeekの台頭が示す中国の生成AI存在感
声明によると、今年のDeepSeekの台頭は世界的なAIへの関心を高め、AI関連投資の急増を引き起こしました。中国発の生成AIサービスが国際的な議論や投資マネーを動かす存在になっていることを示す動きです。
DeepSeekのようなサービスが、規制当局への正式な届け出を済ませつつ成長していることは、中国の生成AI分野で「イノベーションの加速」と「ルール整備」が同時並行で進んでいることを象徴していると言えます。
モデル名と登録番号の明示を義務づけ
CACは、すでに公開されている生成AIアプリケーションや、生成AI機能を備えたサービスについて、ユーザーに対する情報の明示も求めています。声明によれば、公開済みの生成AIアプリ・機能には、AIモデル名とその届出番号、または開始登録番号を、見やすい位置や製品の詳細ページに表示しなければならないとしています。
このルールによって、ユーザーは自分が利用しているサービスがどの生成AIモデルを使っているのかを把握しやすくなります。また、どのサービスが登録済みかを示すことで、サービス提供者と規制当局の間の責任範囲もより明確になります。
ユーザーと事業者、それぞれにとっての意味
- ユーザーにとっては、モデル名と登録番号が分かることで、サービスの出所や性質を確認しやすくなります。
- 事業者にとっては、生成AI機能を導入する際に、どの段階で届出や表示対応が必要になるのかが整理され、ビジネス設計の前提条件の一つになります。
2023年から続く「暫定措置」に基づく運用
CACと複数の関係当局は、2023年7月に「生成型AIサービス管理の暫定措置」を共同で公表し、同年8月15日に施行しました。この暫定措置は、生成AIサービスの応用に関する規律を促進することを目的としたものです。
今回公表された346件の登録状況や、モデル名・登録番号の明示義務は、この暫定措置の枠組みのもとで進められている運用の一部とみることができます。2023年の施行から時間が経つ中で、生成AIサービスの数が増え、制度が実際のサービス運営にどのように適用されているかが、徐々に見え始めています。
今回の動きから見える3つのポイント
中国の生成AIサービス登録状況からは、次のようなポイントが読み取れます。
- 1. サービス数の規模が政策テーマに
346件という数字は、生成AIが実験段階を超え、多数のサービスとして展開されていることを示します。その全体像を把握すること自体が、政策上の重要なテーマになりつつあります。 - 2. 透明性の向上
モデル名や登録番号の明示は、ユーザーにとっての透明性を高めると同時に、サービス提供者に対しても一定の説明責任を求める仕組みになっています。 - 3. 投資と規制の同時進行
DeepSeekの台頭が投資を呼び込み、その一方で規制当局は登録制度と表示ルールを整備しています。生成AIのビジネス拡大と制度設計が、互いに影響を与えながら進んでいる構図です。
日本と世界の読者にとっての意味
世界やアジアの動きを追う日本の読者にとって、中国の生成AI登録制度は、今後の国際的なAIガバナンスを考えるうえで重要な材料になります。各国や地域で生成AIのルールづくりが進む中、中国のアプローチは一つの参考事例となります。
特に、
- どのサービスが、どのモデルを使い、どのような登録枠組みに乗っているのかを明示する仕組み
- 急速に広がる生成AIサービスを、どのタイミングでルールの対象とするのかという考え方
といった点は、日本を含む他の国や地域で議論が続くテーマでもあります。
生成AIをめぐる国際ニュースは、技術そのものだけでなく、その使い方をどう社会で位置づけ、どのようなルールで運用していくのかという視点から見ることで、より立体的に理解しやすくなります。今回の中国サイバー当局による登録公表は、その一端を映し出す出来事と言えるでしょう。
Reference(s):
346 generative AI services registered with China's cyber authority
cgtn.com








