中国とEU、WTO軸に多国間貿易体制を共同防衛 米国関税へ連携も
中国とEU(欧州連合)が、世界貿易機関(WTO)を中核とする多国間貿易体制を共同で守る方針を確認しました。米国によるいわゆる相互関税への懸念を共有しつつ、電気自動車(EV)や自動車分野での協議開始にも合意しており、2025年の国際経済の行方を占う重要な動きとなっています。
中国とEU、WTO中心の多国間体制を支持
中国商務省が木曜日に発表した声明によりますと、中国の王文涛(Wang Wentao)商務相と、マロシュ・セフチョビチ(Maros Sefcovic)欧州委員(貿易・経済安全保障担当)は、今週火曜日にビデオ会談を行いました。
会談では、中国とEUの経済・貿易協力の強化に加え、米国による相互関税への対応などが幅広く話し合われました。双方は、WTOを中核とする多国間貿易体制を共同で守り、貿易の自由化と円滑化に引き続き取り組むことで一致しました。
米国の相互関税に中国が強く反発
王商務相は、米国の相互関税が他国の正当な利益を深刻に損ない、WTO規則に反し、ルールに基づく多国間貿易体制を揺るがし、世界経済秩序の安定を乱していると指摘しました。
王氏は、この動きを一方的主義、保護主義、経済的いじめの典型だと批判し、中国はこれに断固反対し、自国の権利と利益を守るために対抗措置を取っていると説明しました。その上で、貿易戦争に勝者はおらず、保護主義はどこにも行き着かないと強調しました。
中国は、協議と交渉によって問題を解決する用意があるものの、米国が一方的な行動を続けるなら、最後まで対応していく姿勢も示しています。
EUも影響を懸念、WTOメンバーとの協調を強調
セフチョビチ欧州委員は、米国の関税が国際貿易に深刻な影響を与えていると述べ、EUとしても中国を含む他のWTOメンバーと協力し、国際貿易が正常に機能するよう取り組む考えを示しました。
さらに、EUは中国との経済・貿易関係を重視しており、対話とコミュニケーションを一段と強化したいと表明。双方向の市場アクセスの拡大や投資、産業協力を促進する意向も改めて確認されました。
EV価格や自動車投資で新たな協議へ
中国商務省の声明によると、中国とEUは、市場アクセスに関する課題について早期に協議を開始することで合意しました。特に、電気自動車(EV)の価格に関するコミットメント(約束)交渉を直ちに始めるほか、自動車分野の二国間投資協力をめぐる問題についても協議を進める方針です。
また、両者は貿易救済措置をめぐる対話メカニズムを再開し、貿易の迂回などの問題に対応しながら、貿易摩擦を適切に管理していくことで一致しました。こうした枠組みは、将来的な紛争の激化を防ぎ、予見可能性を高める役割が期待されています。
WTO改革と多国間主義の行方
今回の会談では、WTO改革も重要なテーマとなりました。中国とEUは、WTOの枠組みの下でのコミュニケーションを続け、WTOを中核とする多国間貿易体制を共に守っていく姿勢を改めて確認しました。
米国による関税措置が国際貿易の不確実性を高めるなか、中国とEUが多国間主義へのコミットメントを強調したことは、2025年の世界経済にとって一つのシグナルと言えます。保護主義の動きやサプライチェーンの分断リスクが意識されるなかで、主要経済圏がどこまで協調できるのかが、今後の焦点となりそうです。
日本やアジアへの含意
日本を含む貿易依存度の高いアジア諸地域にとって、WTOを軸とした多国間貿易体制の安定は重要です。大国間の関税措置や貿易摩擦が激化すれば、輸出産業だけでなく、企業の投資判断やサプライチェーンにも影響が及ぶ可能性があります。
中国とEUが、対立よりも協議や制度を通じた問題解決を重視する姿勢を打ち出したことは、国際ルールに基づく貿易秩序を維持したい国や地域にとっても注視すべき動きだと言えるでしょう。
Reference(s):
China, EU vow joint efforts to uphold multilateral trading system
cgtn.com








