中国の李強首相、米国関税を批判 スペイン首相と国際貿易の秩序を協議
中国の李強首相が北京でスペインのペドロ・サンチェス首相と会談し、米国のいわゆる「相互主義」に基づく追加関税は国際的な経済・貿易秩序を損ない、世界経済に深刻な悪影響を与えていると強く懸念を示しました。中国・スペイン関係20周年の節目に、両国は中国と欧州連合(EU)の協力強化や自由で開かれた貿易体制の維持をあらためて確認しました。
米国の追加関税は「国際経済秩序を損なう」
李強首相は金曜日、北京で行ったサンチェス首相との会談で、米国のいわゆる「相互主義」関税について、「国際経済・貿易秩序を著しく損ない、世界経済に大きなマイナスの影響を与えている」と述べ、強い懸念を表明しました。
サンチェス首相も、米国の追加関税は「公平でも公正でもなく」、EU経済に損害を与えているとし、EUとして結束と協力を強め、自らの利益を守る考えを強調しました。米国の関税政策に対し、中国とEUの双方から批判と警戒感が示された形です。
中国経済の先行きに「自信と能力」
李強首相は、中国の今年のマクロ経済政策について、さまざまな不確実性を織り込んで設計してきたと説明しました。そのうえで、中国は十分な政策手段を持ち、「持続的で健全な経済発展を維持する自信と能力がある」と強調しました。
世界経済の先行きが読みにくい中で、中国側は安定成長の意思と余力をアピールし、海外からの信頼確保を意識したメッセージを発した形です。
中国・スペイン・EUの協力強化へ
李強首相は、中国がスペインおよびEUとの意思疎通と協調を強化し、開放的な協力を共に推進していきたいと述べました。その際、以下の点を特に挙げています。
- 一方的な措置や保護主義に反対すること
- 世界貿易機関(WTO)を中心とした多角的貿易体制を守ること
- 世界の産業・サプライチェーンの安定と円滑な運営を確保すること
- 国際的な公平と正義、すべての関係者の共通利益を守ること
李強首相はまた、スペインが中国・欧州間の協力を前向きに後押しする役割を果たすことに期待を示しました。
20周年を迎えた「包括的戦略パートナーシップ」
サンチェス首相は、今年が中国とスペインの「包括的戦略パートナーシップ」樹立20周年にあたると指摘し、この節目を契機に協力を一段と強化していきたいと表明しました。
スペイン側は、以下のような姿勢を示しています。
- 一つの中国の原則を順守すること
- 中国とのハイレベル交流を強化し、政治的な相互信頼を固めること
- 経済、貿易、農業、グリーン経済などの分野で互恵協力を拡大すること
- 文化、教育、科学技術などの分野で相互学習を深めること
サンチェス首相は、スペインとして中国企業の投資や事業展開を歓迎すると述べるとともに、欧州と中国の間にある意見の違いは対話と交渉を通じて解決し、関係をさらに発展させていくべきだと強調しました。
AI・デジタル・グリーンでの新たな連携余地
李強首相は、中国がスペインとの間で開かれた実務的な姿勢を維持しつつ、協力の幅と深さを「新たな高みに」引き上げたいと述べました。具体的には、次のような方向性が示されています。
- 両国の開発戦略の連携を強化すること
- 産業の補完的な強みを生かし、貿易・投資協力の潜在力を掘り起こすこと
- より高いレベルでのウィンウィンの成果を目指すこと
中国側は、スペインからの輸入拡大に前向きな姿勢を示したほか、人工知能(AI)、デジタル経済、新エネルギーといった新たな分野で、企業同士の連携を後押しする考えを示しました。
また、グリーン開発(環境に配慮した成長)の協力の場を広げることを目指し、文化、教育、若者交流、科学技術、観光など幅広い分野で協力を一層強化し、友好的な二国間関係を支える市民レベルの基盤を固めたいとしています。
今回の会談から見える3つのポイント
今回の発言や合意内容からは、いくつかのポイントが浮かび上がります。
- 米国関税への懸念と、多角的貿易体制の防衛
李強首相とサンチェス首相の双方が、米国の追加関税に否定的な見方を示し、WTOを中心とする多角的な貿易ルールを守る必要性を強調しました。関税問題は、中国とEU双方の共通関心事として一段と前面に出ています。 - 中国・スペイン関係を足掛かりにした中国・EU協力
中国とスペインは、包括的戦略パートナーシップ20周年という節目にあります。両国の協力強化は、個別の二国間関係にとどまらず、中国とEU全体の関係を安定させる「橋渡し」の役割を期待されているとも言えます。 - AI・デジタル・グリーン経済へのシフト
AI、デジタル経済、新エネルギー、グリーン経済といった新分野が、今後の協力のキーワードとして位置づけられています。従来のモノの貿易に加えて、新しい産業や技術協力が、両国の成長機会を広げる焦点になりつつあります。
米国の関税政策をめぐっては、今後も中国、EU、そして米国の間で駆け引きや対話が続くとみられます。今回の中国とスペインの会談は、その中でどのような連携や対話のルートが模索されているのかを示す一つのサインとも言えそうです。
国際ニュースとして、米国の関税をめぐる動きが世界経済やサプライチェーンにどのような影響をもたらすのか、そして中国・EU間の協力がどのように展開していくのか。引き続き注視していく必要があります。
Reference(s):
Premier Li: U.S. tariffs undermine international trade, global economy
cgtn.com








