中国とスペインの映画協力 ヨーロッパ映画が中国市場へ広がる兆し video poster
中国とスペインのあいだで映画分野の協力が進み、中国市場にヨーロッパ映画が入りやすくなる新たな枠組みが動き出しています。中国映画産業が急成長するなかで、この動きは世界の映画ビジネスにどんな変化をもたらすのでしょうか。
中国映画市場でいま起きている変化
中国ではここ数年、映画もスマートフォンも「自国ブランド」を選ぶ流れが強まっています。Vivo、Huawei、Xiaomi など中国ブランドのスマホが米アップルを押しのけて選ばれているのと同じように、映画館でも中国制作の作品が観客の支持を集めています。
かつてはハリウッド大作が中国の興行収入ランキングを席巻していましたが、現在は中国本土のスタジオが制作する作品がトップに立つケースが増えています。観客の好みそのものが、グローバル作品中心から「自国発の物語」へとシフトしているのです。
『Ne-Zha 2』が示した存在感
象徴的なのがアニメ映画『Ne-Zha 2』です。この作品は、ディズニーの『インサイド・ヘッド2(Inside Out 2)』を上回り、史上最も興行収入を上げたアニメ映画となりました。
制作費は約8,000万ドルとされる一方で、世界興行収入は21億ドルに達し、中国アニメがビジネス面でもハリウッドと肩を並べるどころか、追い越しつつあることを示しました。キャラクターや世界観も中国の伝統的な物語を下敷きにしており、「自分たちのカルチャーをスクリーンで見たい」という中国の観客のニーズに応えた形です。
米国映画離れと関税の影響
こうした変化の背景として、中国が米国制作の映画から距離を置きつつあることも指摘されています。その要因の一つとされているのが、トランプ政権による関税措置です。
関税の応酬は、単に貿易面だけでなく、エンターテインメントや文化交流にも影を落としました。結果として、中国では米国映画への関心が相対的に低下し、自国作品や他地域の映画に目が向きやすくなっています。
中国とスペインの映画協力が意味するもの
こうしたタイミングで、中国とスペインのあいだで映画分野の取引や協力が進んでいることは象徴的です。今回の映画協力は、中国市場にスペインを含むヨーロッパ映画が入りやすくなる「入口」をつくる動きと受け止められています。
中国本土の観客がハリウッド一辺倒ではなくなったことで、ヨーロッパ各国の作品にもチャンスが広がります。特に、社会問題やヒューマンドラマを丁寧に描くヨーロッパ映画は、中国市場に新しいジャンルや価値観をもたらす可能性があります。
今後は、
- 共同制作(コプロダクション)による中国・スペイン合作映画
- 中国の映画館でのスペイン映画特集上映
- 動画配信サービスを通じたヨーロッパ映画の配信強化
といったかたちで、協力が具体化していくことが予想されます。
世界の映画ビジネスに広がる波紋
中国映画市場は、いまや世界最大級の規模を持ちます。そこにおける観客の嗜好の変化は、国際的な映画ビジネスの力学を大きく動かします。
- 中国本土のスタジオは、自国市場を足場にしながら海外展開を強化
- ハリウッドは、中国向け戦略の見直しを迫られる
- ヨーロッパの映画業界は、新たな市場として中国との連携を模索
中国とスペインの映画協力は、その流れの中でヨーロッパ側の動きを加速させるきっかけになりそうです。
日本の観客にとっての意味
では、日本の映画ファンやビジネスパーソンにとって、この動きはどんな意味を持つのでしょうか。
- 配信サービスを通じて、中国発のヒット作やスペイン映画に触れる機会が増えるかもしれない
- 中国とヨーロッパの合作が成功すれば、日本のクリエイターにとっても新たな協業モデルの参考になる
- 「ハリウッド中心」だった世界の映画地図が、多極化していくプロセスをリアルタイムで観察できる
2025年現在、エンターテインメントの消費は国境を越えて加速しています。中国本土の観客がどんな作品を選び、どの地域と手を組むのかは、日本を含むアジアの映画産業にも少なからず影響を与えていくはずです。
これから注目したいポイント
中国とスペインの映画協力、そして中国映画産業の台頭を追ううえで、今後チェックしておきたいポイントを整理します。
- 『Ne-Zha 2』に続く中国発メガヒット作品が登場するか
- スペインを含むヨーロッパ映画の公開本数や興行成績が中国でどう変化するか
- 米国映画と中国本土の作品、ヨーロッパ作品のバランスがどのように推移するか
映画館のスクリーンにどの地域の作品が並ぶのかは、世界の政治・経済の空気を映す鏡でもあります。中国本土とヨーロッパのあいだで広がる新たな映画の橋に、これからも注目していきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








