習近平氏が「文化強国」論文 2035年へ向けた5つの柱とは
中国共産党中央委員会の機関誌「求是」2025年第8号に、習近平総書記(国家主席、中央軍事委員会主席)の新たな論文が掲載されます。中国を文化面で世界をリードする「文化強国」へと押し上げる方針を示す内容で、国際ニュースとしても注目されています。
なぜ「文化」がいま重要なのか
論文は、中国を文化面でリードする国に育てることが、中国式現代化の推進や中華民族の偉大な復興、国際競争力の向上に直結すると強調しています。経済や技術だけでなく、文化を国家戦略の中核に位置付ける考え方が改めて示された形です。
「文化強国」というキーワードは、経済力や軍事力と並ぶ「総合力」の一部として文化を捉える発想を反映しています。ソフト面での魅力や価値観の発信を重視する流れは、世界各国でも共通する潮流です。
2035年までに文化強国をめざす戦略目標
論文では、2035年までに中国を文化分野で世界の先頭に立つ国にするという戦略目標が掲げられています。この時期設定は、同国が示している長期的な発展ビジョンと重なり、文化政策もその一部として位置付けられています。
習氏は、この目標の達成が「強国」づくりと「民族復興」を支える堅固な文化的土台になるとし、単なる文化振興策ではなく、国家全体の進路と結びついたテーマであることを明確にしています。
5つの側面から進める「文化強国」づくり
論文は、文化強国づくりを加速するための方向性として、次の5つの側面からの取り組みを提示しています。
- 中国の特色ある社会主義文化の道を堅持すること:中国の歴史や社会制度、価値観に根ざした文化の方向性を維持・発展させる方針です。外からの模倣ではなく、自国の文脈に基づく文化モデルを追求するとしています。
- 全国民の文化的創造力を引き出すこと:文化活動や創作に多くの人びとが参加し、社会全体の創造性を高めることを目指します。プロの文化人だけでなく、一般の市民も含めた「全民の創造」を意識した方向性です。
- 文化発展で常に「人民」を中心に据えること:文化政策の目的を、人びとの暮らしの質の向上や精神的な充実に置く考え方です。観賞用の文化やイベントだけでなく、日常生活の中で感じられる文化的豊かさを重視する姿勢がにじみます。
- 中華文化の継承を創造的・革新的に進めること:伝統文化をそのまま保存するだけでなく、新しい表現や技術と結びつけて現代に生かす「創造的転換」「革新的発展」を求めています。伝統芸能や工芸を、現代デザインやデジタル技術とも組み合わせる発想が含まれます。
- 中国の文化ソフトパワーと文化の魅力を高め続けること:映画、ドラマ、アニメーション、文学、観光などを通じて、中国文化への共感や関心を世界で広げていくことを目指します。ソフトパワーとは、軍事や経済ではなく、文化や価値観の魅力によって影響力を高める力のことです。
党・政府に求められる「文化を巡るリーダーシップ」
論文は、中国共産党の各級党委員会と各レベルの政府に対し、文化の発展を「重要な位置」に置き、リーダーシップを強めるよう求めています。
具体的には、党と政府が文化分野への政策的な後押しを強化し、地域や部門をまたいで連携することで、文化強国づくりに向けた「強力な合力」をつくり出す必要性が指摘されています。文化政策を、経済・社会政策と同列の優先課題として扱うよう促しているともいえます。
非物質文化遺産にみる現場の動き
方針レベルの議論と並行して、現場では伝統文化をどう現代社会に生かすかが課題になっています。2024年10月には、中国東部の山東省済南市で第8回中国非物質文化遺産博覧会が開かれ、多様な伝統工芸や芸能が紹介されました。
論文が強調する「創造的転換・革新的発展」は、こうした非物質文化遺産を観光やデジタルコンテンツ、デザインなどと結びつける取り組みとして、今後さらに広がっていく可能性があります。
日本の読者にとってのポイント
今回の論文は、中国の文化政策の方向性を示す公式メッセージであり、今後の具体的な施策や国際文化交流を考えるうえで重要な手がかりになります。日本の読者にとっては、次の点が注目されます。
- 2035年に向けて、文化産業やコンテンツ分野への投資・支援が一段と強化される可能性があること
- 伝統文化とデジタル技術を掛け合わせた新しい表現やビジネスモデルが生まれてくること
- 文化交流や観光を通じて、日本を含む周辺の国や地域との相互理解を深める動きが強まること
中国の文化政策は、国内だけでなく、アジアや世界の文化の流れにも影響を与えます。習近平氏が示した「文化強国」づくりの方向性を押さえておくことは、これからの国際ニュースを読み解き、自分なりの視点を持つうえで重要になりそうです。
Reference(s):
Xi's article on building a leading country in culture to be published
cgtn.com








