肺がんが世界のがん死亡原因で10年連続首位 早期発見と予防はどこまで進んだか
肺がんが世界で最も致命的ながんとして、この10年間にわたりがん死亡原因の首位を占めていることが、国際がん研究機関(IARC)の最新データで明らかになりました。本記事では、その背景と中国の最新動向、そして私たち一人ひとりができる対策を整理します。
世界で最も致命的ながん「肺がん」
国際ニュースで取り上げられるがん統計によると、肺がんは現在、世界で最も多くの命を奪うがんです。過去10年間、一貫してがん関連死亡のトップに位置してきました。
推計では、世界全体で
- 毎分およそ4〜5人が新たに肺がんと診断される
- 同じく毎分3〜4人が肺がんで亡くなっている
という深刻な状況です。短い時間のうちに多くの人が影響を受けていることが数字からもわかります。
中国での負担も拡大
中国の国立がんセンターによると、2022年には中国で106万件を超える新たな肺がん症例が報告され、約73万人が肺がんで亡くなりました。発症数、死亡数ともに、すべての悪性腫瘍の中で最も高い水準にあります。
中国では、毎年4月15日から「全国がん予防週間」が始まり、肺がんを含むがん全般の予防と治療に関する啓発イベントが各地で行われています。こうした公衆衛生活動は、早期受診や検診につなげる重要な機会になっています。
なぜ肺がんが増えているのか
北京がん病院の胸部外科主任であるChen Keneng氏は、中国メディアグループのインタビューで、肺がんの増加要因として次のような点を挙げています。
- 都市化・産業化の進展に伴う大気環境の変化
- 忙しくストレスの高い生活スタイル
- 特に一部の開発途上国での喫煙率の上昇
喫煙が肺がんの最大の危険因子であることはよく知られていますが、受動喫煙や大気環境、職業性の有害物質への曝露など、複数の要因が重なっている可能性も指摘されています。
早期発見が生存のカギ
専門家は共通して「肺がんは予防可能であり、早期に見つかれば高い確率で治癒が期待できる」と強調しています。ポイントは、早期発見・早期診断・早期治療の3つです。
検診方法の変化:胸部X線から低線量CTへ
中国では2012年ごろまで、肺がん検診の主な手段は胸部X線でした。しかし、その後は低線量のらせん型CT(コンピューター断層撮影)が広く導入され、早期の小さな病変をとらえやすくなりました。
この低線量CTの普及によって、早期段階で肺がんが見つかる割合は90%にまで高まったとされています。がんが進行する前に治療を始められる人が増えたことは、大きな前進です。
ハイリスク層は年1回のCT検診を
Chen Keneng氏は、肺がんの初期には自覚症状がほとんどないことを指摘し、次のようなハイリスク層には毎年1回のCT検診を勧めています。
- 長期間にわたり喫煙している人
- 家族に肺がんの既往がある人
- 職業的に粉じんや有害物質にさらされる人
症状が出てから受診するのではなく、リスクが高い人ほど「何もないうちに検査する」ことが重要だという考え方です。
「やりすぎ検診」への注意も
一方で、低線量CTであっても放射線被ばくはゼロではありません。専門家は、リスクが高くない人が毎年のようにCT検診を受けると、かえって別の健康リスクを高める可能性があると警鐘を鳴らしています。
そのため、
- 喫煙歴や年齢、家族歴などを踏まえて医師と相談する
- ハイリスクでない人は、むやみにCT検診を繰り返さない
- まずは禁煙や生活習慣の見直しでリスクを下げる
といったバランスのとれた対応が勧められています。
公衆衛生の戦略と私たちにできること
肺がんの世界的な増加に歯止めをかけるには、個人の努力だけでなく、公衆衛生としての戦略的な取り組みが欠かせません。IARCなど国際機関や各国のがんセンターは、次の3本柱を重視しています。
- 予防:禁煙政策や受動喫煙対策、大気環境の改善
- 検診:リスクに応じた低線量CTによる早期発見体制
- 治療:最新の外科手術、放射線治療、薬物療法の普及
世界の肺がん負担が増す一方で、こうした取り組みが進むことで、死亡率のカーブを少しずつでも下げていける可能性があります。
私たち一人ひとりにできる最初の一歩は、たばこを吸っている人は禁煙を検討すること、吸わない人は受動喫煙を避けること、そして自分や家族がハイリスクに当てはまるかを一度立ち止まって考えてみることです。情報に触れ、小さな行動を積み重ねることが、将来のがん予防につながっていきます。
Reference(s):
cgtn.com








