中国で活躍する日本人建築家・青山周平が語る 人と建築と大阪万博2025 video poster
今回取り上げる国際ニュースは、中国で20年活動する日本人建築家・青山周平さんのインタビューです。青山さんは、日常の暮らしと建築の関係、そして2025年に大阪で開催予定の万国博覧会(大阪万博)の意味について語りました。本稿では、CGTNの楊艶記者との対話を手がかりに、人と建築、国際コミュニケーションのこれからを考えます。
中国で20年、生活に寄り添う建築を探る日本人建築家
青山さんは、中国での生活が20年に及ぶ建築家です。2015年には、中国の人気テレビ番組に出演し、胡同と呼ばれる路地空間の住まいを大胆にリデザインしたことで広く知られるようになりました。
以来、老朽化した都心の街区の再生から、商業施設、さらには国際プロジェクトまで手がけ、その活動は中国の都市と人々の暮らしに深く関わってきました。
胡同リノベから都市再生へ 小さな空間が生む大きな変化
2015年の番組で青山さんが取り組んだのは、決して広くはない胡同の住宅でした。壁の抜き方や光の取り込み方を工夫し、限られた面積の中に、家族が集まり、外の路地ともつながる余白を生み出しました。
この経験は、その後の都市再生プロジェクトにもつながっています。老朽化した街区を壊して建て替えるのではなく、そこに暮らす人やコミュニティの記憶をどう残し、更新していくか。その視点が青山さんの仕事の軸になっているといいます。
人が先で、建築はその器という発想
インタビューで青山さんは、人と建築の関係について「建築は目的そのものではなく、人の生活を受け止める器にすぎない」といった趣旨の考えを示しました。重要なのは「どんな空間をつくるか」よりも、「そこでどんな時間が流れるか」だという視点です。
例えば、
- 子どもが遊びながら学べる余白があること
- 仕事と暮らしを柔らかく行き来できる場所であること
- 近所の人がふと立ち寄り、会話が生まれるきっかけを持つこと
こうした具体的なイメージから設計を始めることで、図面上の正しさよりも、人の気持ちにとって自然な空間が見えてくるといいます。
2025年大阪万博がひらく国際コミュニケーション
2025年に大阪で開催予定の万国博覧会は、各国・各地域が未来の課題と向き合う場として注目されています。楊艶記者との対話の中で、青山さんは万博を「技術のショーケースであると同時に、人がどんな暮らしを望むのかを世界で共有する機会」と位置づけました。
建築家の立場から見れば、パビリオンや会場デザインは、未来の都市や住まいの実験室です。持続可能な素材の使い方や、デジタル技術とリアルな場の組み合わせ方など、来場者が体験として学べる展示は、日々の暮らしのイメージを静かに変えていきます。
青山さんは、こうした国際イベントが、単に建築の見た目を競う場ではなく、人間中心の価値観を共有する場になってほしいと語りました。
日中をまたぐ視点が問いかける「これからの都市」
中国で暮らしながら、日本とも行き来する青山さんの視点は、二つの社会を比較して優劣をつけるものではなく、共通する課題に光を当てるものです。人口構成の変化や、歴史ある街並みと新しい開発のバランスなど、多くの都市が似た悩みを抱えています。
そのなかで建築にできることは、
- 人と人の距離をちょうどよく保つこと
- 地域の記憶を残しつつ、新しい産業や働き方を受け入れること
- 日常の小さな幸福感を積み重ねる空間をつくること
と青山さんは指摘します。建物一つ一つのデザインだけでなく、路地や広場、商店街といった間の空間をどうデザインするかが、都市の質を左右していくという考え方です。
私たちの暮らしと建築をつなげて考える
国際ニュースとして伝えられる建築プロジェクトや万博は、遠い世界の出来事に見えがちです。しかし、青山周平さんの言葉に耳を傾けると、その根っこにあるのは私たち一人一人の暮らし方や、どんな街で生きていきたいかという、ごく身近な問いであることが分かります。
通勤電車で読むニュースの中から、自分の部屋や近所の公園、よく歩く商店街の風景を思い浮かべてみる。そんな読み方が、これからの都市や建築をめぐる議論を、自分ごととして考えるきっかけになるかもしれません。
大阪万博をめぐる議論が深まる2025年、建築家が投げかける人と建築の関係を、自分の足元から静かに見直してみるタイミングと言えそうです。
Reference(s):
Japanese architect in China explores human-architecture connection
cgtn.com








