中国とマレーシア、協力の「新たな黄金時代」へ 高品質な開発とFTAアップグレード
中国の習近平国家主席は水曜日、マレーシアを国賓訪問した際にアンワル・イブラヒム首相と会談し、中国とマレーシアが高品質な協力の「モデル」となることを呼びかけました。本記事では、この発言のポイントと、東南アジアや日本にとっての意味を整理します。
中国・マレーシア関係は「新たな黄金時代」へ
習近平主席は会談で、中国とマレーシアの関係が「新たな黄金時代」に入ったと位置づけました。両国が高いレベルの戦略的な中国・マレーシア共同体を築き、地域の繁栄と安定にさらに貢献していくべきだと強調しています。
今回の会談は、単なる二国間協力の確認にとどまらず、アジアの秩序や経済連携の方向性にも関わるメッセージとして受け止められます。
3つの柱で築く「高レベル戦略共同体」
習近平主席は、中国とマレーシアが高いレベルの戦略的共同体を築くために、次の3つの方向性を示しました。
1. 戦略的自立と高水準の協調
第一に、両国は「戦略的自立」を堅持し、高いレベルで戦略協調を進めるべきだとしています。互いの国家主権、安全、発展上の利益を守る取り組みを引き続き支持し合うことが柱です。
これは、複雑化する国際情勢の中で、外部の圧力やブロック化に左右されず、自らの判断で外交・安全保障政策を選択していく姿勢を示したものといえます。
2. 開発協力の「高品質モデル」をめざす
第二に、開発分野でのシナジー(相乗効果)を高め、「高品質な開発協力」のモデルケースとなることが掲げられました。具体的には、次のような先端分野での連携が挙げられています。
- デジタル経済
- グリーン経済(環境負荷の少ない経済活動)
- ブルー経済(海洋資源を活用した持続可能な経済)
- 人工知能(AI)
あわせて、産業チェーン(生産のつながり)、サプライチェーン(供給網)、バリューチェーン(付加価値の連鎖)、データチェーン、人材チェーンの統合的な発展を促すことも呼びかけています。
単に貿易額を増やすだけでなく、「どの分野で、どのような質の成長をめざすか」が重視されている点が特徴です。
3. 世代を超える友好と人の往来
第三に、両国の友好関係を世代を超えて受け継いでいくことが挙げられました。その具体策として、両国間の査証(ビザ)免除協定の署名をきっかけに、次のような交流を一段と強化する考えが示されています。
- 観光
- 若者同士の交流
- 地方レベルでの交流
- 文化・教育・スポーツ・メディア分野での協力
人の往来が活発になることで、ビジネスだけでなく、社会・文化面での相互理解も深まりやすくなります。
「デカップリング」に対抗するアジア的アプローチ
習近平主席は会談で、いわゆる「デカップリング(経済の分断)」やサプライチェーンの寸断、「小さな庭に高い柵」といった排他的な経済の動き、そして恣意的な関税措置に対して、開放性・包摂性・団結・協力によって立ち向かうべきだと訴えました。
また、弱肉強食の「ジャングルの掟」とも形容される力の論理に対しては、平和・協力・開放・包摂といったアジアの価値観で応じるべきだと強調し、不安定で不確実な世界に対して「安定し、確実性の高いアジア」で応える必要性を示しました。
アジア各国が対立ではなく協調を選び、サプライチェーンの分断を避けようとする姿勢を前面に出したメッセージだといえます。
中国・ASEAN FTAアップグレードへの意欲
習近平主席は、中国が地域の国々と協力し、中国・ASEAN自由貿易地域(FTA)のアップグレード議定書の早期署名をめざす用意があると表明しました。
FTAのアップグレードは、関税だけでなく、デジタル経済やサービス貿易、投資ルールなど、より幅広い分野での連携の高度化につながる可能性があります。中国とマレーシアの「高品質な協力モデル」が、ASEAN全体や周辺地域にも波及していくシナリオも視野に入ります。
日本の読者にとってのチェックポイント
今回の中国・マレーシア首脳会談は、日本にとっても他人事とはいえないテーマを含んでいます。ポイントを簡単に整理すると、次のようになります。
- 東南アジアで、中国と各国の関係が「戦略的共同体」へと深化しつつある。
- デジタル経済やグリーン経済など、次世代分野での協力が加速する可能性がある。
- ビザ免除など人の往来の拡大は、観光・教育・文化交流を通じて地域のつながりを強める。
- デカップリングではなく、開放と包摂を掲げるアジアの経済連携のあり方が問われている。
- 中国・ASEAN FTAのアップグレードは、日本企業にとってもサプライチェーンや市場戦略を考えるうえで重要な動きになりうる。
国際ニュースを追ううえで、中国とマレーシアの協力がどのように広がり、アジア全体の経済秩序にどんな影響を与えるのか。今後の展開を静かに見守りながら、自分なりの視点を持っておくことが求められています。
Reference(s):
Xi calls on China, Malaysia to model high-quality cooperation
cgtn.com








