中国とEU、WTOを軸に多国間貿易体制を守る協力強化へ
中国商務省は木曜日、欧州連合(EU)と協力し、世界貿易機関(WTO)を中核とするルールに基づく多国間貿易体制を共同で守っていく姿勢を改めて示しました。2025年に国交樹立50周年を迎える中国とEUの関係が、世界経済の安定にどうつながるのか注目されています。
中国とEU、「ルールに基づく多国間貿易」を共同防衛へ
中国商務省の報道官He Yongqian氏は、木曜日の定例記者会見で、次のような方針を示しました。
- 中国とEUの対話とコミュニケーションを一層強化する
- 双方の相互的な市場開放(相互開放)を拡大する
- 経済・貿易分野での実務的な協力を深める
- WTOを中核とする、ルールに基づく多国間貿易体制を共同で守る
He氏は、中国はEUとともにこうした取り組みを進める用意があると述べました。中国とEUは、ともに経済グローバル化と貿易の自由化を支持し、WTOを強く擁護してきたと強調しています。
2025年は国交樹立50年、節目の年に向けたメッセージ
発言の中でHe氏は、2025年が中国とEUの外交関係樹立から50周年にあたることにも言及しました。両者は経済グローバル化と貿易自由化の提唱者であり、WTOの堅固な守り手であると位置づけています。
2025年という節目の年に合わせ、多国間主義とルールに基づく国際貿易体制を前面に打ち出すことで、中国とEUの経済・貿易関係をいっそう安定させたいという思惑がうかがえます。
サプライチェーン安定化と世界経済への「確実性」
He氏はさらに、中国はEUと協力し、グローバルな産業チェーンとサプライチェーンの安定を維持していく考えを示しました。中国とEUの経済・貿易関係の「独立性」と「安定性」を高めることで、世界経済により大きな確実性とポジティブなエネルギーを注入していきたいとしています。
不透明感が高まりやすい世界経済のなかで、大きな経済圏同士の関係を安定させるというメッセージは、企業や市場にとって一つの安心材料になりえます。
今回の発言のポイント:3つの視点
今回の中国商務省の発言は、いくつかの重要なポイントを含んでいます。日本やアジアの読者の視点から、主な論点を整理すると次の3つです。
1. WTOを軸とした多国間主義の再確認
中国は、WTOを中核とするルールに基づく多国間貿易体制の「共同防衛」をEUとともに進めると表明しました。これは、二国間の駆け引きよりも、多国間の枠組みや国際ルールを重視する姿勢を打ち出したものです。
国際貿易のルールが揺らぐと、企業にとっては中長期の投資判断が難しくなります。WTOを軸とした秩序を維持するというメッセージは、市場に対して「ルールが急に変わるリスクを抑えたい」というシグナルとも受け取れます。
2. 相互開放と実務協力の強調
He氏が挙げた「相互開放の拡大」と「実務協力の深化」は、抽象的なスローガンではなく、企業活動に直結するテーマです。
- 相互開放:市場アクセスの拡大や、投資・サービス分野の開放などをイメージさせる
- 実務協力:産業、技術、グリーン分野などでの具体的なプロジェクトや官民対話の強化を含みうる
今後、中国とEUがどの分野で、どの程度まで協力を具体化していくのかは、世界の企業にとっても注目点となりそうです。
3. サプライチェーンの「安定」をキーワードに
グローバルな産業チェーンとサプライチェーンの安定維持は、製造業だけでなく、サービス産業やスタートアップにも関わるテーマです。
中国とEUが経済・貿易関係の独立性と安定性を重視するというメッセージは、第三国の企業から見ると、サプライチェーン戦略を考えるうえでの前提条件の一つになります。特に、「特定地域への過度な依存を避けつつ、どこまでリスク分散を進めるか」を検討する際の材料になりえます。
日本やアジアの読者にとっての意味
中国とEUの関係強化は、日本やアジアの企業・投資家にとっても無関係ではありません。今回の発言から読み取れるポイントを整理すると、次のような視点が考えられます。
- 大規模な経済圏同士が多国間ルールを重視することで、国際貿易の予見可能性が高まりやすくなる
- 中国とEUの協力分野しだいで、サプライチェーンの再構築の方向性やスピードに影響が出る可能性がある
- WTOの役割や貿易ルールをめぐる議論で、中国とEUがどのようなスタンスを取るのかをフォローする必要がある
一方で、こうした方針がどこまで具体的な制度設計やプロジェクトとして現れてくるのかは、今後の動きを見ていく必要があります。
これからどこに注目すべきか
今回の発言は、記者の質問に答える形で行われたもので、いわば方針レベルのメッセージです。今後、次のような点に注目が集まりそうです。
- 中国とEUの間で、対話やコミュニケーションの枠組みがどのように強化されるか
- 具体的な市場開放や規制緩和につながる動きが出てくるか
- サプライチェーン安定化に向けた共同プロジェクトや協議の進展
2025年という節目の年に、中国とEUがどのように協力を具体化していくのか。世界経済の行方を考えるうえで、引き続き注視していきたいテーマです。
Reference(s):
China to work with EU to safeguard rules-based multilateral trade
cgtn.com







