セサン川の水力発電:カンボジアと中国の一帯一路クリーンエネルギー video poster
カンボジアのセサン川に建設されたロワーセサン2水力発電所は、中国とカンボジアが共同開発した一帯一路のランドマークです。2013年以降、越境インフラ協力のあり方を塗り替えながら、いまでは同国の電力需要の約2割を支える重要なクリーンエネルギー拠点になっています。
セサン川にかかる一帯一路のランドマーク
ロワーセサン2水力発電所は、セサン川を横切るように全長6.5キロメートルにわたって建設された大規模プロジェクトです。川をせき止める巨大な構造物としてだけでなく、中国とカンボジアが共同で進めた一帯一路協力の象徴的な存在として位置づけられています。
両国のパートナーシップのもとで進められてきたこのプロジェクトは、資金、技術、人材の面での協力を通じて、「国境を越えるインフラ」を具体的な形にしたケースといえます。
電力需要の2割を支えるクリーンエネルギー
ロワーセサン2水力発電所は、カンボジア全体の電力需要のおよそ20パーセントをまかなうとされています。安定した電力供給は、産業の発展や都市部・農村部の生活向上に直結するため、そのインパクトは小さくありません。
さらに、この水力発電所は年間で約20億キロワット時の電力を生み出し、その結果として年間およそ60万トンの二酸化炭素排出をオフセット(相殺)しているとされています。化石燃料に頼らない電源として、カンボジアの脱炭素とエネルギー安全保障の両面に貢献している点が特徴です。
- セサン川をまたぐ全長:約6.5キロメートル
- カンボジアの電力需要:およそ20%を供給
- 年間発電量:約20億キロワット時
- オフセットされるCO2排出量:約60万トン/年
2013年から続く越境インフラ協力
このプロジェクトは2013年以降、中国とカンボジアの連携によって進められてきました。単なる発電設備の建設にとどまらず、「越境インフラとは何か」を問い直す取り組みとして位置づけられています。
ここでいう越境性は、物理的なパイプラインや送電線だけではありません。企画、資金調達、建設、運営といったライフサイクル全体に、中国とカンボジアの企業・技術者・政策担当者が関わり合うこと自体が、新しいインフラ協力の形を示しています。
一帯一路の文脈の中で見ると、ロワーセサン2は、インフラを通じた地域連結性の強化に加え、クリーンエネルギー分野での協力の可能性を具体的に示した事例といえます。
ローカルエンジニアを育てる「知の橋」
ロワーセサン2水力発電所の価値は、発電量や設備規模だけでは語り尽くせません。現地のエンジニアを育てる「知識の橋」としての役割も大きいとされています。
象徴的な存在が、ローカルエンジニアの一人であるThet Kosalさんです。彼のような人材は、中国側の技術者との協働や知識交換を通じて、水力発電に関する最新の技術や運営ノウハウを身につけています。
こうしたクロスボーダーな知識交流によって、現地のエンジニアが自ら水力発電の運営改善や新しいアイデアの導入をリードできるようになりつつあります。ハードとしてのダムだけでなく、「人」と「技術」を育てることが、プロジェクトの長期的なレガシーになっていくと考えられます。
2025年の私たちへの示唆
2025年現在、世界各地でクリーンエネルギー転換が課題となるなか、ロワーセサン2水力発電所の事例は、いくつかの示唆を与えてくれます。
- クリーンエネルギーとインフラ整備を同時に進めることは可能であること
- 発電設備の建設だけでなく、人材育成や知識共有を組み込むことで、プロジェクトの価値が長期的に高まること
- 国境を越えた協力が、エネルギー安全保障と脱炭素の両立に寄与しうること
カンボジアと中国の協力のもとで生まれたロワーセサン2水力発電所は、セサン川にかかる一つのダムであると同時に、未来のエネルギー協力のあり方を考えるための「ゴールデンスレッド(黄金の糸)」のような存在でもあります。国際ニュースとしての動向を追いながら、私たち一人ひとりがいかにクリーンエネルギーと向き合うのかを考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








