世界初のヒューマノイドロボット・ハーフマラソン、中国で新ルール
中国・北京で今週日曜日に開催予定の「北京E-townハーフマラソン」で、世界初となるヒューマノイドロボットによるハーフマラソンに向けた新たな競技ルールが定められました。身体を持つAI(エンボディドAI)とヒューマノイドロボットの発展を象徴するイベントとして国際ニュースでも注目されています。
世界初の「ヒューマノイドロボット・ハーフマラソン」とは
今回のロボット競技は、北京E-townハーフマラソンの一部として実施され、二足歩行のヒューマノイドロボットが21キロのコースに挑みます。この試みは、エンボディドAIとヒューマノイドロボット開発における大きな節目になると位置づけられています。
ハーフマラソンという長距離をロボットが完走するためには、単に速く動くだけでなく、長時間にわたって安定したバランス制御やエネルギー管理を続ける必要があります。人間のランナーがスタミナと向き合うように、ロボットもハードウェアとソフトウェア双方の持久力が問われます。
約25万回の関節動作が要求される21キロ
今回の説明では、21キロのハーフマラソンを走り切るために、参加する二足歩行ロボットはおよそ25万回もの精密な関節動作を行う必要があるとされています。これは一つ一つのステップに高度な制御が求められることを意味し、わずかな誤差の蓄積が転倒や故障につながりかねません。
こうした条件のもとで、各チームはロボットの機構設計だけでなく、歩行アルゴリズムや姿勢制御、故障時のリカバリーなど、総合的なロボット工学の力が試されることになります。
バッテリー交換と機体交換にペナルティ
今回の競技ルールの特徴の一つが、バッテリーとロボット本体の扱いです。多くの参加ロボットは、レース中にバッテリー交換、あるいはロボット本体の入れ替えを行うことが想定されています。
競技ルールでは、コース上の補給ステーションでバッテリーを交換しないロボットには、タイムペナルティが課されます。また、レース中にロボット本体を丸ごと別の機体に入れ替えた場合にも、同様にペナルティが科されます。
つまり、チームは「どのタイミングで、どの程度の作業を行うか」というピット戦略を練りつつ、ペナルティとのバランスを取らなければなりません。長距離レースでありながら、モータースポーツのような戦略性も加わった競技になりそうです。
ゴール順がそのまま順位にならない「総合計時方式」
ハーフマラソンのロボット部門の副責任者であるWang Guolin(ワン・グオリン)氏によると、競技では総合的な計時方式が採用されます。スタートからゴールまでの所要時間から、ルール違反によるペナルティ時間を差し引いて最終スコアを算出する仕組みです。
このため、最初にフィニッシュラインを通過したロボットが、そのまま最終順位でも1位になるとは限らないとWang氏は説明しています。観客にとっても、単に誰が一番にゴールするかだけでなく、最終結果がどうなるのかを見守る新しい観戦体験になりそうです。
エンボディドAIの「実地テスト」としての意味
今回のヒューマノイドロボット・ハーフマラソンは、単なる話題作りのイベントにとどまらず、エンボディドAIの実地テストとしても意味を持ちます。シミュレーションや室内実験だけでは見えにくい、長時間稼働時の故障、環境変化への適応、予期せぬトラブルからの復帰などが、実際のレース環境であぶり出される可能性があるからです。
また、バッテリー運用や機体の信頼性を含めて評価されることで、ロボット開発チームは「現実世界で使えるロボット」を念頭においた改良点を見つけやすくなります。物流、点検、介護、災害対応など、今後ロボットの活躍が期待される分野にとっても、長時間動き続ける能力は重要な要素です。
私たちにとっての問い「ロボットが走る未来」をどう受け止めるか
人間のランナーとヒューマノイドロボットが同じハーフマラソンという形式を共有することで、スポーツとテクノロジーの境界はさらに曖昧になっていきます。今回の世界初の試みは、ロボットと人間が共に活動する社会をどのように設計していくのかという、より大きな問いを投げかけています。
今週日曜日、中国・北京でスタートを切るこのレースは、技術者だけでなく、私たち一人一人がロボットのいる日常をイメージするためのきっかけにもなりそうです。レース結果だけでなく、その背景にある発想やルール設計にも目を向けることで、AIとロボット技術の現在地とこれからを、少し違った角度から眺めてみることができるかもしれません。
Reference(s):
New rules defined for world's 1st humanoid robot half-marathon
cgtn.com








