中国とマレーシアが協力強化 デジタル経済や南シナ海で連携深める
中国とマレーシアが、経済や安全保障、国際秩序まで幅広い分野で協力を深める共同声明を発表しました。デジタル経済や南シナ海、ASEAN議長国としての連携など、東南アジアと世界の行方を左右する合意です。
習近平国家主席の国賓訪問で「共有未来」の共同体を確認
今週、マレーシアを国賓として訪問した中国の習近平国家主席とマレーシアの指導部は、中国・マレーシア関係を「高水準の戦略的共同体」へと格上げし、「共に未来を築く共同体」を構築することで合意しました。共同声明では、戦略的な意思疎通を強化し、開発戦略の連携を深め、人と人との交流を一層緊密にする方針が示されています。
マレーシアはあらためて「一つの中国」の立場を明確にし、中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府と認めるとともに、台湾が中華人民共和国の不可分の領土であることを確認しました。その上で、中国の完全な国家統一の実現に向け、台湾の「独立」を求めるいかなる呼びかけも支持しない姿勢を示しました。
デジタル・グリーン・ブルー・観光の「四つの経済」で連携
経済・通商分野では、中国とマレーシアは「新たな生産力(new quality productive forces)」を軸に、地域協力の「先導役」となることを目指すとしています。特に、次の四つの分野に焦点を当て、将来の経済協力を拡大していく方針です。
- デジタル経済
- グリーン(環境)経済
- ブルー(海洋)経済
- 観光経済
両国は、産業・サプライチェーン、価値連鎖(バリューチェーン)、データ、そして人材の連携を深め、互いの強みを補い合う「一体的な発展」を進めるとしています。また、安全で安定した産業・供給網を共に構築することでも一致しました。
共同声明によると、マレーシア側は中国企業による同国の5Gネットワーク整備への参加を歓迎しました。両国は、半導体産業のサプライチェーンにおける協力の可能性も探ることで合意し、実現可能な範囲で協力を進め、サプライチェーンの安定を図る方針です。
インフラ分野では、鉄道や各種インフラの協力を強化し、「汎アジア鉄道」構想の実現に貢献していくとしました。貿易面では、中国側が中国国際輸入博覧会やグローバルデジタルトレード博覧会、中国・ASEAN博覧会などのプラットフォームを通じ、マレーシア産品の売り込みや対中輸出拡大を促す姿勢を示しています。
両国は、人と人との交流を深める象徴として、パンダ保護の共同研究を引き続き進め、さらなる成果を目指すことでも一致しました。
南シナ海の平和と「域外国」の関与
南シナ海の情勢について、中国とマレーシアは、紛争や意見の相違は平和的手段によって、友好的な協議と交渉を通じて解決すべきだと確認しました。また、当事者でない国や主体の関与は、かえって状況を複雑にし、逆効果となり得るとの認識を共有しました。地域の平和と安定を当事者間の対話で維持していくという立場を打ち出した形です。
経済グローバリゼーションとWTOの役割を重視
中国とマレーシアは、誰もが利益を分かち合える包摂的な経済グローバリゼーションを推進していくことを確認しました。一方的な関税引き上げなど、世界貿易機関(WTO)のルールと整合しない一方的な貿易制限措置には反対する姿勢も明記されています。
両国は、WTOを中心とする、ルールに基づいた開かれた多角的貿易体制を支持し、その改革やルールの時代に即した更新を後押しすることで、開発途上メンバーの正当な権益を守る考えです。
共同声明はまた、国際社会が激動する中、どの国も無関係ではいられないと指摘し、「人類運命共同体」へ向かう歴史的潮流を認識するとしています。ウィンウィンの協力こそが唯一の正しい道だと位置づけ、国連憲章の目的と原則に基づく「真の多国間主義」を実践していくと強調しました。
国連・WHO・BRICS・CPTPPでの連携
中国とマレーシアは、国連、WTO、世界保健機関(WHO)などの枠組みで協調を深め、国際的な公正と正義を守り、開発途上国の共通利益を擁護していくと表明しました。
中国は、マレーシアがBRICSのパートナー国となることを歓迎し、マレーシアがBRICS協力により深く関与できるよう積極的に支援するとしています。また、マレーシアは、中国による包括的および先進的環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)への加盟申請を歓迎しました。
ASEAN議長国マレーシアと中国の関係強化
2025年、マレーシアは東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国を務めています。今回の共同声明で、中国はASEANへの「揺るぎない支持」を表明しました。両国は、ASEAN中心性(ASEANが地域協力の中心的役割を担うという考え方)を維持し、開かれた包摂的な地域秩序を形づくるASEAN主導の枠組みを支えるとしています。
さらに、平和で安全・安心、繁栄し、美しく友好的な地域づくりを共に進め、「より緊密なASEAN・中国の共同体」を構築する方針を確認しました。マレーシアは、中国が2026年のAPEC首脳会議(APEC Economic Leaders' Meeting)を主催することを支持し、また、香港の地域的な包括的経済連携(RCEP)への参加を支持するとしています。
ガザ情勢とパレスチナ問題での共通の立場
共同声明では、中東のガザ情勢にも言及しました。中国とマレーシアは、ガザの人々の強制的な移転に断固反対するとともに、二国家解決に基づくパレスチナ独立国家の樹立と、パレスチナの国連正式加盟を支持する姿勢を示しました。
アジアの「静かな再配置」をどう読むか
今回の共同声明は、二国間関係の強化にとどまらず、南シナ海、ASEAN、WTO、BRICS、CPTPPなど、多層的な枠組みを通じて地域秩序づくりに関与していくという、中国とマレーシアの意思を映し出しています。デジタルやグリーン経済、サプライチェーン、防衛ではなく対話を重視する安全保障など、アジア発の連携がどのような形で具体化していくのか。今後の動きを継続的に追う必要がありそうです。
Reference(s):
China, Malaysia vow to deepen cooperation, promote regional prosperity
cgtn.com








